全身の持久力を高めることは、スポーツをする人はもちろん、健康増進効果もあるのであらゆる人におすすめです。
今回は全身持久力の高め方2つ、トレーニングのポイント5つ、筋持久力との違い、測定方法や指標となる値を紹介します。
目次
全身持久力とは?
持久力ということはよく耳にしますし、普段の生活に中で使ったりしますが、「全身持久力」という言葉の意味をご存知でしょうか?
全身持久力とは「スタミナがある」と一般に評価されることを指しています。
全身を長時間にわたって動かし続けることのできる能力を指しています。
この全身持久力をつけると心臓や肺などの器官を強化することが出来ます。
そのため全身持久力は心肺持久力という言葉でも表すことが出来ます。
全身持久力が強化されていれば、マラソン・ジョギング・水泳・バイクなど長時間の運動を余儀なくされる種目において、最適なパフォーマンスを生み出すことが出来ます。
全身持久力が向上するということは、毛細血管が発達し、取り込む血液量が増えるということです。
筋肉の細胞に流れ込む血液の量が増加するため、それと同時により多くの酸素が運搬されるようになります。
つまり、長時間体を動かし続けても、十分な量の酸素が筋細胞に供給されることになる、疲れにくくなります。
こうした状態を「最大酸素摂取量が増加した」ということができます。
これは、運動面のパフォーマンス向上だけでなく、健康面でも大きな効果があります。
身体活動量が増加するため、それだけ消費カロリーが増え、生活習慣病のリスクを抑えることが出来ます。
さらにあらゆる病気や疾患を予防することが出来るのです。
なぜ全身持久力が必要なの?
なぜ、全身持久力が必要なのでしょうか?
全身持久力はスタミナや粘り強さの事を指すワードですが、この力は最大酸素摂取量によって評価されます。
全身持久力が高い人と低い人を比較すると、全身持久力の低い人の方が、全身持久力の高い人より3倍も脂肪率が上がりました。
これは、全身持久力と身体活動量の関係が強いために出た結果です。
身体活動量が多ければ多いほど、肥満になりにくくなります。
また、インスリンの感受性が高まり、動脈硬化を予防することが出来るため、あらゆる病気を予防できます。
病気の予防というだけのメリットではありません。
私たち人間は生きていくために必ず体の移動を行わなければなりません。
しかし体を動かすためには、体に有害な物質も生産しなければなりません。
これを「活性酸素」といいます。
この生産された有害物質は、抗酸化物質によって除去され私たちは健康な状態を保つことが出来ています。
これが全身持久力が高まり身体活動レベルが上がると、抗酸化物質の生産が多くなるのです。
全身持久力が高いということは、多くのエネルギーを保持しており、予備まであるという体の状態です。
ですから、全身持久力が低い人よりも、余裕を持って活動することが出来、活性酸素の生産量も減少するのです。
全身持久力の高め方2つ!
全身持久力を高めると、健康面で様々な効果やメリットがあるということが分かりました。
では、いったいどうすれば全身持久力を高めることが出来るのでしょうか?
全身持久力の高め方を2つに分けて考えてみましょう。
①有酸素運動
まず有酸素運動を行うことによって全身持久力を高めることが出来ます。
ジョギングや早歩き、サイクリングなどの運動が、全身持久力の強化には最適であると言えるでしょう。
効果的な有酸素運動となっているかを知るには、呼吸の仕方に注意すればすぐにわかります。
「ぜえぜえ」といった今にも倒れそうな呼吸になっていないでしょうか?
「はあはあ」という一定のリズムを刻むように呼吸できていれば、それは有酸素運動にふさわしい強度のレベルを保てているといえます。
少し早足でウォーキングで行うと、初心者の方は手軽に有酸素運動を行うことが出来るでしょう。
体にそれほど大きな負担をかけることはありませんし、歩くという運動は日ごろからよく行っている運動ですから、日常に取り入れやすい有酸素運動です。
できれば、毎日1時間を目安にウォーキングを行いましょう。
すでに様々な運動を習慣としているのであれば、強度を上げたり、時間を増やすなどして、より全身持久力を高めていくことをお勧めします。
②インターバルトレーニング
さらにおすすめな全身持久力を高めるためのトレーニング方法は「インターバルトレーニング」です。
これはすでに有酸素運動を行っていて運動習慣がついている人、つまり既にいくらか全身持久力が鍛えられており、さらにレベルアップしたいという方に最適です。
心拍を上げる期間は一分当たり160~180程度に設定し、回復期には120~130程度まで落とします。
このような、無酸素運動と有酸素運動を組み合わせて数セット行うことで、全身持久力を高めることが出来ます。
心肺機能が強化されたり、走行スピードをアップさせるなど様々な効果があります。
全身持久力と筋持久力の違いとは?
