腕立て伏せは自宅でできる筋トレですが誤ったフォームの方も多く、効果を得るためには正しいやり方で行う必要があります。
今回は腕立て伏せの効果、正しいやり方、毎日やる効果、頻度と回数、バリエーション3種類を紹介します。
目次
腕立て伏せとは?
この記事を読んでいる人が腕立て伏せを知らない可能性は低いですが、きちんとした定義を知らない人もいるかもしれませんね。
最初に腕立て伏せとはどんなものなのかを説明します。
腕立て伏せとは、うつ伏せになった状態から両手を伸ばすことで体全体を持ち上げる筋トレのことを言います。(つま先は床につけておく)
自重でできるトレーニングとしてはもっとも有名なトレーニング方法で、特に男性に人気が高い筋トレです。
日本では筋トレというとすぐに腕立て伏せを思い浮かべる人が多く、もっともポピュラーな種目とも言えます。
ただ、それだけ有名であるがゆえに自分独自のやり方が存在していて、きちんとした腕立て伏せをやれる人は少数派です。
また、腕立て伏せにはバリエーションも多いので、それらを覚えれば自宅で効果的なトレーニングができます。
腕立て伏せの効果は?
腕立て伏せの効果は何と言っても大胸筋の強化です。
大胸筋とは胸の筋肉のこと。
男性に腕立て伏せが人気があるのは、この大胸筋を鍛えて厚い胸板を作れるというのが理由です。
また、腕立てはきちんとやれば、上腕三頭筋(腕の裏側)や三角筋(肩の筋肉)も鍛えることができます。
上半身全体がたくましくなるので、非常に効果的な筋トレです。
自宅で手軽にできる上半身の筋トレではこれに勝るものはないでしょう。
自分の体重が負荷になるので、自分の体重に応じた筋トレになるのも魅力的です。
一般に体重が重い人の方が筋肉量が多いです。
その筋肉量が多い人が自然と負荷を強くできるのです。
また、体を真っすぐに保って行わないといけないので、体幹トレーニングの側面もあります。
もちろん体幹トレーニングがメインではありませんが、腕立て伏せを行っていれば、大抵の人は別に体幹トレーニングをやる必要もないくらいです。
ただ、腕立て伏せを体幹トレーニングとして行いたいのであれば、体幹に常に力を入れておかないといけないので、かなりきついトレーニングになることは間違いありません。
体幹トレーニングを別途行うのが今の主流となりつつあります。
しかし、胸、肩、腕、体幹と同時に鍛えられる腕立て伏せは、非常に時間短縮の面でも優れた筋トレ種目だと言えるでしょう。
腕立て伏せの正しいやり方を動画付きで紹介
それでは腕立て伏せの正しいやり方を解説していきましょう。
前述のように、腕立て伏せは人気のトレーニング方法で、誰しもが一度はやったことがある種目が故に自己流のやり方が存在してしまっています。
しかし、その多くは間違ったやり方で、効果が薄いと言わざるを得ません。
なぜなら、何の知識もないと人間は本能的に「楽なやり方でやる」ようになるのです。
これは当たり前のことで、わざわざツライ方法を選んでやる人はいません。
効率的(力はできるだけ使わず)にやるのが当然なのです。
しかし、筋トレにおいて効率的にやるのは意味がありません。
きちんと狙った筋肉に負荷をかけることができるトレーニングこそ「いいトレーニング」なのです。
言葉で説明してもなかなか伝わりづらいのでまずは動画を見てもらいましょう。
そのあとにポイントなどを説明いたします。
①両手をつく位置は肩幅よりやや広めで
②体を一直線に保ちつつ体を体を支えます
③肘を曲げて体を沈めます
④顎が床に付くくらいまで体を下げたら一瞬止めて、再度持ち上げます
⑤肘を完全に伸ばしきったらフィニッシュ
以上を繰り返すのが腕立て伏せになります。
ポイントとしては腕立て伏せはあくまで大胸筋を鍛える種目なので、胸に刺激を入れることが重要です。
なので、なるべく床に置いている腕を広めにして体を直線に保って上下させるようにしてください。
腕は広めにすると胸に効果があり、狭めると上腕三頭筋(腕の裏側)に効果がありますので、覚えておきましょう。
腕に負荷を集中させたい場合は、腕は狭めれば良いわけです。
また、体を直線に保たないと腰だけが上下して、どこを鍛えているかわからなくなってしまいます。
腰の上下だけすると非常に楽なので、やりがちですが、胸にはほとんど刺激が入りません。
気を付けてください。
腕立て伏せは毎日やるのが効果的?
