「就職氷河期」は過去の話と思われがちですが、実は就職氷河期世代は今なおその影響を受け苦しんでいる現状があります。
今回は就職氷河期になった原因、世代や年齢、彼らが悲惨な理由と特徴6つ、年収や末路を紹介します。
目次
就職氷河期とは?
「就職氷河期」という言葉をお聞きのなったことはおありでしょうか。
就活経験のある方なら、誰もが一度は耳にしたことがあるワードであるはずです。
就職氷河期は過去のこと、と考えている人もいれば、今なお継続中である、と感じている人もいるようです。
実際のところ、就職氷河期とはなんでしょうか?
就職氷河期とは、バブル崩壊後に就職することが難しくなった社会問題のことを指しています。
つまり、就職難の時代=就職氷河期なのです。
長期的な不景気が続いていることを氷河期に例えているのは、的確だと思われることでしょう。
就職氷河期になった原因とは?
では、バブル期が終わり、一気に就職氷河期に入ったのはなぜでしょうか?
就職氷河期に突入した原因を考えていくと、どの世代の人が特に就職困難に陥っていたのかを知ることが出来ます。
就職氷河期が起こったのは、バブルが崩壊したからです。
バブル期には資金供給が盛んに行われていました。
ですから、市場の拡大がどんどん広がり、就職する場所はたくさんありました。
お金の動きが速く、どんどん投資されるので、「仕事が無くて困る」ということは無かったのです。
しかしその後、海外から指摘されたことを発端に、経済の実態と資金の流れに矛盾が生じ、資金が供給されなくなりました。
その後、資金供給が抑えられたため、当然投資先が急激に下落し、バブル崩壊となったのです。
このため、企業は収益を上げることが難しくなり、就職を抑制し始めたため、徐々に就職氷河期へと突入していきました。
就職氷河期世代の人たちの特徴ではなく、ただ単にその時代に就職活動をしていた人たちの運が悪かったとしか言いようのない状態でした。
就職氷河期の世代・年齢とは?
就職氷河期の世代や年齢はどれくらいなのでしょうか。
毎年、就職難と言われているようですが、では、就職氷河期は今なおずっと続いているのでしょうか?
実はそうではなく、就職氷河期の世代はある程度絞られています。
曖昧な設定ではありますが、就職氷河期世代とは、1993年~2005年度に卒業した人たちということができます。
氷河期世代初期
「氷河期世代の初期」というのは、昭和時代に義務教育を受けていた人たちの世代です。
氷河期世代初期に大学を卒業した世代の人たちは、就職するのが非常に困難になりました。
しかし、その世代の高校卒業後に就職活動を行なった人たちは4年の違いで、大手の企業に就職した人たちもいるのです。
この4年の差が、その後の生活の末路に大きな影響を与えることになるとは学生時代には思いもしなかったことでしょう。
氷河期世代中期
「氷河期世代の中期」の世代の人たちは、氷河期世代が始まった頃は小学生、中学生だった人になります。
この世代は10歳になるかならないかの頃に、冷戦が終結しバブルが崩壊し、世界がグローバルな意識の波に飲まれつつあった時期と言えるでしょう。
この氷河期世代中期の人は、どの時点で就職活動をし始めたかに関わらなく就職が困難になっていました。
この時代に15~24歳になった人たちは、氷河期世代の最も困難な時代に就職しなければならなくなったのです。
氷河期世代末期
「氷河期世代末期」になると、氷河期世代中期よりは就職が簡単になったようです。
バブル崩壊すら経験していない年代の時期になります。
高校を卒業してすぐ就職することは非常に困難になっていましたが、短期間で就職状況が良くなった時もありました。
レベルの高い大学に進学し、大学院まで行ったりした人たちは、高校卒業者よりも就職の枠が広がったようです。
この傾向は今尚継続されています。
ですから、現在は氷河期世代の超就職難の時期よりは改善されているようです。
就職氷河期世代が悲惨と言われる理由とは?
