回旋筋腱板という一見難しい名前の筋肉は日常生活を送る上でもスポーツをする上でも非常に重要な働きをしています。
今回は回旋筋腱板の役割、構成する4つの筋肉の働き、トレーニング2つ、損傷を防ぐストレッチを紹介します。
目次
回旋筋腱板とは?
回旋筋腱板は読み方を「かいせんきんけんばん」と言い、英語で言うと「ローテーターカフ」と呼ばれている筋肉です。
英語の方が聞いたことがあるという人もいるかもしれません。
回旋筋腱板ですが、実は一つの筋肉ではありません。
4つの筋肉を総称して回旋筋腱板と言っています。
その筋肉とは「肩甲下筋」「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」の4つになります。
この4つが回旋筋腱板と呼ばれるのは簡単に言うと肩の回旋運動に関わっているからです。
厳密にいうと回旋運動だけでなく、肩の動きすべてに関わっています。
ちなみにこの回旋筋腱板ですが、いわゆるインナーマッスルと言われる筋肉になります。
回旋筋腱板の役割2つ!
回旋筋腱板の役割は何と言っても肩を動かす時に上手く動かせるようにすること。
もう一つは肩の関節を安定させることになります。
実は肩関節は自由に前後左右にぐるぐると動く代わりに、じん帯で固定されていないため安定していないのです。
なので、この回旋筋腱板がじん帯の代わりになって肩を安定させてくれているというわけです。
肩が他の関節と違ってぐるぐると回せるのはこの回旋筋腱板のおかげと言ってもいいのです。
こう聞くと回旋筋腱板が非常に重要な筋肉であることがわかってきますよね。
ちなみに固定されていない分、肩は非常に故障のおきやすい部位と言えます。
今「インナーマッスルを鍛えるべき」というブームになっていますが、この回旋筋腱板を鍛える必要性からきたのかもしれません。
回旋筋腱板を構成する4つの筋肉の働き!
回旋筋腱板を構成する筋肉は前述したように以下の「肩甲下筋」「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」の4つになります。
それぞれの働きを1つずつ見ていきましょう。
すべての筋肉の名称と働きを覚える必要はありませんが、一通り読んでおくとトレーニングするときにもイメージを持ってできるので一読しておくと良いでしょう。
肩甲下筋
場所は肩甲骨の前面にあります。(背中側から見ると裏側になります)
主な働きは腕を内側に捻るのに使う筋肉になります。
野球のピッチングなどに主に使う筋肉と言えばイメージしやすいでしょう。
棘上筋
棘上筋は肩甲骨と上腕骨をくっつけているのですが、場所としては肩の上の方にあります。
腕を内側から外に動かしたり、外に回旋させる時に使う筋肉です。
比較的痛めやすい筋肉でもあります。
棘下筋
名前からわかる棘上筋の下側にある筋肉です。
棘上筋と働きはあまり変わりませんが、こちらの棘下筋も内側から外に肩を動かす時に使うのですが、水平方向に動かす時に使う筋肉です。
手を前胸の前に出してそのまま外に動かす、そんな時に使います。
小円筋
位置としては棘下筋の更に下側にあるのが小円筋です。
働きとしては外側に腕を捻る時に使う筋肉になりますので、棘下筋とほとんど同じになります。
回旋筋腱板のトレーニング方法2つ!
次に回旋筋腱板をどのように鍛えれば良いのか、その方法について解説をしていきましょう。
回旋筋腱板は基本的には大きい筋肉とは違いそれほど力が出る部分ではありません。
なので、チューブトレーニングがおすすめになります。
男性でもチューブトレーニングで十分でしょう。
これはプロ野球の選手などもやっているトレーニングなので、かなり理にかなったものです。
一般の方にもおすすめです。
①エクスターナルローテション
⓶インターナルローテーション
ゴムチューブを買って是非上記2つのトレーニングをやってみてください。
ただし、回旋筋腱板は鍛えたからと言ってすぐに効果を実感できるような部分ではありません。
ゴムチューブでやっていると重量がアップしていくという数字的な面白さもないため、やっていると何だか意味があるのかわからなくなることもあるでしょう。
しかし、回旋筋腱板のトレーニングはここを強化することで他のトレーニングの質が良くなったり、怪我の予防にもつながります。
また、スポーツのパフォーマンスが良くなると言われていますので、ある意味数字には出ない部分で改善されるトレーニングです。
他の高重量を扱うトレーニングの間にやってみると良いでしょう。
回旋筋腱板は損傷しやすい筋肉!
