勤め先が「ブラック企業」の場合、その後の生活は非常に過酷なものになりかねず、事前にチェックが必要です。
今回はブラック企業の定義と特徴、見分け方5つ、ブラック企業リスト一覧、ランキングTOP5、対処法4つを紹介します。
目次
ブラック企業の「定義」とは?
「ブラック企業」という言葉をよく耳にしますが、ブラック企業とはいったい何のことなのでしょうか?
なんとなく悪そうなイメージが湧く言葉ですが、明確な定義があるのでしょうか。
厚生労働省によると、ブラック企業のはっきりとした定義はないようです。
しかし、大きな特徴として、若者の使い捨てが行われている悪質な企業であるということです。
他にも以下のような特徴が当てはまる会社を、ブラック企業として呼ぶことが多いようです。
①長時間労働
②ハラスメントの常態化
③残業代、手当の未払い
④採用・離職の繰り返し
こうした社員の差別や、コンプライアンス意識の低さ、違法な労働の強要などがブラック企業と呼ばれる会社では横行しているようです。
ブラック企業の特徴10!
ブラック企業の定義となるものがわかったところで、ブラック企業の特徴について詳しく見ていきたいと思います。
今まで言葉としてしか知らなかった、ブラック企業の実態をより詳しく知ることで、就職時や転職時により注意して、企業を選別する助けとなるでしょう。
①人の入れ替わりが激しい
まず、1つ目の特徴は、人の入れ替わりが激しいというものです。
離職率が異常に高く、常に人を募集しています。
新しい人が入っては辞めていき、また新しい人が入っては辞めていく、という状態が繰り返されています。
これは苛酷な労働環境に耐えられず転職してしまったり、退職してしまう人たちが多いからです。
その人たちを埋めるために新たに求人を出し、年中求人を出している状態になっています。
また、大量採用を用いていますが、その苛酷な環境の中で生き残った者だけを優遇するという実態もあります。
精神的に弱い人たちは徹底的に攻撃し、自主的に退職させるよう追い込んでいく、という非常に恐ろしい企業です。
②深夜でも会社の電気がついている
2つ目の特徴は、深夜でも会社の電気がついているというものです。
深夜になっても会社が閉まらない、ということは残業が常に行われていることになります。
ブラック企業はすぐに人が辞めていってしまうため、常に人手不足の状態で業務をこなしてます。
そのため社員一人が抱えている仕事量も膨大です。
ですから、仕事を怠けているわけではなくても、定時に仕事を終えることが出来ず、必然的に毎日残業をせざるをえないのです。
深夜になってもずっと点いている窓の光は、自主的に残業をしている証拠といえるでしょう。
その企業の求人を見て、面接に行く前に、深夜の会社の状態を確認しておくといいかもしれません。
残業をさせられる会社か定時で帰れる会社かがわかるでしょう。
③パワハラ・モラハラ
3つ目の特徴として、上司からのパワハラ、モラハラが日常的に行われています。
つまり、職場でのイジメが日常茶飯事なのです。
長時間労働を共用されて、体も心もボロボロになっている社員に対して、自主退社させるためにイジメをおこないます。
ブラック企業で上司として働いている人たちは、すでにその苛酷な中を生き残ってきた人たちですから、完全に黒く染まっています。
優しい部下想いの上司など、ブラック企業には存在しません。
④精神論が押し通される
ブラック企業では、すべて精神論で押し通されています。
ブラック企業では、新しい人が続かないため常に人手不足の状態のため、そこを埋めてくれる人材を必死になって探しています。
そのため、精神論で新しい人材を捕まえようと躍起になっているのです。
「目標必達」「勝つまでやり遂げる!」など、できないようなスローガンを平気で掲げ、そこに達するまでの過程は何一つ考えていないのが現状です。
すでにいる社員や、これから入ってくる新入社員の耳に心地よいスローガンを掲げていますが、実際はその目標には過酷な労働が強いられる、かなりのブラック企業なのです。
⑤自称アットホーム
ブラック企業は自称「アットホーム」です。
外面を良く見せることばかり考えているため、新入社員の目に魅力的な会社に見えるように「アットホーム」という言葉を用います。
社員同士が非常に仲のいいことをアピールしているのです。
サイトには社員同士が仲のいいことをアピールする写真を載せているかもしれません。
こうした、会社自体の情報ではなく、雰囲気や社員たちの中の良さが無駄に載せられている企業はブラックかもしれません。
警戒しましょう。
⑥残業代・ボーナス0円
また、ブラック企業はどんなに残業しても残業代は出ません。
また、ボーナスも0円というところが存在しています。
入社するときには残業時間には制限がある、と述べることもありますが、実際は周りの人が残業しているので変えることが出来ません。
