自宅でできる筋トレであるプッシュアップはやり方が数種類あり、効果や刺激も異なります。
今回はプッシュアップで鍛えられる筋肉と3つの効果、6種類のプッシュアップの正しいやり方・コツ・注意点、できない人向けのやり方を紹介します。
目次
プッシュアップとは?
「プッシュアップと言われても聞いたことないけど?」と思った方も多いかもしれません。
ですが、日本語で「腕立て伏せ」と言えばどうでしょうか?
恐らくほとんどの方は、学生時代に体育の時間や部活で散々やった記憶が蘇って来るのではないでしょうか。
プッシュアップは恐らく自重(器具を使わないで自分の体重のみで行う)筋トレでもっとも有名な種目になりますので、やったことがないという方はあまりいないでしょう。
しかし、この有名な筋トレは誰しもがやったことがあるからこそ「自己流」のやり方が身についてしまっている種目でもあります。
プッシュアップは実は適当にやっても筋トレ効果はほとんどないのです。
これを契機にきちんとしたフォームを身に付けて自宅トレーニングでマッチョな体を手に入れましょう。
プッシュアップは上半身の複数の筋肉に同時に効果がある
プッシュアップで鍛えられる筋肉は具体的に言うと「大胸筋」「上腕三頭筋」「三角筋」の上半身になります。
大胸筋は胸の筋肉、上腕三頭筋は二の腕の裏側の筋肉、三角筋は肩の筋肉になります。
これらが同時に鍛えられるので、筋トレとしては非常に優れていると言えます。
ちなみにメインに鍛えるのはスタンダードなプッシュアップなら大胸筋になります。
優れているがゆえに皆さんやったことがあるのですが、この優れた筋トレもフォームをいい加減にしてやってはあまり意味がないのです。
しかも、教える先生さえもきちんとしたやり方を知らないという場合も多いので、ますます間違ったプッシュアップが広まっているという現実があります。
鍛える筋肉をきちんと把握して、そこに刺激を入れるように行うのが正しいやり方なのです。
このあたりをきちんと認識するようにしましょう。
これはプッシュアップに限らず筋トレ全般に言えることです。
プッシュアップで期待できる3つの効果
プッシュアップで期待できる効果はやはり大胸筋を主に鍛えることになるので、逞しい胸を手に入れることができることです。
また、上腕三頭筋にも刺激が入る筋トレ種目なので、腕も逞しくすることが可能です。
女性が好きな筋肉のベスト5と言うと前腕、胸筋、腹筋、上腕、背中と言われていますが、その中の2つがこのプッシュアップで鍛えられるのです。
世の中の男性が筋トレをしようと思いついた時にプッシュアップを真っ先に思い浮かべるのはわかる気がしますよね。
この他にも大胸筋や上腕三頭筋が発達すると打撃系の格闘技や相撲の強化につながります。
押す力が強くなるからです。
押す力が要るスポーツをやっている方は競技力強化も期待しながらやると良いでしょう。
また、プッシュアップは筋トレ種目である「ベンチプレス」の動きに非常によく似ています。
そのためプッシュアップをすることで、ベンチプレスの重量をアップさせることができるかもしれません。
ベンチプレスはまだ重さが持てないという方は、自宅でプッシュアップで鍛えるのも一つの手でしょう。
プッシュアップは種類によって効果も違う
プッシュアップと一言で言っても実は色々な種類のプッシュアップがあります。
それぞれに特徴があり、刺激の入る部位も異なるので自分の鍛えたい部分を鍛えることができるやり方を選んでやるようにしましょう。
やり方の詳細は後述しますので、まずはどんな種類があるのかご紹介します。
ノーマルバージョン
みなさんがイメージする腕立て伏せがこれにあたります。
両手を肩幅くらいについて、曲げ伸ばしをする筋トレになります。
ワイドプッシュアップ
ノーマルバージョンは肩幅程度で手を床に置きますが、ワイドプッシュアップは「ワイド=広い」ということで、手の幅を通常より広くします。
そうすることで刺激の入る場所が変わってきます。
ナロープッシュアップ
ナロープッシュアップは「ナロー=狭い」という意味なので、ワイドプッシュアップの逆で通常よりもぐっと手の置く幅を狭くします。
こちらも違った場所に刺激を与えることができます。
デクラインプッシュアップ
デクラインプッシュアップは体を斜めにして行うプッシュアップになります。
頭の位置より足の位置を高くして行います。
そうすることで負荷を通常のプッシュアップより強くすることができます。
クラッピングプッシュアップ
クラッピングプッシュアップは身体を持ち上げる時に勢いよく持ち上げて、その頂点で両手を床から離して手を叩きます。
「クラップ=手を叩く」という意味からもわかるように文字通り両手を叩くのです。
瞬発力を鍛えることができます。
プッシュアップバーを使ったプッシュアップ
プッシュアップバーを使うと通常では使うことができない可動域まで使うことが可能になります。
通常のプッシュアップより刺激は強いです。
また、通常のプッシュアップでは使わない部分も使うことができますので、通常バージョンに慣れてきた方におすすめです。
プッシュアップ6種類の正しいやり方
それでは、それぞれのプッシュアップの正しいやり方をご紹介します。
意外に間違ったやり方でやっている人も多いので是非動画を見て正しいやり方でやってみましょう。
全然効果が違います。どうせやるなら効果のある方法でやった方が得ですよ!
