10代男子にとって逞しい体は魅力的に映ると思いますが10代の筋トレには注意すべき点が多くあります。
今回は10代男子にできる筋トレの種類や正しい考え方、部位別の筋トレメニュー、食事制限や有酸素運動の効果を紹介します。
目次
成長期の10代男子に筋トレは悪影響?
「成長期のうちに筋トレをするのは体に悪い」
そんなことを聞いたことがある人も多いと思います。
「成長期のうちはまだ骨がきちんと成長しきっていないので無理な負荷はかけてはいけない」
「無理にやると身長が止まってしまう」
そんな理論を聞いたことがある人も多いでしょう。
これは本当でしょうか?
この説は半分は本当で半分は嘘だと言えます。
まず筋トレを成長期にまったくしてはいけないかと言うとそんなことはありません。
最近の研究では子供の頃の適度なウエイトトレーニングはむしろ身長を伸ばす可能性があると言われています。
では、なぜ身長が止まるなどと言うことが言われているのでしょうか?
これは先に紹介した説にも正しい部分があり、「無理な負荷」で行うウエイトトレーニングはやるべきではないのです。
成長期の子供の骨はまだ発達の途中なので、あまりにも無理な負荷で行うと骨格自体が歪んでしまったり、怪我の原因にもなります。
その結果身長が止まってしまう可能性もあるのです。
要するに成長期の筋トレが良いのか悪いのかは程度によるということになります。
どの程度の筋トレが良いのかは後で紹介しますが、「成長期の筋トレ=まったくダメ」と言うのは間違いだということは覚えておいてください。
10代男子におすすめの筋トレの種類とは?
10代の男性はどんな筋トレをするべきでしょうか?
10代と言っても10代の前半と後半では男性はまったく体つきも違いますし、中には10代中盤くらいで成長期が終わっている人もいるでしょう。
そうなるとすべての人に当てはまるわけではありませんが、とりあえず先に紹介したように、成長期の無理な筋トレは良くありません。
ほとんどの人は10代前半では筋トレを無理な重さでやるのはやめておいた方が良いでしょう。
基本的には自重でやる筋トレがおすすめになります。
自重でやる筋トレとは、学生の時にほとんどの人がやったことがあると思われる「腕立て伏せ」「腹筋運動」「背筋運動」などになります。
自重で行う筋トレはどんなに頑張っても自分の体重以上の重さではできないですし、小学生や中学生なら体重も軽いためそれほど無理な筋トレと言うことにはならないのです。
(人によりますし、自重以上の負荷をかけることも可能ですが、それはやめましょう)
10代男子と20代の筋トレメニューの違いとは?
20代になったら筋トレのメニューは変えた方が良いということでしょうか?
答えは「イエス」になります。
20代でまだ成長期と言う人はほぼいないので、20代になって体が完全に出来上がった頃に徐々に筋トレのメニューを変えるていくのが理想です。
具体的には当然負荷は増やしていきます。
また、回数もそれに伴って変化させていくのが良いでしょう。
ここでは10代の筋トレについて書いているので、20代の筋トレについては詳しくは書きませんが、20代~30代にかけてがもっとも筋トレのメニューが充実させられる時期です。
10代はそれまでの準備期間と考えてもらえば良いでしょう。
10代男子と女子の筋トレメニューの違いとは?
ちなみに余談ですが、男性と女性の筋トレメニューは変えるべきでしょうか?
10代前半であれば、男女の差がほとんどありません。
女の子の方がむしろ早く成長するので、成長期が10代中盤で終わっている場合も多いので、それほど気にすることはありません。
同じメニューで良いでしょう。
自重トレーニングの場合は特に自分の体重で筋トレをするので、女の子の体重が軽ければ負荷も少ないので、問題はありません。
しかし、女の子の体重がかなり重かったりした際には腕立て伏せの際には膝をついてやらせるなど負荷を減らす配慮が必要でしょう。
女の子は成長期が早く終わるので、中学生になると男の子に比べると一気に筋力は劣るようになってきます。
高校生になると完全に別メニューで考えるべきです。
男女の筋力差がかなりのものになってきますので、男の子が余裕を持ってできることも女の子はまったくできない可能性があるからです。
とは言っても高校生にもなれば、女の子は成長期が終わっているので、少々の無理は逆に効くこともあります。
しかし成長期が終わった女の子は「筋肉をつけてムキムキになりたくない」と考えるようになる可能性も高いです。
そのあたりは指導者がうまく精神的にコントロールすることも必要になって来るかもしれません。
10代男子の正しい筋トレの考え方!
