重い痛みがあったり見た目も悪くなる顔や体のむくみを早急に解決するには、きちんと原因をみつけて対処することが重要です。
今回は顔や体のむくみのメカニズム、むくむ原因4つと病気の可能性、むくみ解消法6つを紹介します。
顔や体がむくみやすくなる原因を体のメカニズムから解説
むくみ(浮腫み)とは体の中にある水分や老廃物が、何らかの原因によって心臓に戻らず、体の外へ排出されることなく体内にとどまることによって引き起こされます。
このむくみは重力と深い関わりがあり、立ちっぱなしや座りっぱなしといった、連続で同じ姿勢を取り続けることで症状が現れます。
朝起きて顔がむくんでしまうだけではなく、日中も足などに症状がおこる場合もあるのです。
また、一度むくみを引き起こすと、水分を身体の外に上手く排出できず、むくみやすくなることが分かっています。
心臓は身体の中でポンプの様な働きを担っており、体内の血液などを循環させ、体内にある細胞の全てに新しい血液と水分、酸素を供給させています。
この働きと同時に、体内で要らなくなってしまった二酸化炭素や水分などを、心臓に送り戻す役割も果たしています。
これらの働きが上手く出来なくなると、顔をはじめとする、身体の様々な個所にむくみが生じてしまうのです。
4つ 顔や体のむくみの原因
1.長時間同じ姿勢でいませんか?
長時間立ちっぱなしだったり、ずっと座りっぱなしの同じ姿勢を取っていませんか?
足は心臓から最も遠いパーツであり、足に重力などを受けることによって心臓から新しい血液や酸素、水分を正常に運ぶことができなくなってしまいます。
2.塩分や糖分を過剰摂取していませんか?
塩分の摂り過ぎ
食事などから摂取した塩分は体の中でナトリウムに変換され、カリウムの働きによって体の中に運ばれていきます。
塩分を摂りすぎると、体の中に過剰なナトリウムをキープする事になります。
そしてカリウムとのバランスがうまく取れず、カリウム不足の状態を引き起こしてしまいます。
すると、ナトリウムがカリウムの代わりに水分を摂取する様に体内信号が変わります。
塩辛いものを多く食べ過ぎた時など、皆さんも喉が渇いて水が飲みたくなる経験をした事があると思います。
実はその症状は、このナトリウムとカリウムの体内バランスが崩れることで引き起こされるのです。
また、塩分を過剰摂取することで、細胞浸透圧によって血管の外に水分が出て行ってしまい、出て行った水分がむくみの原因となります。
糖分の摂り過ぎ
一方の糖分は過剰摂取することによって、本来ならば体中で運ばれるはずの水分と糖が結合し、隅々まで水分が上手く流れることができない状態を作ってしまいます。
こうなると体内では血流が低下し、結果的にむくみやすい身体になるのです。
3.お酒やビールなど、アルコールの過剰摂取はしていませんか?
アルコールを摂取することで、体内に取り込まれたアルコールの濃度を薄めようと体が水分を要求します。
そのため血管は拡張され、血液の流れも穏やかになります。
本来であれば血液とともに不要な水分を運び、身体はすっきりとした状態を保つことができるのですが、緩やかな流れでは水分が滞りがちになってしまうのです。
更に、アルコールには利尿作用があるため、血管が拡張することで血流が緩やかになるのと同時に、広がった血管が外へどんどん水分を排出してしまいます。
そうなってしまうとリンパ管によって行われている水分処理が間に合わず、むくみをさらに生じさせやすい環境が出来上がります。
4.運動不足に陥ってはいませんか?