ノーマルバージョン
①床に両手を肩幅よりちょっと広いくらいにつきます
②つま先と両手で体を支えます
③背中は丸めずに体を真っすぐにします
④この状態を保ちつつ肘を曲げて体全体を下げていきます
⑤体が床につくギリギリくらいになったら今度は持ち上げます
以上がノーマルバージョンのプッシュアップになります。
恐らく腕立て伏せと言えばこのやり方をほとんどの人は思い浮かべるでしょう。
ワイドプッシュアップ
①床に両手をつけます
②つける位置はかなり広めにします(少なくとも肩幅よりは広くします)
③つま先と両手で体を支えます
④背中は丸めずに体を真っすぐにします
⑤この状態を保ちつつ肘を曲げて体全体を下げていきます
⑥体が床につくギリギリくらいになったら今度は持ち上げます
以上がワイドプッシュアップになります。
基本的なやり方はノーマルバージョンと同じですが、大きな違いは手の置く位置です。
肩幅よりかなり広くするので、これでやると負荷はノーマルバージョンよりかなり強いです。
大胸筋のストレッチをかなり感じることができるでしょう。
ノーマルバージョンで物足りなくなったらやりたい種目になります。
ナロープッシュアップ
①床に両手をつけます
②つける位置はかなり狭くします(両手がくっつくくらいでもOK)
③つま先と両手で体を支えます
④背中は丸めずに体を真っすぐにします
⑤この状態を保ちつつ肘を曲げて体全体を下げていきます
⑥体が床につくギリギリくらいになったら今度は持ち上げます
以上がナロープッシュアップになります。
あまり手を狭くするとバランスが崩れてやりにくいというのであれば、バランスが取れる限界の狭さにしてください。
狭くすると上腕三頭筋に非常に刺激が強く入ります。
上腕三頭筋をメインに鍛えたい人はこのプッシュアップが良いでしょう。
デクラインプッシュアップ
①足のつま先部分を台や椅子に置いて両手は床につけます
②両手の幅はスタンダードバージョンと同じ
③つま先と両手で体を支えます
④背中は丸めずに体を真っすぐにします(足より頭が下になります)
⑤この状態を保ちつつ肘を曲げて体全体を下げていきます
⑥体が床につくギリギリくらいになったら今度は持ち上げます
以上がデクラインプッシュアップになります。
足を頭より上にすればするほど負荷は強くなります。
刺激は大胸筋の上部に入りますので、大胸筋の厚みを出したい方にはピッタリの種目になります。
クラッピングプッシュアップ
①床に仰向けに寝転んだ状態で両手を脇について、つま先立ちにする
②まずはノーマルバージョンのプッシュアップを数回する
③ノーマルバージョンのプッシュアップを素早くしてスピードがマックスになったら一気にそのスピードを生かして体全体を浮かす
④体が浮いている間に両手を胸の前でたたく
⑤両手をたたいたら、素早く両手を地面に戻して肘を曲げる
⑥再び肘を伸ばす時に素早く伸ばして体を浮かせ、両手をたたく
以上を繰り返すのがクラッピングプッシュアップになります。
非常に瞬発力が鍛えられますし、手を抜くと手を叩けなくなってしまうので、常にマックスのスピードでやるので負荷としてはかなり強いです。
プッシュアップバーを使ったプッシュアップ
①プッシュアップバーを床に置いて両手で握ります
②両手を伸ばして体は真っすぐな状態を保ちます
③肘を曲げて体を沈めていきます
④バーよりさらに体を沈めます
⑤これ以上沈めることができない位置まで体を沈めたら元に戻します
以上がプッシュアップバーを利用したプッシュアップになります。
通常のプッシュアップでは床が邪魔をしてそれ以上体を沈めることができませんが、プッシュアップバーを利用することで限界以上まで体を沈めることが可能になります。
負荷は当然ノーマルバージョンのプッシュアップより強いです。
プッシュアップのやり方のコツ
プッシュアップは色々な種類がありますが、共通して言えるポイントは、肘を曲げる時にゆっくりとやるということです。
ゆっくりと下ろすことで負荷が強くなりますので、効果は大きくなります。
ただし、クラッピングプッシュアップのみ例外なのでご注意ください。
また、プッシュアップの種類によって効果のある筋肉が異なります。
どこに効果があるのかをきちんと理解してやることが大切です。
例えば、ナロープッシュアップでは上腕三頭筋に効果があるのですが、このやり方でいくら大胸筋を鍛えようとしても効果は薄いです。
効果が薄いとやる気もなくなってしまうので、どこに効果があるのかを知ってからやるのは非常に重要です。
また、ワイドプッシュアップで疲れてきたら、ナロープッシュアップにフォームを変えてしまう方がよくいます。
しかしこれでは鍛える部分を変えてしまうことになるので意味がありません。
最後まで同じフォームで行うことが重要です。
プッシュアップのやり方の注意点2つ フォームの崩れは効果も半減