今までのことを要約すると10代前半までは特に成長期で身長がかなり伸びるため、無理な負荷での筋トレをする必要はありません。
特に器具を使ったウエイトトレーニングはやらなくて良いでしょう。
また、10代前半までは男女の体格差もほとんどありませんので、男女でトレーニング内容を変える必要もありません。
同じように自重の筋トレをやることが可能です。
ただし、自重トレーニングと言っても無理は禁物です。
10代後半(高校生くらい)になってきたら、男女の筋力差はかなりのものになってきます。
筋トレ内容も男女で変えるべきでしょう。
また、男性はこの頃から器具を使ったウエイトトレーニングをやり始めても良いでしょう。
ただし、男性は10代後半まで成長期の場合もあるので、ウエイトトレーニングはあくまでもフォーム重視で重い重量を目指すのはやめましょう。
まずは基礎的なことを10代のうちにやって20代に備える。
そのような考えで10代の筋トレはとらえるようにしましょう。
長い目で見ることが大切です。
特に指導者の人はそのような観点からトレーニングをとらえることが重要です。
確かに高校の部活などになると勝たせたいので、筋トレをハードにやらせたくなってしまうでしょう。
しかし、それでも成長期の子に激しい筋トレはあまり良いことではありません。
個人個人に合ったトレーニングを指導するのも指導者の役目です。
筋トレをやらなくてもいい選手になることはあります。(将来的にはやった方が良いですが)
10代男子におススメの筋トレメニュー① 胸
10代のうちの胸のトレーニングは基本的には「腕立て伏せ」がおすすめメニューです。
腕立て伏せは学生のころほとんどの人がやったことがある種目ですが、きちんとした腕立て伏せをできる人はかなり少数です。
どうせやるならきちんとした腕立て伏せを覚えてください。
正しい腕立て伏せの動画を紹介しますので、参考にしてください。
①床に両手をついて(肩幅よりやや広め)つま先と腕だけで体を支える
②体は首から足まで真っすぐにするように心がける
③この状態のまま肘だけを曲げて体全体を沈めていく
④顎が床にギリギリの位置まできたら一旦止める(一瞬でいいです)
⑤姿勢をキープしつつ肘を伸ばしていき、元の姿勢に戻る
以上が正しい腕立て伏せのやり方になります。
このようにきちんとやっている人はあまりいません。
なぜならきちんとしたやり方は辛いからです。
人間は何にも制約がないと基本的に自分がもっとも楽なやり方でやろうとします。
なので、ほとんどの人の腕立て伏せは正しいフォームになっていないのです。
10代の頃に覚えたフォームと言うのは、体に染みついてしまうので、できれば10代の頃にきちんとしたフォームでやるようにしましょう。
こんな辛いフォームでやれないという人は膝をついた状態で始めると良いでしょう。
膝を床について行うと非常に楽になります。
フォームが崩れるよりこちらの方が胸に効きますし、将来筋力がついた時にすぐにきちんとした腕立て伏せができるようになるのでおすすめです。
10代男子におススメの筋トレメニュー② 脚
脚のトレーニングでおすすめなのはスクワットになります。
スクワットも自重で行うトレーニングなので、器具はまったく必要ありません。
脚の筋肉は10代とは言えかなり強いので、自重でやるとかなり簡単にできるトレーニングですが、バーベルを持ってのスクワットは20代以降の方が良いでしょう。
フォームが崩れた状態でバーベルを担いだ負荷の強いスクワットを行うと背骨に影響が出てしまうので、成長期の時には特にやらない方が良いです。
①足を肩幅くらいに広げて立ちます
②手は真っすぐ前に伸ばしておきましょう(違和感があれば腕は組んでもOKです)
③後ろに椅子があって、それに座るイメージで股関節を曲げていきます
④イメージ上の椅子に座ったら再度立ち上がります
以上がスクワットの正しいやり方になります。
椅子がイメージしにくい人は最初は本当に椅子を後ろに置いて、その椅子に座ってみてください。
そして、イメージが掴めたら椅子を外します。
背中を曲げてしまう人が多くいますが、背中は曲げてはいけません。
そのために腕を前に出しています。
腕を常に真っすぐ前に出していれば、自然と背中が真っすぐになるためです。
スクワットは座る角度が浅いとかなり楽なので、少なくとも太ももが床と平行になるくらいまではしゃがむようにしましょう。
浅く座ることで鍛える部位を変えることもできますが、それはもう少し先の話です。
最初は基本通りのスクワットをやってください。
10代男子におススメの筋トレメニュー③ 背中
背中のトレーニングは自重トレーニングは「懸垂」がもっとも効果的でしょう。
ただし、懸垂は10代前半のトレーニングとしてはかなりきついかもしれません。
