最近流行りのインナーマッスルのトレーニングは誤った情報も多く、正しい知識や鍛え方が大切です。
今回はインナーマッスルの基礎知識、鍛える効果2つ、おススメの鍛え方と注意点、体幹との違い、誤った認識や鍛え方をまとめました。
目次
インナーマッスルとは
最近よく「インナーマッスル」と聞きますが、結局インナーマッスルって何なんでしょうか?
インナーマッスルを説明して欲しいと言われたら、きちんと説明できる人は少ないでしょう。
インナーマッスルとは簡単に言うと「深層筋」のこと。
深層筋とは体の表面にある見える筋肉ではなく、体の内側にある見えない筋肉全般のことを指します。
要するに体の見える部分だけを鍛えるのではなく、体の内側も鍛えようというのが今流行っているわけです。
インナーマッスルは見た目はあまり変えずに筋肉を鍛えることができますので、特に女性の間ではインナーマッスルを鍛えることが流行っています。
しかし、インナーマッスルに関しては非常に多くのデマや都市伝説がありますので、これを機会にきちんとインナーマッスルがどんなものかを学んでください。
インナーマッスルといわれる具体的な筋肉名
インナーマッスルが体の奥にある見えない筋肉と言うことはわかったのですが、では、具体的にどこにある筋肉で何という名称なのでしょうか。
例をあげないとわかりませんよね。
筋肉の名称で言うなら「棘上筋(きょくじょうきん)」「棘下筋(きょくかきん)」「腸骨筋(ちょうこつきん)」「起立筋」などがこれにあたります。
これらの筋肉がある場所は、棘上筋が肩の付近で、棘下筋が肩甲骨の付近、腸骨筋が腰のあたり、起立筋は背中とバラバラな位置にあります。
これを見てわかった方もいると思いますが、インナーマッスルは全身に点在しているので、特に決まっていないわけです。
インナー(内部)にある筋肉をすべて総称する名称なので、「インナーマッスルを鍛えるトレーニング」というのは本来は間違いなわけです。
普通の筋トレをする時に「アウターマッスル(外側の筋肉)を鍛えるトレーニングをする」なんて言いませんよね。
普通は腕を鍛えるとか胸を鍛えるなどと言うはずですよね。それと同じことです。
インナーマッスルを鍛えて得られる効果2つ
インナーマッスルを鍛えると様々な効果があると言われています。
例えば、インナーマッスルには内臓を正常な位置に戻す・維持する働きがあるので、ぽっこりお腹の解消につながると言われています。
内臓も当然何もしなければ重力に従って下に降りて来ようとしまうすが、その内臓を支えるのがインナーマッスルと言われているからです。
また、これはインナーマッスルだけではなくアウターマッスルでも同じことが言えますが、基礎代謝のアップが期待されます。
筋肉は発達して大きくなる程カロリーを勝手に消費してくれます。
なので、インナーマッスルを鍛えることで痩せやすい体になることができます。
アウターマッスルを鍛えた方がカロリーの消費は大きいですが、体の形が変わるのを嫌う女性はインナーマッスルを鍛えたいという人が多いかもしれませんね。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方を紹介
それではインナーマッスルの正しい鍛え方をご紹介しましょう。
インナーマッスルと一言で言っても前述のようにインナーマッスルは身体の様々な場所に存在しているため「インナーマッスルを鍛える筋トレ種目」と言っても様々あります。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方① プランク
まず最初にインナーマッスルのトレーニングでもっともポピュラーな種目である「プランク」をご紹介しましょう。
プランクは非常に簡単ですが、効果の高い種目と言われているので、是非これを機会に覚えてしまいましょう。
①床にうつ伏せで寝ころびます
②肘とつま先で体を一直線に支えます
③この状態で30秒~1分耐えます(耐えられるならもっと耐えても問題ないです)
以上を行うのがプランクです。
プランクは長時間やれば当然負荷は増します。
ほとんどの人はきちんと行えば最初は30秒もできないでしょう。
もし、30秒以上プランクをやっても全然大丈夫という方はフォームを見直しましょう。
きちんと体は一直線になっているか?お尻は上がっていないか?下がっていないか?を意識してください。
辛くなってくると体が直線ではなくなってきます。
自分でよくわからない人は横から人に見てもらうと良いでしょう。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方② ドローイング
次に紹介するのは「ドローイング」になります。
ドローイングとは呼吸法のことで何の器材も使いませんし、座りながらでも可能なので、インナーマッスルのトレーニングとしてはもっとも手軽にできるトレーニング方法と言えます。
