同じ運動をしても持久力の差で運動の質や効果に差が出てしまうため、持久力をつけることは非常に重要です。
今回は3種類の持久力の特徴、種類ごとに効果的なトレーニング方法、持久力を食事でつける方法を紹介します。
持久力とは?
「持久力」とは基本的にはスポーツで使う言葉ですが、人の性質を表すときにも使うことがあります。
「粘り強い」とか「継続する力」という意味があります。
しかし一般的に持久力と言えば、運動をする人のパフォーマンスを表す言葉ではないでしょうか。
どれだけ長く体を動かすことができるのか、速さや強さを一定時間維持することができるのか、という能力を表します。
そういう意味で言えば、持久力=体力と言っても間違いではないかもしれません。
ただ体力という意味の持久力も、ひとつではありません。
ひとつではないので、鍛え方も異なるということです。
次の章からはもう少し具体的に、持久力について詳しく解説していきましょう。
3種類の持久力を紹介
持久力には「全身持久力」「心肺持久力」「筋持久力」という3つの言葉が存在します。
それぞれどういう意味なのか、詳しく見ていきましょう。
全身持久力
全身持久力とは、「体力」や「スタミナ」と呼ばれる持久力のことです。
主にマラソンなどの長距離スポーツや、サッカーやバスケットボールなどで必要になる持久力です。
心肺持久力と同じ意味で使われることもあるほど、心肺機能が重要になってきます。
もちろん筋力も重要になっており、そのバランスが全身持久力の強さになります。
細かく言えば、以下で紹介する心肺持久力と筋持久力を総合した持久力と言えます。
つまり、体力=スタミナ=全身持久力であると言えるでしょう。
それぞれを鍛えることで、全身持久力を鍛ることができるのです。
心肺持久力、筋持久力の鍛え方については次の章で詳しく解説していきます。
心肺持久力
心肺持久力は、主に心肺機能の強さのことを言います。
全身持久力と同じ意味で使われることもありますが、細かく言えば心肺持久力は心肺機能の強さだけを表した言葉です。
全身持久力を鍛えるために、心肺持久力を鍛えることはとても効率的です。
心肺持久力を鍛えることで同時に筋持久力も鍛えることができ、結果的に全身持久力を鍛えることになります。
筋トレだけをしていても全身持久力は効率よく鍛えることはできませんが、心肺持久力を鍛えることでそれを解消できるのです。
筋持久力
心肺持久力は心肺機能に負担のかかる運動を行い続ける能力のことですが、筋持久力は筋力を使う高負荷な運動を続ける能力のことだと言えるでしょう。
もちろんマラソンも、サッカーもバスケも、ほぼすべてのスポーツで必要となる持久力です。
わかりやすい例で言うと、重い荷物を運ぶときに必要となる持久力が、筋持久力です。
特定の筋肉を、どれだけ継続して動かし続けることができるか、という点が重要になってきます。
トレーニングも、心肺持久力を鍛える方法とはまた異なる方法で鍛える必要があるでしょう。
【持久力を付ける方法①】心肺持久力のトレーニング
ここからは具体的に、心肺持久力を鍛えるトレーニングの方法をご紹介します。
ただのトレーニング方法だけではなく、長期的に見てしっかりと持久力を鍛えるための方法です。
走る前に気をつけよう
心肺持久力をつけるには、走ることが一番大切です。
「どれだけ長く走ったか」というのが持久力に直結します。
難しいことは考えず、ただ走ることが大切なのです。
しかし何も考えずに走るだけでは、いずれ体を壊してしまいます。
体を壊してしまって運動ができなくなると、一気に体力が落ちてしまいます。そうなると本末転倒ですよね。
体を鍛えるために走っていたのに、最終的に持久力が落ちてしまっていた、なんてことにもなりかねません。
まずはしっかりと食事管理、健康管理、そして走る前の準備運動が大切です。
毎日長距離を走るのではなく、しっかりと休息をとる必要があります。
調子が悪い日には、無理をせず休んでください。
特にランニングは膝をケガしやすいので、負担になるような走り方(無理をして走ることなど)はしないように注意しましょう。
低負荷のトレーニングで基礎体力をつける
「あまり運動が得意でない方」や「これから鍛え始めるという方」は特に、まずは低負荷のトレーニングを継続して、基礎体力をつけてください。
心肺持久力を鍛えるためには走ることが大切ですが、走るためにもある程度の持久力や筋力は必要です。