自重トレーニングの中でもっともきついトレーニングが懸垂だからです。
他の自重トレーニングと違って自分の体重のすべてを使う筋トレなのです。
なので、最初は「斜め懸垂」をおすすめします。
斜め懸垂は低い鉄棒などで行う種目で、角度によって負荷を変えることができますし、背中のトレーニングとしては効果も十分なのでおすすめのトレーニングになります。
①鉄棒などを両手で持って立つ
②足を鉄棒より体と反対方向に出して体を斜めにする(鉄棒を持っている手で体を支えるようにする)
③肘を曲げて胸を鉄棒に近づける
④胸が鉄棒に触るくらいになったらゆっくりと元に戻す
以上が斜め懸垂の正しいやり方になります。
ポイントですが、背中を曲げないようにしてください。
曲げると腕の力で引っ張っていることになります。
斜め懸垂はあくまで背中を鍛えるトレーニングになりますので、できるだけ胸を張って背中を曲げないように行うようにしましょう。
また、足の位置によって体の角度が変わってきます。
体が倒れれば倒れるほど辛くなりますが、効果も高いです。
回数が全然できないという初心者の人はほぼ立った状態で始めるようにしましょう。
背中の肩甲骨が寄ると背中の筋肉に刺激が入りますので、肩甲骨が動いているのを確認しながらやるのも重要なポイントの一つですので、意識して行うようにしましょう。
これは斜め懸垂から普通の懸垂に移行した時も同じなので、肩甲骨が動いているかどうかは非常に重要なのです。
10代男子におススメの筋トレメニュー④ 腕
腕のトレーニングは自重でやるのが少し難しいので、ダンベルなどがあるとやりやすいのですが、自重で行えるトレーニングもありますのでご紹介します。
腕は力こぶができる上腕二頭筋と腕の裏側である上腕三頭筋の2つに分かれます。
上腕三頭筋は腕立て伏せでも使っているので、鍛えることができます。
ただし、上腕三頭筋をより鍛えたいという場合には、腕立て伏せの腕の幅を狭くする必要があります。
腕を置く位置を狭くすると胸に対しての刺激は減りますが、逆に上腕三頭筋への刺激は強くなります。
もし、腕の裏側の筋肉である上腕三頭筋を鍛えたいという場合は、腕立て伏せのバリエーションを増やしてみましょう。
また、力こぶ(上腕二頭筋)を鍛えたい場合は、斜め懸垂をする時に逆手持ちで鉄棒を持つと良いでしょう。
逆手持ちで持つことで背中への刺激は減りますが、上腕二頭筋への刺激は増えます。
持ち方を変えてやってみましょう。
10代男子におススメの筋トレメニュー⑤ 肩
肩のトレーニングは自重では難しいですが、自重でどうしてもやりたい場合は「逆立ち腕立て」が良いでしょう。
壁などに向かって逆立ちをして、腕を曲げ伸ばしするのです。
ただし、このトレーニングは自分の体重をほとんどすべてかけるので、かなり辛いトレーニングです。
辛くて回数ができないとか、そもそも逆立ちができないという人は、逆立ちまではせずに両足をついた状態で腰を限界まで上げて行う「パイクプレス」を行いましょう。
①床に両手を置く
②両足を手の方に近づけていき、腰を浮かす
③体がへの字になったらそこからスタート
④頭を徐々に下に下して床に付くギリギリで持ち上げる
以上を繰り返してやるのがパイクプレスです。
ポイントとしては背中を丸めて行わないということと、腰をできるだけ高く上げるということです。
腰を上げれば上げるほど肩に入る刺激が強くなります。
慣れてきたら足を椅子などに置いて高くします。
そうするとより強い刺激が肩に入るようになります。
どんどんと足を高くしていって、最後は逆立ちまで行くのが理想です。
10代男子におススメの筋トレメニュー⑥ 腹筋
腹筋のトレーニングはスタンダードな「シットアップ(一般の人がイメージする腹筋運動)」で良いでしょう。
シットアップは知っている人もいるかもしれませんが、腹筋のトレーニングと言うよりは「腸腰筋」のトレーニングです。
ただ、10代で筋トレ初心者の場合は、まずは腸腰筋を鍛えるのも大事なので、シットアップをおすすめします。
ちなみに、腸腰筋は股関節の部分の筋肉になります。
動画ではシットアップ専用の台でやっていますが、家で行う場合はどこか足を固定できる場所を探して行うようにしてください。
家族に足を持ってもらっても良いでしょう。
ちなみに膝は必ず曲げてやるようにしてください。
膝を伸ばして行うと腰に非常に負担がかかりますので注意してください。
シットアップは股関節の筋肉である腸腰筋から曲げるので、腸腰筋が主なターゲットになりますが、腹筋(腹直筋)にも刺激は入ります。
まずはこのシットアップで下半身の筋肉全体を鍛えて、20代以降になったらピンポイントで腹筋を鍛える種目をやるようにしましょう。
10代男子が腹筋を割るためには?