「就職氷河期に就職活動をしている世代が悲惨」と言われる理由は、雇用状況にあります。
この時代は就職することが難しいだけでなく雇用関係が曖昧で、高校を卒業しているか、大学まで行っているかで、待遇がかなり変わっていました。
現在平成29年の調べによると、大学卒業者たちの就職率は97.6%となっています。
ですから、最近では就職状況はかなり改善されていると言えるでしょう。
しかしこれと比べて、平成15年の就職率は55.1%であり、かなりの就職難であったことがわかります。
また高校卒業者に関しては、たったの16.0%しか就職できていないのです。
就職氷河期を後押ししたものとして、この時代は経済改革が進み過ぎて学生たちの就職状況まで手が回らなかったということもあるでしょう。
就職氷河期世代の特徴6つ
就職氷河期に就職競争を行なってきた世代の方に共通している特徴というものがあります。
バブルが崩壊し、これまでとは全く違った経済状況の中で必死に生き抜いてきた人たちはいったいどのような特徴を持っているのでしょうか。
貯蓄型
就職氷河期は将来に関して悲観的な見方を持っています。
いつリストラされるかわからない、いつ会社が倒産するかわからない、そうした不安の中で将来を考えるため、貯蓄に力を入れている人が大勢います。
特に、2000年代に入ってから特に就職が厳しくなったため、消費することに抵抗を感じている人が少なくありません。
出来るだけ、給料を手元に置いておこうとするのです。
高級車を購入したり、アルコールやタバコにお金をかける人がどんどん少なくなっています。
晩婚
就職氷河期世代の人たちの2つ目の特徴は、晩婚です。
それと同時に、出産の年齢も徐々に高齢化しています。
安定した職につき、収入がある程度安定している、という生活が難しい時代を切り抜けてきた人たちは、結婚・出産に消極的です。
結婚や出産など、家族が増えるということは特にお金がかかるからです。
結婚するかしないかまでも行かず、そもそも恋人を持つことさえしない、という人たちも増えているようです。
そのため、必然的に子供が少なくなり、少子化問題に拍車がかかっているのが現在の日本なのです。
また、ついには就職自体を諦めて、親の年金に完全に依存してしまう人たちもいます。
これはさらなる社会問題「パラサイトシングル」を生み出しているのです。
会社と個人の距離を置く
会社と距離を置く人たちが多いのも、就職氷河期の特徴です。
会社との絆を深めて依存する、ということは絶対にしません。
「言いなりになってさえいれば、給料がどんどん入ってくる」というバブル時代は終わっているからです。
会社に所属している一人ではなく、自分個人を単体としてアピールするために努力します。
もし転職するとしたら、ということも考えて、たくさんの資格取得に励む人も多いようです。
会社とのつながりを強くするのではなく、自分の価値を高めるために努力する世代です。
社会貢献意識が高い
就職貢献意識の高い世代と言われているのも、就職氷河期の世代です。
就職できたからといって、その立場で満足するということはしません。
その企業を使って、その立場を使って「他の人のために何かできないか」と考えます。
これは非常に素晴らしい心がけではないでしょうか。
競争意識の高い就職氷河期ですが、何度も面接に落ち続けたり、周りに就職に悩んでいる人たちが多い中で頑張っていた世代です。
他の人のために、という意識を持てる世代でもあるのです。
不安

就職氷河期世代は将来への不安要素がかなり多い、という特徴があります。
将来、自分がどこで何をしているかさえも不安なのです。
しっかり計画を立てて、老後も生活に困らないように色々と考えます。
どんなに有名でもあっけなく倒産してしまう会社もありますから、どこに勤めていても安心することができないのです。
正社員として就職できていても、非正規社員やニートたちと同じような将来への不安を抱えています。
加えて、日本ではAIの技術がどんどんアップしている状況です。
ですから、自分たちの仕事がそうしたロボットたちに奪われるのではないか、と心配もしています。
確かに、少子高齢化が進み、働く人がどんどん減っている状況です。
単純作業は人工知能によって行われるようになることも時間の問題である、と考えられています。
精神的なストレスが多い
就職氷河期に幸い就職できたとしても、バブル期の間に採用された人たちはまだまだ現役で前線で働いているわけです。
ですから、従業員も多く、仕事が少ないという状況です。
その中で就職氷河期世代は後回しにされがちです。
その結果、会社の中に自分の存在意義を見出せない、居場所がないといった悩みを抱えている人も少なくありません。
一流の学校を卒業して、知識も技術も兼ね備えているのに、後回しにされてしまう切なさを実感している方もおられることでしょう。
厚生労働省の調べによると、精神疾患によって労災申請が受理されたのは平成19年では952人もいたようです。
しかも、その中でも就職氷河期世代と言える30代が特に多かったと言われています。
この就職氷河期世代はストレス世代とも言われています。
後回しにされてしまいがちなため、企業が変化するときにリストラされやすいのも悩みの種となっていることでしょう。
就職氷河期世代の年収とは?