まずはゆっくり「かなり楽だな」と感じるぐらいのランニングを続けましょう。
できれば同時にスクワットを並行して行うと良いでしょう。
スクワットは主に下半身を鍛えるトレーニングですが、初心者には全身を動かす良いトレーニングになります。
言ってしまえば、スクワットをするだけでランニングの基礎体力はつけることができるのです。
最強のインターバルトレーニング
トレーニングの基礎体力がついている人にオススメの、持久力を鍛える最強のトレーニングが「インターバルトレーニング」です。
インターバルトレーニングとは、高負荷と低負荷を繰り返し行うトレーニングです。
簡単に言えば、スロージョギングとダッシュを繰り返す方法です。
プロも取り入れているほど、インターバルトレーニングは持久力を鍛えるのに有効な方法なのです。
同じ距離を走っていても、一定の速度で走り切るよりも、スローペースとダッシュを繰り返すインターバルトレーニングのほうが圧倒的に心肺持久力を鍛えることができるのです。
メリハリをつけるために、ダッシュは全力の7~8割の速度を出して走る、スロー(ジョグまたはウォーキング)で息を整える、ということを意識して行ってみてください。
ケガをしないようにしっかりと準備運動をして、体を温めてから行いましょう。
雨の日のトレーニング
雨の日は外に走りに行くことができませんし、自宅でもなかなかトレーニングが難しいかと思います。
そんなときでもやっぱり体を動かしたい、という人は多いはず。
ジムに行ける環境であれば、ランニングマシンやエアロバイクを利用しましょう。
近所にプールがあれば、泳ぐことも心肺持久力を鍛えるのにもってこいのトレーニングになるでしょう。
家の駐車場などで縄跳びができるのであれば、それもいいかもしれません。
これらの環境がなければ、スクワット→腕立て伏せ→腹筋→背筋→スクワットという流れでトレーニングを素早く繰り返してみてください。
これも基礎体力がないとできないことですが、心肺持久力もしっかりと鍛えることができるはずです。
【持久力を付ける方法②】筋持久力のトレーニング
心肺持久力のトレーニングは、主に走ることでした。
では筋持久力はどのようにして鍛えるのが効果的なのでしょうか。
筋持久力を鍛えることで、基礎的な運動能力が上がり、さらに高負荷のトレーニングをするための筋力もつきます。
スポーツで上を目指すなら、絶対に欠かせない「筋持久力」。
鍛え方をしっかりと押さえておきましょう。
心肺持久力とは違うということを知る
はじめに説明しましたが、筋持久力は心肺持久力とは異なります。
当たり前のことなのですが、知らない方も多いのでもう一度確認をしておきます。
この二つは同時に体に影響し合いますので、しばしば同じように認識されることがありますが、実はまったく違うということをまずは意識するようにしてください。
簡単に言うと、心肺持久力は心肺機能の強さ、筋持久力は筋肉の強さです。
もちろん鍛え方もそれぞれ異なります。
スポーツで持久力を鍛えたいという方は、そのスポーツをすることで両方同時に鍛えることもできます。
しかし重点的に持久力を鍛えたいということであれば、その二つを別々に意識して鍛えることが効率的です。
低負荷で基礎持久力をつける
心肺持久力のトレーニングでも言いましたが、まずは低負荷でトレーニングをして基礎体力をつけることを重視してください。
筋持久力を鍛えるには心肺持久力も必要なので、やはりランニングから始めるのがオススメです。
少し楽だなと思う程度でいいので、基礎体力がつくまでしっかりと走り込みましょう。
BIG3と呼ばれる筋力トレーニング(スクワット、デッドリフト、ベンチプレス)も、体の基礎をつくるのに効果的です。
自宅でトレーニングをする人は、スクワット、腕立て伏せ、背筋だけでも十分です。
筋持久力を鍛える前に
心肺持久力を高めるには、インターバルトレーニングが重要だということを解説してきました。
実は筋持久力を鍛えるトレーニングも、インターバルトレーニングが重要なのです。
しかしひとつ注意点があり、同じインターバルトレーニングでも、心肺持久力を鍛えるトレーニング方法とは全く異なるということです。
論理的に説明すると長くなってしまいますので、ここでは具体的にその方法だけご紹介しようと思います。
さらにもうひとつ、改めて確認しておくべき点があります。
人の体にある筋肉はひとつではなく、それぞれ違う筋肉だということです。