10代のうちから「腹筋を割りたい」と思っている人もいるでしょう。
特に中高生になると割れた腹筋に憧れる男性は多いのではないでしょうか。
しかし、腹筋を割るというのは「お腹の筋肉が発達している証拠」ではありません。
ここを勘違いしていると一生腹筋は割れません。
いくら腹筋が発達してもお腹周りに脂肪がついてしまっていると脂肪に隠れて腹筋は見えません。
人間の体の構造は筋肉の上に皮下脂肪がつくようにできていますので、腹筋を割るのに一番重要なのは脂肪を落とすことなのです。
要するに腹筋を割りたいならある程度脂肪を落とすために食事の制限もしないといけなくなってくるのです。
若いうちは非常に基礎代謝が高いため食事制限をしなくても皮下脂肪が薄くて腹筋が割れている人もいます。
しかし今現在腹筋が割れていない人は体質的に食事制限をしないと割れないタイプの人なので、食事制限をしないと絶対に腹筋は割れません。
10代男子が食事制限をしてもいい?
しかし、成長期のうちに食事制限をするのはあまりおすすめできません。
なぜなら、十分な食事を摂っていないと身長が止まってしまいますし、筋肉や骨の発達も十分にならない可能性があるからです。
割れた腹筋は20代以降もきちんとした食事制限をすれば、誰でも手に入れられるものです。
しかし、身長は成長期でないと伸びないので、成長期はあまり腹筋が割れることにこだわらない方が良いように思います。
まずは成長期には十分な栄養を摂って、身長を伸ばし、骨も十分成長させることが重要です。
成長期が終わった時に割れた腹筋のことは考えてみてはどうでしょうか。
割れた腹筋が身長より大事と言うことであれば、仕方がありませんが、骨の成長は成長期の時にきちんとできないと、一生弱い骨のままで過ごすことになってしまいます。
ある程度の年になってから「骨粗鬆症」などになるのは、若い頃の無理なダイエットが一因とも言われています。
まずは十分に食事を摂って、十分に運動をすることが将来の健康につながることを忘れてはいけません。
10代男子に有酸素運動は必要か?
今まで筋トレ(無酸素運動)のことばかり書いてきましたが、有酸素運動は10代では必要ないのでしょうか?
もちろん有酸素運動も10代の頃には必要です。
有酸素運動は心肺機能を強化する効果がありますので、あらゆるスポーツに役立ちます。
スタミナがあるというのは心肺機能が強いという意味とほぼ同じ意味なのです。
スポーツをやっていない人でも、心肺機能が強くなることで日ごろから疲れにくくなります。
また、受験勉強などのストレスがあった場合、有酸素運動にはストレス解消効果も高いので、おすすめの運動になります。
むしろ10代においては基礎体力をつけるという意味で筋トレなどの無酸素運動より重要かもしれません。
有酸素運動は長時間やる運動ですが、負荷としては無酸素運動よりずっと弱いため、成長期の子供にもまったく問題はありません。
みなさんもマラソンをやったら身長が止まるなんて話は聞いたことがないでしょう。
これはそれだけ有酸素運動が成長期の子供にとってもそれほど強い負荷でないことを示しています。
有酸素運動は「自分のできる範囲で走っている」だけなので、それほどの負荷にはならないのです。
10代のうちは何も考えずにとりあえず走ってみる、それでもいいかもしれません。
まとめ
・10代の男性の筋トレメニューは自重で行うのがおすすめ。
・10代のうちは成長期には十分な栄養を摂って、身長を伸ばし、骨も十分成長させることが重要なので、あまり無理な食事制限はしない方が良い。
いかがでしたでしょうか。
10代の筋トレについて少しはわかっていただけましたでしょうか。
10代は成長期なので、あまり厳しめの筋トレをやるのはおすすめできません。
骨が歪んでしまう可能性もありますし、そもそも怪我をしやすいからです。
なので、やるにしても自重の筋トレである「腕立て伏せ」「斜め懸垂」「スクワット」程度にしておきましょう。
腹筋を割りたいと思ってもダイエットを伴う場合はやめておきましょう。
10代のうちは力をつけるトレーニングよりも体力をつけるような練習をしましょう。
もし、スポーツをしているなら技術練習に力を注ぐ方が将来的には良いでしょう。