有酸素運動と無酸素運動の特徴や違いを理解しておくことで、より効率的かつ効果的運動になり、健康増進効果も期待できます。
今回は、有酸素運動と無酸素運動のそれぞれの特徴と違い3つ、効果的な運動の順番についてまとめました。
有酸素運動とは?
有酸素運動は簡単に言えば、普段よりも酸素を多く取り込みながら行う運動のことです。
「酸素を十分に取り込みながら行う」、これが有酸素運動の大きな特徴です。
これによって体内の脂肪や糖質をエネルギーとして燃焼することが可能となります。
そのため、運動中に疲労の原因となる乳酸が発生しづらく、加えて途中からエネルギー源が徐々に体脂肪に変わるため、長時間運動を行えるのです。
有酸素運動には呼吸の面でも特徴があります。
普段の呼吸法とは違い、有酸素運動を行っている最中は軽く弾むように、そして深く酸素を吸い込むという呼吸が行われます。
そしてこれによって多くの酸素を取り込むことができるわけです。
深く酸素を取り込みながら運動を行う、この点が有酸素運動の最大のポイントだと言ってもいいでしょう。
逆に言えば、呼吸が軽く弾み普段よりも多くの酸素を取り込めていれば、それは有酸素運動をしているということになるのです。
有酸素運動というのは人と会話をしながらでき、ほとんど汗もかかずに爽快感を味わえる運動です。
気になった方は一度試してみてはいかがでしょうか。
有酸素運動は目的・年齢の違いで使い分けよう
そんな有酸素運動ですが、実際に行う時には目的や年齢等によって運動のレベルを調節する必要があります。
例えばスポーツの基礎体力を鍛えたい方であれば、多少の辛さを感じる有酸素運動がおすすめです。
具体的な名前で言うとウォーキングやジョギング、水泳、水中ウォーキング、エアロバイク、サイクリング、少し変わったところではステッパーなどが挙げられます。
尚、このような運動を行う際には、必ず呼吸を意識して行わなければなりません。
何故なら、上記のような運動の場合にはあまり激しくやってしまうと無酸素運動になってしまうからです。
是非とも注意して頂きたいと思います。
次に年配の方や運動療法の一環として有酸素運動を行う場合です。
このようなケースではあくまでも軽めの運動を行うことが勧められます。
そうでないと、有益なはずの有酸素運動が健康を害することにつながってしまうからです。
ですからあくまでも節度を持って、無理をしない範囲で運動を行っていただきたいと思います。
そうすれば、有酸素運動は非常に有効に働きます。
なにしろ有酸素運動には脂肪を燃焼するだけでなく、血行の改善や足腰の強化等の健康効果があるとされているからです。
その効果は非常に大きなもので、実際に医療の現場で薬物療法や食事療法と並んで運動療法の中に有酸素運動が含まれているほどなのです。
また、有酸素運動にはダイエット効果があるということも今や多くの方が知るところとなっています。
20分ほど有酸素運動を続けるだけで脂肪がエネルギー源として燃焼されるため、ダイエットに繋がります。
しかも有酸素運動の多くは、誰かと競う必要のない自分一人でも行えるものばかりですので、自分のペースで続けられるという点もメリットです。
無酸素運動とは?