時間のない忙しい方にはもっともおすすめのトレーニングと言えます。
①姿勢を正して、思いっきり息を吸います
②一旦呼吸を止めて、お腹を凹ませるながら息を吐き出します
③これ以上吐き出せない(お腹もこれ以上は凹ませることができない)状態まで息を吐き出します
④吐き出し状態でキープします(できれば30秒くらい)
⑤その後、息を吸います(①に戻ります)
以上を5回程度繰り返します。
このドローイングを暇さえあればやってください。
これだけで普通の人であれば、十分インナーマッスルと鍛えることができるでしょう。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方③ ローテーターカフ
こちらは肩のインナーマッスルを鍛える種目になります。
肩はプロ野球のピッチャーがよく故障する箇所ですが、それだけプロが手入れをしても怪我をしやすい箇所になります。
①トレーニング用チューブを垂直な柱に固定します
②チューブを体の前に通して、外側の手で掴みます
③チューブは真っすぐな状態で、脇を締めて真横に引っ張ります
④ゆっくりと元に戻します
脇を開かないように行うことが大切です。
脇を開いてしまうと肩のインナーマッスルではなく、腕の筋肉を使うことになってしまうので意味がありません。
また、戻す時にゆっくり戻すのも大事ですので、戻す時にも力を入れながら戻すようにしてください。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方④ サイドプランク
次は先に紹介したプランクの一種ですが、先ほどは下を向いて行いましたが、サイドプランクは横を向いて行います。
①床の上に横を向いて寝ころびます
②下になっている肘を床にたてます
③足を真っすぐに伸ばしてください
④この状態のまま30秒~1分程度キープします
以上がサイドプランクになります。
行う時間はご自身の筋力に合わせて行ってください。
徐々に長くできるようになるので、是非時計などで時間を計って行うようにしましょう。
また、それほど筋力がない方の場合は、膝を浮かせることができない場合がありますので、その場合は、膝をついてやっても構いません。
できるようになったら膝を浮かしてやってみてください。
膝をついてやる場合は肩から膝までは一直線になるようにしてください。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方⑤ クラムシェルウィズバンド
こちらのトレーニングはお尻のトレーニングになります。
女性が美尻を手に入れたいという際にやるトレーニングですが、ゴムバンドがあれば簡単にやることができるのでおすすめです。
お尻のトレーニング?インナーマッスルではないの?と思う方もいるかもしれませんが、お尻のインナーマッスルを鍛えるわけです。
①横向けで寝ころびます
②バンドを膝の下あたりにつけて、両膝を揃えて脚を閉じます
③足の先は合わせた状態で、膝を開きます
④お尻の筋肉に力が入っているのを確認したら、一番辛い箇所で1秒キープ
⑤ゆっくりと元に戻します
以上を繰り返すのが「クラムシェルウィズバンド」になります。
極端な話、テレビを見ながらでもできる運動ですので、時間がない人でもできるでしょう。
ゴムバンドはネットで1000円もせずに購入できますので、是非これを機会に購入を検討してみてください。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方⑥ ニートゥーエルボー
こちらの「ニートゥーエルボー」はインナーマッスルを鍛える種目であると同時に回数をこなせる種目なので、長時間行うことができます。
長時間行うことができるということは有酸素運動のようなやり方もできます。
インナーマッスルを鍛えると同時に有酸素運動もできるのでダイエットには非常に効果的な種目と言えます。
①立ち姿勢の状態で両腕を頭の後ろで組みます
②右ひざを大きく持ち上げると同時に左ひじを持ち上げた膝にくっ付けます
③元の立ち姿勢に戻ります
④次は逆の左ひざを大きく持ち上げると同時に右ひじを左ひざにくっつけます
⑤元の立ち姿勢に戻ります
以上が「ニートゥーエルボー」のやり方になります。
こちらの運動はスピードを上げてやることもできますし、フォームをしっかりと確認しながら1回ずつゆっくりとやっても効果があります。
ゆっくりとテンポよくやれば5分や10分続けることも可能ですので、有酸素運動に十分なります。
バイクやランなどの有酸素運動に飽きたという方は是非こちらの「ニートゥーエルボー」も有酸素運動に取り入れてはどうでしょうか。
インナーマッスルを鍛えたいという人なら有酸素運動はこちらだけするというのもありでしょう。