バブル時代と就職氷河期世代では年収が大きく変わりました。
たった数年の差しかないのにこんなにも大きく変わってしまうと、それはもちろん将来への不安や、虚しさを感じるのもしょうがないこと、と言えるでしょう。
バブル期は就職希望者よりも求人の方が多かったのです。
働き手を確保するために必死でした。
そして、それだけ多くの人を雇っても問題ないほど企業が潤っていたのです。
三流企業と言われるようなところに就職しても、初任給が30万以上ということもあったのです。
しかし残念なことに、就職氷河期に入ってからは初任給は20万円を下回るようになりました。
また、どんなに頑張っても初任給から給料が上がらない、ということも珍しくなくなりました。
それと同時にブラック企業が進出し始めました。
職場への不満が募り、離職率もどんどんアップしています。
働く、安定した仕事を持つ、ということが現在は非常に難しくなっているのです。
就職氷河期世代の声を紹介 彼らの末路とは?
就職氷河期に就職してきた人たちはラッキーだったのでしょうか。
実はそうとも言えないケースも多いようです。
就職できたか、できなかったかに関わりなく、就職氷河期世代の末路は悲惨なものです。
どんなに努力して一流の技術をつけようが、多くの資格を取ろうが、就職できるかどうかはわからないのです。
就職氷河期世代の声をご紹介しましょう。
正社員の条件が正社員勤務経験3年。
正社員になったことないのにどうやって就職するんだ?
100パーセント無理だ。
いくら人手不足でも、いくらスキルがあっても、永遠に正社員にはなれないんだよ。
30代半ばで専門学校やスクールに通うと変な目で見られる。
頑張って通ってもそれを生かせる場は与えられていない。
現在は少子高齢化が進み、人手不足が重大な問題として扱われる一方、どんなに努力をしても正規雇用されない人たちがいる、というのは確かに矛盾を感じます。
これが、就職氷河期の末路なのです。
周りの役に立ちたい、働きたい、という強い意欲がある就職氷河期世代の人たちが、正社員になれないのは非常に悲しいことです。
日本のこうした間違った経済状況はいつまで続くのでしょうか。
就職氷河期にまた突入する可能性はある?
現在の大学卒業者の就職率は90%以上、ということは、就職氷河期は今はもう終わっているのでしょうか。
もう2度とこんな悲惨な時期はやってこないのでしょうか?
日本には過去2度、就職氷河期を経験しています。
その時期と比べてみても現在の人手不足・雇用状況から、今が就職氷河期である、とはいえません。
しかし、業務内容を選り好みし過ぎていると、「どんな仕事でも受け入れる!」という外国人に仕事を取られてしまいかねません。
また、年々ロボットの社会進出が増えています。
AIなどが急速に普及している日本では、従業員を縮小し、ロボットによって確実な単純作業を行おうという動きが見られています。
ロボットは人に逆らわないため、より作業がスムーズに行くと考えられています。
このような状況もあり、徐々にまた就職氷河期への坂を転がり始めているのかもしれません。
まとめ
・就職氷河期世代とは、1993年~2005年度に卒業した人たちのことを指す。
・現在は就職氷河期ではないが、外国人やAIなどに仕事を奪われつつあるため、再び就職氷河期になる可能性はある。
フリーターやニートが急増している今の時代、正社員として就職することが難しかったり、諦めざるを得ない現状があります。
また、親のお金に頼ろうとする動きも見られます。
人手不足に陥っているにもかかわらず、就職難が続いている日本では、産業ロボットが急速に普及し生産効率を高めています。
これから日本はどうなっていくのでしょうか。
雇用形態やこれからの就職率など注意していく必要があるでしょう。