持久力と一言に行っても「全身持久力」と「筋持久力」は全く別物です。
筋持久力とは、筋肉自体が持っている持久力の事であり、心肺機能など内臓と関係がある全身持久力とは違います。
長時間筋肉を動かし続けるための力が筋持久力です。
実際の負荷がかかっている筋肉に対して言われる言葉で、筋トレで一部の筋肉に刺激を入れ続けることで、筋持久力はアップします。
筋持久力をつけると骨にも刺激がもたらされため、関節や腱などの結合組織が強化され、怪我をしにくくなります。
このように全身持久力と筋持久力はそもそも作用している部分が違うため、トレーニング方法も異なるうえに、効果も違います。
全身持久力をつけるトレーニングのポイント5つ!
全身持久力をつけるポイントを5つご紹介しましょう。
実は全身持久力を高めるには様々な持久力が関係しています。
①心肺持久力
全身持久力である心肺持久力を鍛えるには、有酸素運動を行わなければなりません。
これには前述の、高負荷な運動と低負荷な運動を繰り返すインターバルトレーニングがおすすめです。
②筋持久力
さらに、筋持久力も鍛えましょう。
トレーニングはいつもしているのに試合になると筋肉が壊れてしまう、筋肉の持久力がない、ということを経験された方も少なくありません。
ですから心肺持久力と共に筋持久力も高めておきましょう。
必要な筋肉の箇所に対し反復可能な負荷をかけてリズムよく繰り返す運動が効果的です。
痩せすぎの方は、食事で脂肪をある程度つけることも必要です。
③必要な持久力
持久力をつけたい!と思ったときにはそれなりの目標や目的があるはずです。
例えば、マラソンのタイムを上げたい、スポーツのための体力をつけたい、などです。
その目標に従って必要な持久力をつけるためにトレーニングを行いましょう。
例えばマラソンの大会に出るためであれば、1kmあたり何分で走るか、という目標を決めて、目標ペースで走っても疲れない体を鍛える必要があります。
④心肺機能向上サプリ
全身持久力はあらゆる場面で用いられますが、特にスポーツアスリートにとっては非常に重要な力です。
ですから、トレーニングと共にサプリメントを使用している人も少なくありません。
酸素を細胞に運搬するヘモグロビンを増加させる成分を服用していると、最大酸素摂取量の増加を期待でき、全身持久力がアップします。
自分に足りないと感じる部分をサプリで効率的に補っていきましょう。
⑤トレーニンメニューを立てる
具体的なトレーニング方法を立てて、全身持久力を高めていきましょう。
例えば以下のようなメニューがおすすめです。
1.インターバルトレーニング;100mダッシュ+300mジョギング×10本
2.レペテイショントレーニング;400mダッシュ+5分休憩×10本
3.サーキットトレーニング;腕立て伏せ+腹筋+スクワット30秒ずつ×15~30分
今持っている持久力も、ついてきた持久力も個人差があるため、どんな人もこのトレーニングがこなせるわけではありません。
時間や回数、距離は自分の体力と相談しながら決めるようにすると良いでしょう。
全身持久力を測定するには?
全身持久力は測定できることをご存知ですか。
全身持久力測定というものが行われています。
簡単にいえば運動しているときの血圧や心拍数、心電図などを測定することで、呼吸循環機能がどれほどの働きをしているのかを知り、全身持久力を測定するのです。
この測定で出た結果をもとに、専門のスタッフからこれから行ったらよい運動方法などをアドバイスしてもらうこともできます。
運動強度や運動時間、運動頻度など細かい点を提案してもらえるので、それまでよりももっと効率よく安全に全身持久力を高めるトレーニングが出来るでしょう。
測定方法は2種類!
全身持久力測定の種類には2種類で、「直接法」と「間接法」があります。
①直接方法
直説法ではランニングマシーンを利用します。
トレーニング効果の高い運動強度の指標となる嫌気性作業閾値と呼ばれるものを呼気ガス分析で測定します。
自転車エルゴメータやトレッドミルなどが良く使われるようです。
②間接法
間接法では、自転車エルゴメータを使用して、全身持久力の推定値を測定することができます。
こちらは全身持久力をこれから高めていきたい、と思っている方や初心者におすすめの方法です。
全身持久力の指標とは?
全身持久力の指標となるものは「最大酸素摂取量」です。
運動をする時にどれだけ長い時間体を動かし続けるのかという点は、どれだけ筋細胞に酸素を届けることが出来るのか、という点にかかっています。
筋細胞により多くの血液が流れ込み、酸素が供給されることで無酸素状態に陥らずに余裕で長時間運動を続けることが出来るのです。
この指標を意識してトレーニングを行うとより効率的になります。
まとめ
・全身持久力の高め方は有酸素運動とインターバルトレーニングを行うこと。
・全身持久力の指標となるものは「最大酸素摂取量」。
全身持久力を高めることは、健康を増進させます。
スタミナが必要な場面やスポーツを行うときのパフォーマンス向上にも効果があることでしょう。
ここでご紹介した全身持久力の高め方やトレーニング方法をぜひ参考になさってください。