運動量が少ないと身体中の筋肉も減ってしまうものですが、中でもふくらはぎの筋力が衰えるとむくみやすくなることが知られています。
ふくらはぎは第2の心臓と呼ばれており、心臓に次いで2番目に大きなポンプの役割を担っています。
ですからふくらはぎの筋肉を付けたり、元々あるものを維持することは、むくみ対策をする上で必須です。
ふくらはぎのポンプを正常に動かすことは、むくみ解消に繋がります。
また、身体の筋肉量が低下すると、新陳代謝力も下がってしまいます。
新陳代謝が上手くできなくなると体温が下がり、そのせいで血行不良が引き起こされるのです。
血行が悪くなれば、どうしても老廃物の排出が滞りがちになります。これがむくみの原因になってしまいます。
顔や体のむくみの原因は病気の可能性も
むくみは先に述べた外的な要因のほかに、病によって引き起こされる場合もあります。
肝臓系疾患によるむくみ
肝臓は血液の中に含まれている水分を、一定水準に維持する働きを行うアルブミンというたんぱく質を作り出しています。
肝臓が病によって正常に働かなくなると、アルブミンを正常に生成することができなくなり、動脈から水分が抜けていってしまいます。
その結果、静脈やリンパに水分を摂り込むのがむずかしくなり、足や顔にむくみを発症させてしまいます。
肝臓疾患によるむくみの原因となるものには肝硬変や慢性肝炎、アルコール性肝炎などが挙げられます。
腎臓系疾患によるむくみ
腎臓は体内の水分や塩分の調整を行っています。
この腎臓に何らかの疾患を抱えてしまうことによって、余分に体内へと取り込まれた水分の排出や、過剰摂取された塩分の排出をスムーズに行う事ができなくなってしまいます。
また、たんぱく質を多量に排出することで体内の水分のバランスを崩し、手足や顔のむくみを生じさせてしまうのです。
腎臓疾患によるむくみの原因となるものには、腎不全やネフローゼ症候群などが挙げられます。
心臓疾患によるむくみ
心臓は先にも述べましたが、全身の全ての細胞や器官をも司っており、心臓がポンプの役割を果たす事で健康な体を維持しています。
ですので、心臓機能が低下するということは、つまり全身の機能が低下すると言っても過言ではありません。
心臓に疾患を抱えると、全身において水分やナトリウムを身体の外に排出することが難しくなり、体の中に溜まりやすくなることで手足や顔にむくみを生じさせます。
心臓疾患による浮腫みの原因となるものには、拡張型心筋症や心筋梗塞などが挙げられます。
自律神経系疾患によるむくみ
自律神経は、体内に有る余分な水分を身体の外へ排出し、一定量を保つ水分計のような働きを有しています。
そのため、自律神経の働きが低下することでこの水分計の働きを正常にできなくなってしまい、それがむくみの原因となります。
睡眠不足や不規則な生活、疲労などによって自律神経は乱れやすくなりますので、注意しましょう。
内分泌系疾患によるむくみ
内分泌系疾患には、甲状腺低下によって引き起こされているむくみがあります。
近年では若い人も甲状腺機能低下症を患う方が増えており、その代表的な病が“バセドウ病”です。
シンガーソングライターの絢香さんも、バセドウ病で暫く芸能界を休業していたことがニュースになっていましたので、その病名をご存知の方も多いのではないでしょうか。
通常のむくみの場合、むくんでいるか所を指などでぎゅっと押すとその箇所が凹むのですが、甲状腺低下症の場合はこの凹みが現れにくくなります。
その他の疾患によるむくみ
疾患系のむくみは、ほかにもビタミン欠乏症やアルブミン欠乏症といった栄養失調系のむくみと、妊娠中毒症、炎症系薬物性むくみ、血管浮腫などがあります。
顔と体のむくみ解消法6つ
むくみの原因は色々とありますので、解消させる方法もその人によって異なります。
しかし実際にむくみを何とかしたいと思っても、意外とその方法を知らない方も少なくありません。
そこで、ここではむくみを解消させるための方法を6つご紹介します。
自分に合う方法を探していきましょう。
むくみ解消法 その① マッサージ
顔のむくみにはマッサージが効果的だといわれています。
マッサージの際に避けたいのは、何もつけないでマッサージを行う事です。
肌に傷をつけやすくなりますので、スキンケアの時に使う化粧水やクリームなどで、滑りを良くするといいですね。
また、強すぎるのもよくありませんので、痛気持ちいいと感じる程度の力で行うようにしてください。