無酸素運動とは、運動中に強く息を吐いたり、場合によっては息を止めたりする運動のことで、酸素の取り込みの少ない運動のことを言います。
もう少し簡単に言うと、「激しい運動」ということになります。
皆さんも、激しい運動をした後で呼吸が激しくなる経験をされた事があると思います。
あれは運動中に酸素がほとんど取り込まれていないために起こる現象で、まさに無酸素運動を行った証なのです。
無酸素運動は筋肉内に存在する糖質(グリコーゲン)を使用する運動です。
しかし、この糖質の量には限界があり、この糖質が無くなると人体に様々な悪影響が現れてしまいます。
そこで、私たちの身体は糖質の量が減ってくると乳酸を発生させ、筋肉の動きを止めてしまいます。
これはつまり、筋肉を動かしてしまうと自動的に糖質を燃焼させてしまうため、乳酸を発生させて筋肉の動きを止めることで糖質の減少を抑えようとしているということです。
ですから、無酸素運動は基本的には続けて長い時間行うことは出来ません。
腕立て伏せやスクワットを考えればすぐにわかると思いますが、こうした無酸素運動は何回か続けているとすぐに体が言うことを聞かなくなります。
つまり、身体が「それ以上無酸素運動をするな」と言っているのです。
そんな無酸素運動ですが、筋力を強化できるといったメリットがある一方で、やり方次第では大きなデメリットが発生してしまう危険性があるということも忘れてはいけません。
と言うのも、高齢者や特定の病気をお持ちの患者さんが無酸素運動をしてしまうと、心臓発作の原因になってしまう可能性があるからです。
おそらく皆さんもテレビなどでジョギング中に高齢者の方が倒れて心臓発作で病院に搬送されたというニュースを見聞きしたことがあるかと思います。
あのような事態を避けるためにも無酸素運動はくれぐれも年齢と健康状態に十分に留意した上で行うようお願いしたいと思います。
有酸素運動と無酸素運動の3つの違い
有酸素運動と無酸素運動には大きく分けて3つの違いがあります。
まず1つ目は酸素を使用するか否かという点です。
文字を見ただけでも分かりますが、有酸素運動は酸素を使いますが、無酸素運動は酸素を全く使わないかほとんど使いません。
2つ目の違いは運動可能時間です。
有酸素運動は継続的かつ長時間に渡って行われますが、無酸素運動は短時間(反復することは可能)で終わります。
そして3つ目はエネルギー源です。
有酸素運動の場合は脂肪酸が主たるエネルギー源となりますが、無酸素運動の場合はグルコースが使用されます。
もっとも、マラソンなど一部の種目では脂肪酸とグルコースが交代にエネルギー源になるということもあります。
トレーニングには有酸素運動と無酸素運動の順番が重要
有酸素運動と無酸素運動をどのような順番で行うかという問題ですが、これはズバリ無酸素運動を初めに行うことが得策です。
何故かと言うと、その理由は2つあります。
まず1つ目は、有酸素運動後の身体では無酸素運動を行うことが難しいという点です。
無酸素運動後に有酸素運動をすることは全く困難ではありませんが、逆の場合には身体にかかる負担が大きくなりすぎてしまいます。
そして2つ目は、有酸素運動を先に行ってしまうと、脂肪の分解が悪くなってしまうという点です。
私たちの身体からは、無酸素運動中に成長ホルモンが分泌され、これがホルモン感受性リパーゼという酵素の働きを活性化させます。
そしてこの酵素が、中性脂肪を1つのグリセロールと3つの脂肪酸に分解し血液中に放出し、これがエネルギーとなっていくのです。
ただ、このホルモンには一つ問題があります。
有酸素運動後に無酸素運動を始めると脳が十分にホルモンを分泌したと判断して、分泌量が抑えられてしまうのです。
ですから、当然脂肪の分解も悪くなってしまいます。
このような理由がありますので、有酸素運動と無酸素運動を続けて行う際には、必ず無酸素運動を初めに行うようにしましょう。
おわりに
・有酸素運動と無酸素運動は「酸素を使用するか否か」「運動可能時間」「エネルギー源」の3つが大きい違い。
・トレーニングには有酸素運動と無酸素運動の順番が重要で、無酸素運動を先に行うことで脂肪の分解は効率よくすすむ。
有酸素運動にしても無酸素運動にしても、それぞれに特徴があり効用があります。
自分の目的にはどちらの運動が良いのか、順番に行う時にはどちらを先にすれば良いのか、さらにはどんな運動があてはまるのか。ぜひ参考になさってください。