腕の痛みには程度や範囲が人によって異なるだけでなく、その原因も様々で、自分の症状や原因に合った最適な治し方を行う必要があります。
今回は、筋肉痛を含めた腕の痛みの原因7つと、それぞれの治し方について紹介します。
目次
腕の痛みは誰にでも起こりうる!
腕の痛みというと一般的には、筋肉トレーニングのし過ぎで、全体の筋肉が悲鳴を上げている状態を想像します。
しかし、毎日トレーニングをしている人だけでなく、普通に生活している人でも腕の不調を感じることは非常に多いものなのです。
では、どのような腕の不調があるのでしょうか。
腕の痛みの原因と治し方① 筋肉の使いすぎによる筋肉痛
筋肉を使いすぎた場合には、もちろん腕は動かなくなります。
なんといっても、普段私たちの腕を動かしているのは骨であり、関節です。
それをスムーズに無理なく動かすために筋肉ですので、筋肉を使いすぎてパンパンの状態では、腕に違和感を覚えるのは当然です。
また、腕をうまく上げたりといった動きに支障がでてくることは言うまでもありません。
筋肉を明らかに使いすぎた、という人にとっては、まず筋肉をしっかりと休ませてあげることが大切になってきます。
パンパンになっている筋肉は、使いすぎにより疲労してダメージを受けている状態です。
こうした腫れに近い状態を改善するのは、腕を楽な状態にすること、そして冷やすことが一番効果的だとされています。
腫れているということは、少なからず炎症を起こしている状態ということです。
野球でピッチャーが投げ終わった後腕を冷やすことからもわかりますが、この急性の症状の場合には、アイシングはかなり効きます。
腕の痛みの原因と治し方⓶ 腕や手の腱の炎症
ただの筋肉痛だと思い込んでいても、実は筋肉が原因でないことも考えられます。
それは、腕や手の腱が圧迫されたり、炎症を起こしている場合です。
手や腕をよく使う人に起こることが多く、なんだかつっかかって違和感を覚えたり、スムーズに動かすことが出来ないという自覚症状が出ることもあります。
よく筋を違えた、という表現をすることがありますが、このような状態では腱にダメージを受けている場合があります。
腱に不調がある時には、まず何よりもそれ以上腕を酷使してはいけません。
人間の人体の中で、筋肉や皮膚といった組織は損傷を受けても容易に回復できますが、腱は自力では修復できず、最悪の場合手術が必要となってしまうためです。
このケースの場合も、たいていは腕が腫れており、痛みが発生していることが多いでしょう。
大切なのは、うまく腕をアイシングしていくこともそうですが、その症状が出るに至った動きや運動をしばらく控えなければいけないということです。
いくら腕が複数の筋肉と腱をはじめとする組織で支えあっているとはいえ、同じ動きばかりをしていたら、必ず同じ場所に負荷が蓄積していきます。
結果としてその腱にダメージを受けてしまうため、これ以上ダメージを受けないためにも、自分の動きを分析して安静をとる必要があるのです。
腕の痛みの原因と治し方③ 広い範囲の場合は首・肩に問題ありかも
腕の調子が悪いと思っていると、ついつい腕ばかりに目を奪われてしまうのは皆同じです。
しかし、もし腕を動かすための筋肉より、首側にある肩や首筋、背中の筋肉などに問題があった場合、なんだか調子が悪いけれどなかなか治らないということになります。
このタイプの特徴として、広い範囲にわたって疲労や筋肉性の痛みを感じることが多いということです。
当然肩も凝っているし、背中も張っている、というような場合、腕が問題ではないのかも知れません。
特に肩の構造は非常にデリケートであり、重要な腱なども存在します。
そして、肩は骨がはまっているというより、筋肉で吊っている状態の構造ですから、極めてダメージを受け易いのです。
一度腕だけでなく、肩、首、背中と順番に流れを追うように触ってみてください。きっと、その流れのどこかも同時に異常をきたしているのがわかるでしょう。
この状態を改善するには、ひとつは大きな筋肉の緊張をほぐしてあげることが大切です。
背中や肩の筋肉も含めて念入りにマッサージを行うことで、かなり緩和されるものも多いといわれています。