ちなみに腕立て伏せは毎日やった方が良いのでしょうか。
毎日行った方がいいという人もいれば、毎日行うと逆にトレーニング効果が薄くなるという人もいます。
答えは「人によって違う」というのが正しいでしょう。
ウエイトトレーニングをやっているとわかりますが、毎日はとてもやることができません。
なぜなら限界まで追い込んでいると、次の日に疲れが残っていて同じようなトレーニングができないからです。
「トレーニングを毎日やっていれば慣れてしまってできる」と言う人もいます。
しかし、ウエイトトレーニングの場合は、筋肉が慣れてしまわないようにどんどんと負荷を強くしていく(重量を重くする)方法です。
ですので、いつまで経っても慣れることはなく、ウエイトトレーニングをやった次の日はやはり疲労が残っているのです。
停滞期には、毎日のように同じ部位のウエイトトレーニングをやって停滞期を打ち破るというテクニックもありますが、これはあくまで上級者の話。
なので、初心者の人はウエイトトレーニングをやったら、同じ部位のトレーニングは2~3日は空けるのが普通です。
ただ、腕立て伏せというのはちょっと違います。
腕立て伏せは結局は自分の体重を使ったウエイトトレーニングなのですが、ただ、自分の体重が日々増えていくわけではありません。
少しは変わるかもしれませんが、1日で10キロ増える人はいませんよね。
なので、基本的に腕立て伏せというのは同じ重量でずっとやることになるわけです。
言い換えると、バーベルやダンベルを使ったウエイトトレーニングに比べて、運動強度がずっと同じなのです。
なので、腕立て伏せを毎日やっているとそのうち慣れます。
重量が変わらないので、それほどの時間が経たなくても慣れてしまうのです。
毎日腕立て伏せをやっているとわかりますが、最初のうちは筋肉痛になりますが、そのうちまったく筋肉痛が出なくなってしまいます。
平気で毎日のように腕立て伏せができるようになってしまうのです。
こういう人は毎日のように腕立て伏せをやってもいいでしょう。
ただし、あまり強度は高くないので、かなりの回数をやっても筋肥大の効果はあまり現れません。
まったく現れないということもないですが、長い時間をかけてやった割には期待するほどの筋肉はつかないでしょう。
ただ、腕立て伏せを20回もできないような人はまだ筋力が足りないので、毎日やらない方が良いでしょう。
やっても恐らく次の日に疲労が残っているので、前の日と同じようにはできないからです。
ある程度疲労が取れる期間(2~3日)を空けてからやりましょう。
腕立て伏せの適切な頻度は? 筋トレ後の食事のポイントも紹介
先に言ったように、腕立て伏せがかなり余裕でできるような人は毎日やっても構いません。
ただし、そういう人はジムでベンチプレスをやった方が高負荷のトレーニングができるので、そちらをおすすめします。
その方が効率よく筋肉はつくからです。
やはり、高負荷のトレーニングをした方が、その負荷に耐えられるように筋肉は大きくなろうとするのです。
腕立て伏せをやったら次の日に死ぬほどの筋肉痛になるような人や、20回も腕立て伏せができないような人は、期間をある程度空けた方が良いでしょう。
2~3日置き、1週間に3日もやれば十分です。
それで十分筋肉は成長していきます。
そして、筋肉が成長するために栄養バランスも気を付けましょう。
腕立て伏せをやった後にはタンパク質が十分な食事を摂ってください。
タンパク質は筋肉の成分になりますので、摂らないといくら腕立て伏せをしても筋肉はついてくれません。
タンパク質を多く含む食事と言えば、肉や魚です。
それらを食べられない場合は、プロテインパウダーなどのサプリメントを摂るのも一つの手です。
腕立て伏せの効果的な回数は?
腕立て伏せの適切な回数というのは人によりますので、特に決められた回数はありませんが、やはり最低でも20回はやりたいところです。
20回を3セット、それがとりあえずの目標で良いでしょう。
ただし、回数を目標にするとデメリットもあります。
回数をやることだけを目標にして、フォームが崩れてしまうことが多いのです。
フォームが崩れてでもとにかく回数を達成したい、などと思ってしまうわけです。
フォームが崩れてしまえば目的の筋肉に効かせることは難しいです。
なので、本来は回数は目標にしない方が良いのです。
あと1回もできないというところまでやる、それが理想でしょう。
回数はあくまで目安としてください。
フォームが崩れていなくても、実は33回できる人が30回で終わってしまったら、それは限界まで全然やっていないわけです。
腕立て伏せに限らず、筋トレというのは限界までやって初めて体が「このままではいけない」と思って筋肉をつけようとするのです。
腕立て伏せとウエイトトレーニングの違いとは?