プッシュアップで本当によくある間違いが、腰が下がってしまう(または、上がってしまう)ことです。
こうすることで楽になるからやってしまうのですが、楽をしてしまっては効果が半減するのは言うまでもありません。
体は常に真っすぐに保ってください。
もし、どうしても体が真っすぐに保てないというのであれば、それはもう限界を超えてしまっています。
一度やめて少しインターバルを取ってから再度やるようにしてください。
筋トレはターゲットとなる筋肉をいかに疲労させるかが目的なので、姿勢を崩してターゲットの筋肉に楽をさせてはいけません。
また、辛くなってくると肘の曲げ具合が浅くなってくることもよくあります。
ある程度は仕方ないですが、ほとんど曲げないで頭だけが上下している人もいますので、この場合も一旦やめてインターバルを取るようにしてください。
プッシュアップをさらに効果的に行うやり方
今回紹介したプッシュアップでは物足りなくなった方は更に強い負荷でやることをおすすめします。
自重で行っているといつかはそうなるので覚えておきましょう。
一番のおすすめはベンチプレスなどのウエイトトレーニングに移行すること。
たまにプッシュアップのような自重トレーニングは応用の効く筋肉がつくけど、ウエイトトレーニングは応用力のない筋肉がつく、などと間違ったことを堂々と言っている方がいます。
完全にこれは間違いです。
なぜなら、ウエイトトレーニングというのは「重力」と使ったトレーニング全般のことで、自重で行うトレーニングも広い意味ではウエイトトレーニングなのですから。
そもそも自分の体重を使っているか、ウエイトなどを使っているかの違いは筋肉にとってまったく違いはありません。
自重トレーニングは自分の体重以上の負荷でトレーニングできないため、負荷に慣れてしまった場合は、ウエイト器具を使うしかないのです。
自宅でトレーニングをしている人の場合は、背中に人を乗せるなど負荷を強くする工夫をしてみてください。
それができない方は下ろすスピードをさらに遅くしたり、デクラインプッシュアップで、足を乗せる位置をもっと高くするなどの工夫をすると良いでしょう。
プッシュアップができない人向けのやり方のコツ
もし、プッシュアップが頑張っても1回もできない方(数回しかできない方も同様です)は、膝を床についてやると良いでしょう。
床に膝をつくと非常に楽にできるようになるので、これで数倍の回数ができるようになるはずです。
これでもできないという方はデクラインプッシュアップとは逆に頭の方を高くしてやってみましょう。
頭の方が高いプッシュアップは負荷が弱まるので、できるはずです。
できないのであれば、どんどんと頭を高くして、最後はほとんど立った状態で壁に向かってやってみることをおすすめします。
これだけでも大胸筋に刺激は入ります。
プッシュアップはゆっくりやることで効果が上がる 回数ではない
よくプッシュアップを100回やったと言って喜んでいる人がいますが、100回やれる筋トレはあまり意味がありません。
そこまでいくと有酸素運動になってしまっているか、よほど楽をしてやっている可能性があるので、回数はあまり意味がないのです。
回数は20回~30回でもゆっくりとやって、ターゲットの筋肉に効いているかどうかの方が重要になります。
逆に回数をできないようにやるようにしてください。
あまりにも自重では刺激が足りなくてどうしても50回以上やれてしまうという場合は、ウエイト器具を使ったトレーニングに移行する方が良いでしょう。
プッシュアップは毎日はできない負荷でやるのが効果的なやり方
プッシュアップは毎日やらなくても良いです。
逆に毎日できるとということは自分にとって大した負荷ではないという証明になってしまうので、毎日できない方が良いのです。
要するの毎日やったら疲労がたまって無理!というくらいの負荷でないと体はマンネリ化して筋肉は発達しなくなるのです。
プッシュアップはすぐに慣れてしまうので、週に1日ではおそらくほとんどの人は物足りなくなってしまうでしょう。
なので、週に2,3日くらいはやっても構いませんが、毎日やれるのであれば、ちょっと他のトレーニング(ウエイト器具を使ったもの)に移行することを本気で考えましょう。
まとめ
・プッシュアップは種類がたくさんあり、効果はそれぞれ異なる。
・プッシュアップは回数ではなく、筋肉に効いているかどうかが重要。
・あまりにも負荷が物足りなくなったら、ウエイト器具を使ったトレーニングを行う。
いかがでしたでしょうか。プッシュアップは自宅で手軽にできるトレーニングですが、色々な種類があります。
ですので、自分の目的にあったものを選んでください。
細マッチョくらいならプッシュアップでなることも可能です。
プッシュアップでとりあえず、目指せ細マッチョです!