効果抜群ながら腰痛の恐れもあるデッドリフトは、正しい知識ややり方で行えばその心配もかなり低くなります。
今回はデッドリフトで腰痛になる原因、正しいフォーム、腰痛の治し方、予防対策3つ、ハーフデッドリフトを紹介します。
目次
デッドリフトとは?
デッドリフトは主に背中と足の裏で全体を鍛える筋トレ種目です。
筋トレ種目としては最も広範囲の筋肉を一気に鍛えることができるので、効率的なトレーニングが可能です。
しかも、トレーニングに参加する筋肉が多いので、持てる重量はバーベル種目の中で最も重い重量を扱うことができますので、やっていても面白いです。
恐らく成人の男性であれば、120キロ~150キロ程度はすぐに上がるようになるでしょう。
それくらいどんどんと重量を上げることができます。
筋トレ種目のメインの種目である「ビッグ3(デッドリフト、ベンチプレス、スクワット)」の中でももっとも重い重量を扱えるので、好きな人も多いでしょう。
ただし、かなり重い重量を扱うので、家でやることはできません。(場所によってはできないことはないですが)
また、200キロ近くまで行くと最も辛い種目の1つになってくるので、段々とやらなくなっていく種目でもあります。
要するに多くの筋肉が参加するので、重い重量を扱いやすいのですが、それが限界までくると多くの筋肉を酷使しているだけあって、非常に辛くなってくるわけです。
しかし、「辛いトレーニング=効果のあるトレーニング」です。
デッドリフトを一生懸命やれば、これだけで基礎代謝がかなり上がりますので、太りにくい体質になります。
そして、背中全体が引き締まってカッコいい背中になるのは間違いありませんので、おすすめの種目になります。
デッドリフトは腰痛の原因になる?
デッドリフトは腰痛になりやすいと聞きますが、本当でしょうか。
残念ながら、それは本当です。
床に置いてあるバーベルを腰の高さまで持ち上げるわけですから、腰にまったく負担をかけずにやることはできません。
さらに先ほど説明したようにデッドリフトは非常に重い重量を扱える種目になります。
腰に負担をかけたとしても重りはどんどんと重くできてしまうのです。
そして、気づいたら腰が破壊された、なんてことはよくある話なのです。
しかし、これは本当にデッドリフトで重い重量を扱っただけが原因なのでしょうか?
まず原因を知らなければ、デッドリフトなんて怖くてできませんよね。
次はデッドリフトで腰痛が発生する原因を詳しく見ていきましょう。
デッドリフトで腰痛になる原因は?
デッドリフトで腰痛が発生する理由は確かに重いものを持ち上げ過ぎている、その理由もあるでしょう。
この種目の特性上、まったく腰に負担をかけずにはできないからです。
しかし、実は重りが重すぎるという理由の他にも原因がいくつかあるのです。
もっとも大きな原因は「間違ったフォーム」です。
間違ったフォームでやると下手をすると本来は100キロを持ち上げられる人でも50キロで腰痛を引き起こすことも。
「ぎっくり腰」と言う言葉を聞いたことはありますよね。
この「ぎっくり腰」は、下にある軽いものを軽いと思って腰を落とさないで持ち上げようとした時になります。
「ぎっくり腰」とデッドリフトの腰の痛め方は基本的に同じなのです。
いくら何でもデッドリフトを行う時に5キロのものを拾う感覚でやる人はいないと思いますが、間違ったフォームでやってしまえば同じことなのです。
大抵はこの「間違ったフォーム」で腰を痛めるのです。
では、正しいデッドリフトのフォームとはどのようなものでしょうか。
それを次に説明しましょう。
デッドリフトの正しいフォームを解説
それでは腰を痛めない(正確に言うと痛めにくくなる)デッドリフトの正しいフォームを解説しましょう。
言葉だけではなかなかうまく伝わらないので、動画を貼っておきます。
この動画を何度も見て自分のフォームを鏡で確認しながらやってみてください。
ジムに鏡が多く貼ってあるのは、フォーム確認のためもあるのです。
是非活用してください。
ちなみに今現在デッドリフトをトレーニングに取り入れている人も自分のフォームや考え方が正しいのか確認のために是非見てください。
今まで怪我していないのはフォームが正しいからではなく、単にたまたまかもしれないのですから。
①バーベルの重さを調整します
(初めての人はシャフトと重り合わせて25キロで十分です。フォームをまずは作らないといけないので、シャフト=20キロ、プレート=2.5キロにしておきましょう)
②シャフトの前に立ち、背中を丸めないようにしてシャフトを掴みます
(お尻を後ろに突き出すようにして掴む)
③膝を伸ばしながらバーベルを膝まで持ち上げます
(背中も若干伸ばしていきます)
④膝まで持ち上げたら今度は背中を伸ばしつつ腰まで引き上げます
腰まで持ち上げたらフィニッシュで、上記の動作を逆再生して下まで下ろします。
最後のフィニッシュの時にやたらと腰を後ろに反らしている人がいますが、腰を痛める原因となってしまいますので、やめてください。