それでは具体的なやり方を部位別に見ていきましょう。
肩周り
- ①初めに両肩を回したり、肩甲骨を動かして肩から首にかけてのコリをほぐします。
- ⓶コリをほぐし終わったら首を中心にして頭をぐるっと円を描くようにしっかり回します。
- ③次いで頭を左右に倒していきます。3回ずつ程度で十分です。
④鎖骨のすぐ上にあるくぼみに親指以外の指4本を乗せて、指の腹でぐーっと指圧します。20回ほどゆっくり押します。
⑤最後はあごの下から鎖骨にかけてゆっくりとマッサージをしてください。
顔全体
次に顔全体をほぐしていきます。
①あごから耳にかけて顔を引っ張るようなイメージで輪郭に沿って指を滑らせてマッサージを行います。
⑦その後、耳の後ろから首筋を通って鎖骨まで、リンパの流れを意識しつつ指を滑らしましょう。
目元
目元のむくみ解消には目頭と目尻のあるツボを押します。
2回から3回程度で十分ですので、朝のスキンケアの時についでに行いましょう。
頭
また、髪を整える際に頭皮のマッサージをする事も効果的だと言われています。
頭皮は顔の皮膚と繋がっていますので、顔のむくみ解消にもおすすめです。
毎朝の習慣にしてすっきりした目覚めのためにぜひ取り入れてください。
むくみ解消法 その② 温冷パック
朝晩の洗顔時に、冷たい水に浸したタオルと温かいお湯に浸したタオルを2つ用意します。
この2つのタオルを交互に顔にあてて温冷パックをします。
温かいタオルで温パックをして顔全体をしっかり温めたあと、冷たいタオルで顔全体を引き締めてあげましょう。
血行が改善されて顔色が良くなりますし、朝は特に目がシャキッと覚めるのでおすすめです。
朝は忙しいという人は、保冷剤や電子レンジを活用することで時短できます。
保冷剤を顔にあてた後、電子レンジで温めたホットタオルを顔に当てるだけで十分です。
温冷どちらも1分ずつ程度行うだけでも構いません。
ちなみに、冷たいタオルが時間的に無理!という方は、冷やした化粧水をコットンに含ませてコットンパックをするだけでもOKです。
朝のメイク時にも手軽に行えますね。
むくみ解消法 その③ 運動
むくみは筋力の低下によっても生じますので、軽いストレッチ運動などで筋力アップをするように心掛けましょう。
特にふくらはぎの筋肉は、全身の血液や水分を送り込むポンプの役割を果たしていますので、筋肉をつけるように意識して習慣化させることが大切です。
また、運動をして汗をかくことで体内の余分な水分などを身体の外に排出する効果も得られます。
むくみ解消法 その④ 姿勢
同じ姿勢を長時間続けることで血行不良になりやすくなってしまいます。
仕事などで長時間座ったり、立ち続けたりする場合は、適度な間隔で姿勢を変えたり、ストレッチを行って血行促進を意識するようにしましょう。
むくみ解消法 その⑤ 入浴
入浴で体を温めることは、全身の発汗を促す事にも繋がっていますので、出来れば湯船につかってしっかりと身体を温めましょう。
入浴は運動同様に発汗することで体の外に余分な水分を排出する効果もありますので、むくみ解消に繋がります。
むくみ解消法 その⑥ 食事
塩分は過剰摂取することで体の水分を排出しにくくなりますので、塩分は出来るだけ控えめにするよう心がけましょう。
また、カリウムを多く含む食材を進んで摂るようにします。
夏野菜にはカリウムが含まれているものが多く、スイカやバナナなどの果物にも含まれています。
他にも芋類、海藻類、キノコ類などの食材にも多く含まれていますので、上手く食事に取り入れるようにしてください。
まとめ
・顔や体のむくみの原因は「長時間同じ姿勢」「塩分や糖分の過剰摂取」「アルコールの過剰摂取」「運動不足」の4つだが、それ以外に病気の可能性もある。
・むくみの解消方法は「マッサージ」「温冷パック」「運動」「姿勢を正す」「入浴」「適切な食事」の6つ。
いかがでしたでしょうか。
むくみと言っても生活習慣などの外的な要因から引き起こされているものの他に、疾患によるものもあることがお分かりいただけたと思います。
自分のむくみがどのような原因によって起こるのか知ることが大切です。
むくみが頻繁に起こったり、むくんでいる箇所を指で押してもなかなか戻ってこないなどの症状が続くようでしたら、病院へ受診する事も検討しましょう。
内臓系の疾患の疑いがある場合は総合病院へ、下肢静脈瘤が現れている場合は血管外科へ受診をおすすめします。
また、妊娠中の方はかかりつけの産科医に相談をして症状の緩和に努めてくださいね。