「腕立て伏せは使える筋肉をつける」「ウエイトトレーニングは使えない筋肉をつける」なんて言っている人はいませんか?
その考え方はまったく時代遅れです。
そもそも、腕立て伏せも自分の体重を使って行うウエイトトレーニングの一種なので、効果の違いはありません。
ただ、腕立て伏せは重さを基本的には変えることができませんので、何となくバーベルで行うベンチプレスのようなウエイトトレーニングとは違う気がしてしまうだけなのです。
よく見ると腕立て伏せとベンチプレスは天と地が逆さまになっているだけでまったく同じ動きをしているのがわかるはずです。
ウエイトトレーニングが使えない筋肉をつけるものなら、なぜ世界のトップアスリートがウエイトトレーニングを取り入れているのでしょうか。
今や100メートルの世界記録保持者のウサイン・ボルトだってウエイトトレーニングをやっているのです。
筋肉モリモリにしても競技では勝てない、なんて言っているのは、もはや時代遅れの日本のスポーツ指導者だけです。
そもそも力をつけるのと技術を磨くのはまったく別物です。
例えば筋力を必要とする柔道のような格闘技であったとしても、筋力以上に技を磨く必要があります。
技を磨くには当然ですが、技術練習が必要です。
ウエイトトレーニングだけで技術は磨くことができません。
両方の練習をやってこそ意味があるのです。
その点を勘違いしてはいけません。
「ウエイトトレーニングをやっても競技力は上がらない」なんて理論は、完全におかしいのです。
腕立て伏せにダイエット効果はある?
腕立て伏せをやっていると痩せるのでしょうか?
筋肉がつくから基礎代謝が上がって、結果として痩せる…そんな理屈を聞いたことはありませんか?
しかし、腕立て伏せだけで全体がスリムに痩せるのはほぼ不可能と言っても良いでしょう。
筋肉は多少つきますが、そもそも腕立て伏せだけでつく筋肉は大した量ではありません。
先に言ったように腕立て伏せの負荷はそれほど強くないので、筋肉が大きくなる効果が薄いのです。
また、痩せない人の一番の問題は消費カロリーと摂取カロリーのバランスが悪いからです。
簡単にいうと必要以上に食べているのです。
痩せようと思ったら、必ず消費カロリーの方を上回る状態にしないといけません。
なので、食べる量を減らす必要があります。
運動では筋肉をつけてプロポーションを良くして、食事で脂肪を落とす、というのが正しい考え方です。
いくら運動をしてもそれ以上に食べていれば太りますし、痩せない人(どんどん太っているような人)は間違いなく食べ過ぎています。
まずは食事の量を見直すところから始めましょう。
腕立て伏せのバリエーション3種類【負荷の調節可能】
腕立て伏せには様々な種類があります。
ずっとやっていると負荷が弱くて効果がなくなってきますので、足を台の上に乗せて負荷を強くするのも良いでしょう。
足を台の上に乗せると、当然自分の体重が上半身に多くかかるので、負荷が強くなります。
また、ウエイトトレーニングで言えば、インクラインベンチプレスのような角度になりますので、大胸筋の中でも上の方に刺激が強く入るようになります。
大胸筋の上部が発達すると大胸筋が大きく見えるので、逞しい胸板を欲しいという人にはこの台の上に足を乗せる腕立て伏せはおすすすめです。
また、台の代わりにバランスボールを使うのも良いでしょう。
バランスが取りにくいので、体幹に力が入るので、腹筋を同時に鍛えることができます。
今流行りの体幹トレーニングにもなるわけです。
逆に腕立て伏せが全然できない人は膝を床について行うのも良いでしょう。
まずは膝を床について、それ以外は体を真っすぐにして腕立て伏せをやるわけです。
女性は特に上半身の力がないので、この膝つきの腕立て伏せがおすすめです。
まとめ
・腕立て伏せの頻度は人にもよるが、基本的には2,3日に1回程度。
・腕立て伏せだけで体重を落とすのはほぼ不可能なので、食事制限をする必要がある。
・腕立て伏せにはバリエーションが多いので、自分のレベルや鍛えたい部位に応じて種目を選ぶようにする。
いかがでしたでしょうか。
今回は腕立て伏せについて解説をしていきました。
腕立て伏せは家で簡単にはじめられるトレーニングの一つですが、間違った方法でやっている人も多いです。
やる前には、自分の腕立て伏せが正しいやり方かをしっかり確認してからやっていただくと効果が何倍も違います。
ぜひ一度確認してみましょう。