紹介した動画では5分間やり続けているので、一緒にやってみるのも良いでしょう。
一緒にやれば時間を計る必要もないですし、テンポも同じようにやれば、毎回同じスピードでやることができますので便利です。
インナーマッスルのおすすめの鍛え方⑦ クランチ
7つ目に紹介するのは「クランチ」です。
「クランチ」は腹直筋を鍛える種目として有名ですが、インナーマッスルも意識して鍛えることで非常に効果が高くなる種目の一つです。
①仰向けに寝転びます
②タオルなどがあれば、腰の下に入れるとより効果的ですが、なくても問題ありません
③足を持ち上げます(太ももと膝を共に90度程度で固定します)
④胸の前で腕をクロスします
⑤お腹をのぞき込むように上半身を持ち上げます
⑥ゆっくりと元に戻します
以上がクランチのやり方になります。
動画ではお腹の上にタオルを乗せて行っていますが、乗せなくてもOKです。
乗せるとのぞき込みやすいですし、タオルが下がっていけばきちんとやれている証拠なので、慣れていないうちはあった方が良いでしょう。
間違ってもシットアップのように体全体で起き上がらないようにしてください。
お腹の筋肉が収縮している感覚を感じるように行ってください。
意外にきついので、10回もやれば大抵の人はお腹が痛くなるくらいに効くはずです。
逆に楽にできているのであれば、きちんとお腹に力を入れていない証拠なので、きちんとお腹に力を入れて行うようにしましょう。
インナーマッスルの鍛え方の注意点
インナーマッスルを鍛える際の注意点です。
基本的にインナーマッスルと言われる深層筋を鍛えようと思ったら動きを止める必要があります。
先に紹介した「プランク」もそうですが、アウターマッスルを鍛える時のトレーニングは動きがあるのに対してインナーマッスルを鍛える種目はあまり動かない種目が多いです。
動かないと筋肉が鍛えられないのでは?と思う人もいるかもしれませ。
しかしプランクをやればわかると思いますが、非常に辛くて負荷も大きいです。
静止しているのがこんなにも辛いものかと最初にやった時にはびっくりするでしょう。
筋肉は動かしても、静止しても鍛えられるものなのです。
インナーマッスルはその静止している時に多く使われていると言われています。
インナーマッスルと体幹の違い
インナーマッスルと体幹を区別できていない方が多くいます。
インナーマッスルは先に紹介したように体の奥深くにある筋肉のことですが、体幹は文字通り体の幹の部分を言います。
要するに胴体の部分を指します。
手や足や頭は幹から生えた枝葉と言うイメージになります。
なので「体幹を鍛える」と言えば「胴体の部分を鍛える」という意味になるのです。
これはインナーマッスルもアウターマッスルも関係なくその部分を鍛えるという意味なので、体幹を鍛えると言う言葉にインナーマッスルだけを鍛えるという意味はありません。
胴体を鍛えるわけですから、当然腹筋運動などは体幹運動になるわけです。
かなり勘違いしている人が多いので、これを機会に覚えておきましょう。
インナーマッスルは「体の奥の筋肉」のこと。体幹は胴体のことです。
インナーマッスル鍛えてると言っているのに腹筋運動をやっているようなことを言うのはおかしいです。
腹筋運動はどう考えてもアウターマッスルも使っているからです。
そもそも腹筋は男性ならシックスパックなどでお腹を割りたいと思っている人も多いでしょう。
お腹が割れていることが「見える」のですから、目で確認できる時点で表面の筋肉であるアウターマッスルであって、見ることができないインナーマッスル(深層筋)ではないことはわかるでしょう。
腹筋を行うことでアウターマッスルと同時にインナーマッスルも鍛えることはできますが、腹筋はアウターマッスルを鍛えるために普通は行うことが多いです。
インナーマッスルに対する誤解
インナーマッスルを鍛えるのは今やフィットネス業界の流行になっています。
しかし勘違いしてはいけないのが、「インナーマッスルが鍛えるに値する筋肉」で、「アウターマッスルは鍛える必要はない筋肉」というような誤った認識をすることです。
これは特に女性の間で広まっている誤解です。
「インナーマッスルは鍛えても太らない(むしろ鍛えたら痩せる)けど、アウターマッスルは鍛えると太る(筋肉がついてゴツくなる)」との情報がまことしやかに雑誌に載っていたりします。
そんなことはありませんし、そもそもインナーマッスルと言うのはあくまでも体を安定させるために働く筋肉です。
その筋肉さえ鍛えていれば痩せるなどと言うことはありません。
また、アウターマッスルを鍛えるとゴツくなるというのはまったくの誤解ではありませんが、メリハリボディを作るためにはアウターマッスルを鍛えるのは必須と言えます。
インナーマッスルのみの鍛え方では体型は変えられない!