前述していますが、回旋筋腱板は非常に怪我をしやすい部位です。
野球をやったことがある人ならわかると思いますが、「肩は消耗品」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
それくらい肩は故障しやすい部位なのです。
そして、肩の故障と言えば大抵の場合この回旋筋腱板の怪我であることが多いのです。
また、四十肩や五十肩の原因になるとも言われています。
では、先ほど紹介したトレーニングをしていれば大丈夫なのでは?と思うかもしれませんが、無理をし過ぎても壊れてしまう部位なので、無理は厳禁なのです。
痛いのに無理して運動を行ったりすると二度と昔のように全力を出すことができなくなってしまいます。
野球のピッチャーが怪我で復帰できなくて引退というのはよくあることですよね。
それはこの部分を怪我してしまって、結局治らないからということも多いのです。
痛みが出たらすぐに運動をやめる。
そういう気遣いは必要です。
特に四十肩や五十肩の原因になることからわかるように、年齢とともに弱ってくる筋肉でもあります。
年をとったら更に気を付ける必要があることを頭に入れておきましょう。
回旋筋腱板のストレッチ方法!
回旋筋腱板のストレッチの方法を解説していきます。
運動をするしないに関わらず前述のように年齢とともに衰えていく筋肉なので、ストレッチをして柔軟性を取り戻し、動きやすくしてあげてください。
動きやすくすれば、肩を動かす機会が増えますので、高齢の方も筋肉の衰えを緩やかにすることができます。
①いきなりストレッチをすると体がびっくりするので筋肉をほぐす(ツボを押してほぐす)
②手の甲を腰につけて肘を立てます
③反対の空いている手で立てた肘を持ちます
④前の方に引っ張ります(無理して引っ張る必要はありません)
⑤十分筋肉が伸びていると感じるところで停止する
上記を15秒~60秒ほどやって筋肉を伸ばします。
3セットほどやると良いでしょう。(右が終わったら左をやりましょう)
体が非常に固くなっている人はそもそも空いている手で自分の肘を掴めない人もいるかもしれません。
そういう場合は、服を着ている場合は服を引っ張ったり、家族に少し後ろから押してもらうなどしてやるようにしてください。
ただし、どのやり方にしても無理やりやるのは禁物です。
回旋筋腱板は鍛えなくてもいい?
トレーナーや研究者の中には「アウターマッスルを鍛えれば自動的にインナーマッスルも鍛えられる、インナーマッスルだけを鍛える意味はない」という人もたくさんいます。
確かに実際のところインナーマッスルだけを効率的に鍛えるというのは難しいです。
普通にウエイトトレーニングをするとアウターマッスルはもちろん、その奥にあるインナーマッスルも同時に動きます。
インナーマッスルのみを鍛える必要はない、アウターマッスルさえ鍛えれば良い、という意見もある意味正しいかもしれません。
ただし、回旋筋腱板の場合はなかなか難しい問題で、前述しているようにかなり故障をしやすい部位です。
なので、インナーマッスルトレーニングをやる意味があるという人の方が多いのが現状です。
回旋筋腱板の怪我の原因の多くがインナーマッスルとアウターマッスルのバランスが悪くなってくるからというのがその理由です。
インナーマッスルのトレーニングも実際はアウターマッスルも同時に動くためアウターマッスルのトレーニングにもなってしまうのですが、主にインナーマッスルに刺激が入ります。
なので、長く続けることでインナーマッスルを中心に鍛えることができるわけです。
インナーマッスルのトレーニングは表面上の体の変化もほとんどないため、なかなか数字として効果が見えにくいです。
そのためインナーマッスルトレーニングが意味あるのかないのかの議論は当分続きそうな感じはしますが、怪我をして損をするのは結局のところ自分自身です。
怪我の予防のためにもインナーマッスルのトレーニングをやっておいても良いのではないでしょうか。
ある意味保険のようなものと思えば納得できるのではないでしょうか。
まとめ
・回旋筋腱板肩の働きは肩を上手く動かせるようにすることと肩の関節を安定させること。
・回旋筋腱板は損傷しやすい筋肉なので、負荷の低いチューブトレーニングがおすすめ。
・回旋筋腱板はストレッチをすることで筋肉の衰えを緩やかにすることができる。
いかがでしたでしょうか。
回旋筋腱板について少しは理解できましたでしょうか。
回旋筋腱板は怪我をしやすい部位なので、無理をせず怪我の予防のためにもトレーニングやストレッチをやることをおすすめします。
ただし、痛みが出た場合は即刻やめるようにしてください。無理は禁物の部位です。
四十肩や五十肩の原因とも言われていますので、ある程度年齢がいった方にもトレーニングの意味がある部位になります。
ゴムチューブさえあれば、家で簡単にトレーニングができるため、早速ゴムチューブを購入してみてください。
テレビを見ながらでもできますよ。