つまり、筋持久力を鍛えたいのであれば、どこの筋肉を鍛えるか、という点がとても重要になってくるのです。
スピードスケートのように主に下半身の筋持久力が必要な競技で、上半身の筋持久力ばかり鍛えていても効果はでません(もちろん意味はあります)。
筋持久力を鍛えたいのであれば、まずは自分の鍛えるべき筋肉を知ることです。
そして、その筋肉を鍛える方法を知りましょう。
そこでやっとトレーニングのスタート地点に立つわけです。
筋持久力を鍛える方法
筋持久力を鍛えるには、筋トレの負荷をコントロールすることが大切です。
まず、1セットのうちギリギリ10回あげられる負荷を100%の負荷とします。
100%の負荷でトレーニングを行うと最大筋力を上げる力はつきますが、筋持久力を上げることは難しいです。
さらに初心者や中級者ではケガをしやすいので、あまりオススメの方法ではありません。
筋持久力を効率良く鍛えるには、筋力トレーニングの負荷を限界の60~70%にして、まずは1セット(10~20回で限界まで)。
つまり100%の負荷が50kgだとしたら、その60~70%の30~35kg程度で1セットを行います。
そしてインターバル(休憩)を30秒~1分設けます。
このときできるだけ1分以上のインターバルはとらないようにしてください。
そして次は少し負荷を減らしてまた1セット。
短いインターバルをはさみ、また負荷を減らして1セット、合計3~4セット行います。
これが筋持久力を効率よく上げる方法です。
ポイントは、1セットで限界まで行うこと。
1セット10~20回ぐらいはできるように負荷を調節して低くしていくこと。
そしてインターバルは30~60秒で区切るということです。
【持久力を付ける方法③】食事もトレーニング同様に重要
持久力をつける方法は、トレーニングだけではありません。
もちろんトレーニングをしないと持久力はつきませんが、「食事」もトレーニングと同じぐらい大切なポイントです。
持久力をつけるにはどのような食事で、どんな栄養をとればいいのでしょうか。
鉄
持久力に必要な栄養素で、特に意識して摂ってほしいのが「鉄」です。
鉄は五大栄養素のうち「ミネラル」の一種で、ヘモグロビンの元になる栄養素です。
ヘモグロビンとは、血液中の赤血球の構成物質です。
血液が赤いのは赤血球を構成しているヘモグロビンの赤さなのです。
赤血球は酸素を取り込み、全身に運ぶ働きをします。
これが不足していると酸素が脳や各細胞に運ばれず、酸欠になってしまいます。
いわゆる「貧血」と呼ばれる状態です。
人は自分で気づいていないだけで、貧血になっていることが多いと言われています。
日本人の約10人に1人は貧血であるというデータも出ています。
持久力、特に心肺持久力には酸素を運ぶ力が大きく関係しています。
つまり、鉄をしっかり摂ることでヘモグロビンが作られ、赤血球が活発に活動し、酸素を全身に運びこんでくれるのです。
タンパク質
持久力を高めるもう一つの重要な栄養素が、「タンパク質」です。
タンパク質は髪の毛や爪、皮膚、骨、内臓、そして筋肉にいたるすべての細胞を構成している栄養素です。
当たり前ですが、内臓や骨、そして筋肉が弱っていると持久力は高まりませんよね。
呼吸をするためには肺が強くないといけません。
酸素を運ぶには血管が丈夫でないといけません。
早く走るには強い骨格と筋肉が必要です。
筋トレをして、筋肉を大きくするためにはタンパク質が必要です。
このように、タンパク質は持久力に大きく関わる栄養素なのです。
タンパク質は、牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類、牛乳やチーズなどの乳製品、味噌や納豆などの大豆製品、マグロなどの魚類に多く含まれています。
まとめ
・持久力には「全身持久力」「心肺持久力」「筋持久力」の3つに分けられる。
・持久力をつけるには運動以外にも食事も重要。
持久力は、鍛えてもすぐには効果がでません。
何か月、目標によっては何年もかかってしまうこともあるでしょう。
そのためには、まずはしっかりと今日お話ししたような知識を身につけることが大切です。
そして目標をしっかりと定め、トレーニングや食事内容をしっかりと管理することが大切です。
そうすることで少しずつ持久力がつき、自分の理想に近づくことができるでしょう。
スポーツにおける持久力トレーニングはとても重要です。
つらいトレーニングかもしれませんが、自分に負けず最後まで頑張りましょう!