筋肉を柔らかくしたら、姿勢がこれ以上悪くならないよう、念入りにチェックします。
首が前に出たり、片方に身体が偏っているなど不安定な状態であると、ますます腕に負荷がかかってしまうためです。
体全体の負荷を最小限にするよう行動してみましょう。
また、こうした疲労の場合には、比較的冷やすより温めると効くことの方が多いのも特徴です。
広範囲にかちこちになり、だるっとした状態であれば、血流が悪くなるのも心配です。
先にあげたマッサージで全身の緊張を取り除いた後、温かいお風呂やホットタオルなどで温めてあげましょう。
全身の血流がよくなり、次第に痛みが引いてくる可能性が高いということです。
腕の痛みの原因と治し方④ 背骨・脊髄の病気の可能性
腕の不調を見ていく上で欠かせないのが、背骨や脊髄のお話です。
腕や肩などに何の問題もなかったとしても、もし神経が圧迫されてしまっていたら、それだけで簡単に不調が出てきてしまいます。
最も有名なものとしては、椎間板ヘルニアや脊柱間狭窄症といった背中から腰にかけての病気です。
椎間板ヘルニア
背骨と背骨の間のクッションである椎間板がはみ出すことで神経を圧迫して起こります。
たいていは激しい痛みが起こり、腕が圧迫された位置に比例して痺れを表します。
脊柱間狭窄症
背骨の中にある神経、脊髄のまわりの一部が狭くなってしまい、それによって脊髄を圧迫することで、その部位に対応した身体の場所に痺れや機能不全を起こすものです。
交通事故や激しい運動などをする人はもちろんのこと、何も特別なことはしていなくても、普通に発症するケースもあります。
これらを治すためには、まずしっかりとした診断を受ける必要があります。
診断を受けた上で、どの程度神経を圧迫しており、どのくらいのひどさなのか、手術が必要なのか、をしっかりと理解していかなければいけません。
また、こうした背骨や脊髄に関連した痛みを伴う人は、普段からの姿勢にも気を遣いたいところです。
体全体を背骨が支えているわけであり、無理な体勢によっては容易に狭窄が進行してしまうためです。
薬や姿勢で対応できるものも多く、それを知り対策していくことで、かなり痛みを抑えたり、あるいは根治できる可能性があります。
このため、このタイプの人はマッサージなど刺激を与えるものや、激しい運動を避けるようにしてください。
床や椅子に座るときにも、クッションや姿勢が良好に保てる椅子などを検討するのもいいですね。
現在はかなり薬が発達しており、鎮痛剤をはじめ、筋肉の緊張を緩和するものや、神経の損傷回復を助けるものなどさまざまなものが存在します。
しっかりと診察を受けた上で、必要であれば薬物の力も使って症状を緩和させていきましょう。
腕の痛みの原因と治し方⑤ 関節系の病気の疑い
腕の不調を語る上で、関節は切っても切り離せないものです。
大抵の場合、何もないまっすぐな部分に痛みがある状態というのは骨折を除いてあまり多くはなく、たいていは肘や肩といった関節付近に痛みを感じる人が多いとされています。
関節は人間が緻密な動きが出来るためになくてはならないものですが、その構造からもわかる通り損傷を受け易い部位です。
特に、手足のこわばりといった症状が発生している人は、ひょっとすると重大な病気である可能性もあります。
最も有名な例として、関節リウマチが挙げられます。
よくおじいちゃんやおばあちゃんなどで、リウマチを患っている人がいらっしゃいますよね。
手足がぐにゃんとまがってしまった状態が特徴的ですが、あそこまで進行するのは、現代では稀であると言われています。
好発年齢が比較的若い世代であるというのも、あまり知られていない特徴かもしれません。
リウマチである場合、現在では具体的な変形や症状の悪化が起こる前に薬で対処できるようになっています。
また、この病気は自分の身体、特に関節部分を自分で攻撃してしまうというものであり、なかなかわかりにくい反面、血液検査でも状態が判明しやすい非常にポピュラーなものです。
病院にいってしっかりとした検査をし、関節周りに不具合がないかを確認することがとても大切です。
その上で、しっかりと温めて普段から負荷をかけないようにすることで、かなり予後がよくなることが知られていますから、関節に問題がある場合は迷わず医療機関にかかりましょう。