動画を見て正しいフォームでデッドリフトをやればそれほど腰を痛めることはありません。
ただ、それでもあまりにも重い重量で行うと痛めることがあります。
その場合の治し方を次章で紹介していきます。
デッドリフトで腰痛になった時の治し方
もし、デッドリフトで腰を痛めたらどうしたらいいでしょうか。
慢性の腰痛の場合は大半が原因不明なので、医療機関に行ってもなかなか治りません。
しかし、デッドリフトが原因で起こった腰痛なら、まずは冷やすことが重要です。
怪我と言うのは基本的に熱を持つ(炎症が出る)ので、冷やすと治りが早いのです。
なので、痛みの出ている部分をアイシングなどで冷やすようにしてください。
ただし、この冷やすのは怪我をしてから72時間までです。
それで、痛みが取れてきたら徐々に運動をしてみます。
痛みが全然取れずに運動なんてトンデモナイ!という場合は、一度医療機関で診てもらう方が良いかもしれません。
前述したように腰痛の8割は原因不明ですが、今回の場合は、デッドリフトが原因で発生した腰痛なので、医療機関で原因を突き止められる可能性は十分にあります。
レントゲンなどを撮って原因を追究してみてください。
もしかしたら、デッドリフトはきっかけで、隠れた病気の症状と言うことも考えられますので、早めの受診をおすすめします。
デッドリフトでの腰痛予防対策3つ
デッドリフトで腰痛にならないようにするにはやはり正しいフォームでやるのが一番なのですが、それでも腰痛になる場合はあります。
その他に気を付ける点はないのでしょうか。
いくつかあるので紹介しましょう。
まず最初にやって欲しいのが、デッドリフトを行う時は必ず「トレーニングベルト」を使って欲しいということです。
トレーニングベルトとはトレーニングをする時に巻く極太のベルトのことです。
これをすることによって、腹圧が高まり、腰を安定させることができます。
ベルトをする時はできるだけ強く締め付けてください。
強く締めれば腹圧がその分強くなりますので、腰は安定します。
また、「ストラップ」も使った方が良いでしょう。
ストラップとは紹介した動画の中にも出てきますが、シャフトと手が離れてないように巻くひも状のトレーニンググッズです。
ストラップを使うことでトレーニングに集中ができるので、フォームが崩れる恐れが減ります。
また、デッドリフトをやる前はウォームアップを必ずするようにしましょう。
それは有酸素運動を軽くするのでも良いですし、軽めの重さでゆっくりデッドリフトをやるのでも良いでしょう。
また、ストレッチするのも有効です。
いずれにしても体を温めることは怪我の予防につながりますので、必ずやるようにしましょう。
腰痛になってデッドリフトが怖くなってしまった場合の対処法
デッドリフトで腰の怪我をしてしまうと、恐らくやるのが怖くなってしまうのではないでしょうか。
その場合は、精神的なものであれば、軽いものから徐々に重くしていけば大丈夫です。
最初は「こんな軽いのやる必要ある?」と思うくらい軽い重量ではじめましょう。
そして、徐々に上げていけばそのうち前のように上げることができるでしょう。
ただし、どうしても怖い場合があります。
その場合はデッドリフトはデッドリフトでも「ハーフデッドリフト」をやってみてはいかがでしょうか。
ハーフデッドリフトとは床に置いたバーベルを持ち上げるのではなく、最初のスタートがラックを使って、腰の位置からスタートをして、下ろすのも膝くらいまで。
要するに膝と腰の間でやるデッドリフトです。
こちらだとかなり重い重量をやっても腰に負担は少ないですし、恐怖感も少ないです。
そして、通常のデッドリフトより移動距離が少ないので、プラスで30キロくらいは上げられて楽しいです。
ただ、筋トレの効果からするとかなり通常のデッドリフトよりは落ちますので、そこが欠点と言えば欠点ですが、仕方がないでしょう。
それも怖くてできないとなれば、もう割り切ってデッドリフトは止めるというのも手でしょう。
背中や脚の裏は別の種目で鍛えると割り切るのです。
割り切った方が集中してやれるのでそれもありだと思います。
まとめ
・デッドリフトで腰痛になった際の治し方はまずは冷やして、その後も痛みが続くようであれば、医療機関にいくこと。
・デッドリフトで腰痛にならないための予防法で一番効果があるのはトレーニングベルトをすること。
いかがでしたでしょうか。
デッドリフトで腰を痛める人は多くいますが、大抵の場合はフォームの問題です。
腰をまだ痛めていない人は早速フォームの見直しをして、腰痛が起こらないようにしましょう。
すでに腰痛になってしまった人は治してからきちんとしたフォームで行ってください。
慢性的な腰痛の人はデッドリフトをやらないと割り切るのも手です。
筋トレは種目がたくさんあるので、やれない種目はやらないと割り切るのも一つの手です。
無理してやっても怪我をひどくするだけなので、自分の体と相談しながら行いましょう。