そもそもスポーツ科学の常識ではインナーマッスルだけを鍛えるという発想はありません。
なぜならインナーマッスルというのはアウターマッスルを鍛えることで同時に鍛えることができる部位だからです。
あえてインナーマッスルだけを鍛える必要がないのです。
フィットネス先進国のアメリカではインナーマッスルを鍛えている人はほとんどいません。
なぜなら、インナーマッスルのみを鍛えたとしても体の形は変わりません。
また、体の形を変えるため(自分が思う理想的な体に近づくため)にトレーニングは行うものだという考えが浸透しているからと言えます。
「アウターマッスルを鍛えればインナーマッスルも鍛えられた上に、更に理想的な体型に近づく」
「インナーマッスルだけでは体型が全然変わらない」
そう思えばインナーマッスルだけを鍛えようと思う人は日本人でもあまりいないのではないでしょうか。
でも、アウターマッスルばかり鍛えてゴツくなりたくない!と思っている人も女性にはいるかもしれません。
しかしアウターマッスルを鍛えるトレーニング(俗に言う筋トレ)と言うのは別に全身すべてをやる必要はありません。
筋肉を適度につけたい部分のみピックアップして、自分のやりたい部位だけやればいいのです。
そして、強度も強くしたくなければ強くしなくて良いですし、強度を強くしなければ筋肉はそれほどつきません。
つけたい部分にだけ筋肉をつけてメリハリボディを目指す、それが筋トレのいいところでもあるのです。
筋トレと言うのはこれをやらなければいけないというものはなく、意外に自由なのです。
このあたりは日本人の多くは勘違いしているのです。
インナーマッスルのトレーニングは低負荷&楽な鍛え方?
インナーマッスルは低負荷で鍛えた方が良いなどと言う何の根拠もないことを書いているネットの記事や雑誌なども多いです。
このような記事は要するに「インナーマッスル=低負荷でやって楽」「アウターマッスル=高負荷でやらなければいけないから辛い」などと言う意味で書いているわけです。
しかし、こんな研究結果はまったくありません。
そもそもプランクなどのインナーマッスルを鍛えることができるトレーニングを一度でもきちんとやったことがある人はわかると思いますが、それらのトレーニングはかなり辛いです。
「インナーマッスル=低負荷で楽」という方程式はこのことからもわかるようにまったく成り立っていません。
しかし、プランクに関わらず、そのような記事に目を通すと、とにかく「楽」「簡単」「時間がかからない」というような言葉のオンパレードです。
インナーマッスルのみを鍛える流行りに惑わされないで!
ここまで読んだ方は一つ疑問に思ったのではないでしょうか。
「なぜ日本ではインナーマッスルのトレーニングがそんなに流行っているのか?」と。
それは、日本のフィットネス業界が何か流行を作るとお金が回る仕組みになってしまっていることが一つの要因でしょう。
実際は体を変えるというのは昔から適切な食事と適度な運動と決まっています。
しかしそれをアピールせずに
「楽に痩せる」「簡単にかっこいい体に」「短期間で効果が出る」
などと言う宣伝文句で人を集めてダイエット商品を売ってきてしまっている現実があります。
今さら
「痩せるためには食事制限が必要」とか
「カッコいい体になるためには筋トレ(辛いトレーニング)が効果的」
「カッコいい体になるためには何か月もかかる」
などとは言えなくなってしまったのです。
企業である限り利益の追求は仕方のないところではありますが…。
このあたりは楽に痩せられることを求める消費者の方にもある程度の一端はあります。
しかしこれだけ情報が錯綜してしまっているとなかなか判断が難しいため、それを言うのは酷と言うものでしょう。
「楽して痩せる」「食べても痩せる」
などと言った言葉と同じように
「インナーマッスルさえ鍛えていれば楽してカッコいい体になる」
というのはフィットネス業界に興味を持ってもらったり、ダイエット商品を買ってもらうための宣伝文句のようなものです。
インナーマッスルを鍛えることがまったくの無意味とまでは言いませんが、アウターマッスルと同時に鍛えてこそ意味のある筋肉であることを認識してください。
まとめ
・インナーマッスルを鍛えることでぽっこりお腹の解消と基礎代謝アップに効果がある。
・インナーマッスルの鍛え方は楽だと勘違いしている人がいるが、実は非常に辛い。
・インナーマッスルと体幹は違い、鍛え方もまったく異なる。
・インナーマッスルのみを鍛える流行りに惑わされないようにすること。
いかがでしたでしょうか。
インナーマッスルがどのようなものかわかっていただけましたでしょうか。
インナーマッスルは鍛えても良いですが、アウターマッスルとセットで鍛えるようにしましょう。
その方が効率的に鍛えられますし、体の変わってくるのでやる気も出てきます。
「楽」「簡単」「短期間」などの言葉に踊らされずにしっかりと筋トレを行うようにしましょう。