腕の痛みの原因と治し方⑥ 普段の生活習慣を見直そう
腕の不調を改善する上で、なくてはならないのが食事の問題です。
なぜ腕で食事?と思う人も多いかも知れませんね。
実は、腕が不調を訴えているときに大切なのは、出来るだけ血流を増やして早く修復していくことです。
そして修復に必要な栄養をしっかりと摂取していくことで、いち早く回復を高めることなのです。
緑黄色野菜や果物には、普段私たちが不足しがちな栄養素がふんだんに含まれています。
この中には、ビタミンをはじめとする代謝を司るものが多いのは有名ですね。
特に、ビタミンCやEの効果である抗酸化作用により体の代謝を促進するもの、たんぱく質である損傷部位を修復するのに大切なビタミンB群が含まれます。
こうしたいわゆる健康に良いとされる食材を中心に、食生活を整えていくことによって、かなり腕の調子は改善されていくことでしょう。
ただ、これらの食材は食べると体を冷やしてしまうものもあり、かといって熱を加えて料理すると大切なビタミンの成分が崩れてしまうものも多く、なかなか摂取するのが難しいところです。
野菜サラダなど、出来るだけそのまま素材を摂取できるよう工夫してみましょう。
身体、特に損傷部位の周辺は、血流を回復するためにも積極的に温めていくことが大切であるといえます。
また、こうした腕の不調を訴える人は、十中八九毎日の仕事や慣れない運動などで無理をしていることが多いものです。
いくら適切にトレーニングをして、いくら必要な栄養を摂取したとしても、体自体の機能が低下していれば、治るものも治りません。
このため腕の調子がおかしいな、と思ったら、積極的に休息をとり、できるだけ無理のない生活を心がけることが大切です。
体を充分に休め何もしない時間を作るなどして、体に優しい生活習慣を少しでも取り入れていくだけで、薬に頼らず楽になることができることも少なくないのです。
腕の痛みの原因と治し方⑦ 筋肉のバランスの偏りを解消しよう
いくら休息をしても、同じ生活習慣に戻ってしまったら、それこそ元の木阿弥です。
生活習慣を変えることもそうですが、生活習慣や多少の負荷に負けない体を作っていくことも同じくらい大切なことなのです。
腕の痛みをきっかけに、腕をはじめ全身を補強できるトレーニングはないものでしょうか。
効果的なトレーニングのひとつとして良いとされているのが、エクササイズ系の簡単な運動です。
全身の筋肉のバランスが偏っているとどうしてもどこかに無理が生じてしまい、特に上半身の場合は肩や腕に負担がかかることが多くなります。
ジムに通っている人はトレーナーからアドバイスをもらうこともできますから、しっかりと相談をして、体の柔軟性を上げるような体操を実施していくことが良いでしょう。
体の柔軟性を維持、促進するものとして有名な運動のひとつにヨガが上げられます。
普段日常では使わないような姿勢をキープすることによって、体内の機能を上げていきます。
そして同時に、全身の筋肉を鍛え、無駄な脂肪まで落としてくれる、かなり画期的なアクティビティとして知られています。
また、長く続けていると固まった筋や筋肉がほぐれ、自然と身体が柔らかくなります。
腕をはじめ全身が重いと感じており、運動にあまり自身がない人であってもおすすめできます。
ただ、決して行ってはいけないのが、無理に腕を動かすということです。
やり方がわからない体操など、無理をして闇雲に動かす人がいますが、これでは必要な効果が得られないばかりか余計に腕を痛めてしまいます。
ダンベルでのトレーニングなどがまさにそれにあたるかも知れません。
あくまで腕をいたわりながらも、楽しめる範囲で運動を行っていくことで、腕の悩みを改善することができるでしょう。
まとめ
・筋肉痛で腕が痛い場合は、筋肉をしっかりと休ませてあげることが大切。
・腕が痛い原因は非常に多いので、原因に応じた対処をする必要がある。
まずは腕に無理をしない程度に周りの環境や行動、運動から少しずつ変化させていき、腕の悩みを取り去っていくとよいでしょう。
是非この情報を活用して、ご自分の腕の痛みに適切に対処してみてください。