無知な新入社員を捕まえて、適切な給料を払うことなく働かせているブラック企業に注意しましょう。
残業代を払わないことは違法ですし、正社員にボーナスがあるのは当たり前です。
しっかり労働法を理解しておくと、ブラック企業に飲み込まれることを防げるでしょう。
⑦上司のいいなり
ブラック企業では上司のいいなりです。
上司がしたい放題しています。
上司という立場を利用して、社員をイジメるという場合も少なくありません。
そのため、社内ではパワハラやセクハラ、モラハラなどが日常的に行われるようになるのです。
また、休日なのに上司が自分のプライベートのために社員を仕事に駆り出す、とうこともよくあります。
上司の言いなりになって自分の時間を持つことが出来なくなるでしょう。
⑧なかなか辞めさせない
ブラック企業はリストラする会社ではありません。
そのイメージは間違っています。
ブラック企業は、周りがどんどん辞めていくと仕事が回らなくなるため、簡単に辞めさせてもらえません。
「会社が回るように、いてほしい」と上司からお願いされるかもしれません。
これも精神論です。
あたかも「君が必要なんだ」と思わせて、むちゃくちゃな扱いを受けるのです。
人材がどんどん減っていくブラック企業は辞めたくてもやめられない泥沼にはまってしまうのです。
そうなる前にスッパリ辞めるか、そもそも入社しないようにしましょう。
⑨ネットの口コミが悪い
ブラック企業の口コミは悪いことしか書いてありません。
企業名で口コミを見てみるといいかもしれません。
もちろん現在働いている社員や、元社員が口コミしているはずですから、匿名となっているでしょう。
しかも会社の口コミの場合、かなり当たっているはずです。
口コミをしっかりチェックして、どんなことが起きているのか、理不尽な出来事や、給料や残業代などのシステムなども知ることが出来るでしょう。
会社のシステムはそう簡単には変わりません。
ですから、少し古く思えるような情報でも信頼できます。
ネットを使ってリサーチすればその会社の実態を見ることが出来ます。
⑩休みをくれない
ブラック企業のさらに悪いところは、休みをくれないというところです。
この特徴は、普通の企業と全く違います。
なんと、家族に不幸があったときにも休みをくれない企業があるのです。
冠婚葬祭にも出れず、年末年始もまとまった休みをもらうことすらありません。
仕事の休みはすべて上司次第になってしまうのです。
そんな不幸な生活したくありませんよね。
休みを与えないということ自体法律に違反しているため、ブラック企業のほかの何物でもありません。
ブラック企業の見分け方5つ!【入社前のリサーチが重要】
ブラック企業を見分けるためにはどうすればいいのでしょうか?
ブラック企業とホワイト企業の違いはどこから知るのでしょうか。
すでにブラック企業に入ってしまっていると、そこから抜け出すために大変な思いをしなくてはなりません。
既に述べたように、たちの悪いブラック企業は、辞めたくてもなかなか辞めさせてくれないからです。
ですから入社する前に、できれば面接を受ける前に、その会社がブラックなのかホワイトなのかを識別しておく必要があるでしょう。
①求人情報
まず、見分ける1つ目の方法は求人情報のチェックです。
ブラック企業もホワイト企業も、どんな企業であれ自分たちの会社に良い人材が入ってきてほしいと思っています。
特にブラック企業は、社員を使い捨てしているという噂が広まっては、会社の存続も危ういため、求人情報にこれでもか!というほどの魅力的なフレーズを詰め込むのです。
特に、年収のモデルケースが大きいということがあります。
求人情報には年収300万~700万と載せていますが、もちろん700万ということはなく、300万もいかないところばかりです。
また、応募のハードルが低く誰でも入社できるような条件で求人情報を出しています。
これは、あまりにも人手が足りていないブラック企業の特徴です。
さらに、やりがいを前面に主張し、成果主義、実力主義といった言葉を広告に盛り込む企業も注意が必要です。
②残業システム
さらに、残業システムによって、その企業がブラックなのかホワイトなのかを見分けることが出来ます。
月額給与のなかに残業代が含まれており、残業代が払われないというケースが、ブラック企業ではよくある話です。
それで、月額給与に含まれている残業代を超える残業はさせない、という言葉を面接のときに用います。
残業は本来時間に制限がかけられていますが、ブラック企業ではおかまいなしに残業が強要されます。
ですから、入社する前に残業システムについて明確に知っておく必要があります。
あいまいにされる場合はブラック企業の恐れ「大」です。
③労働実態の調査情報
労働実態の調査情報などを確認して、その企業がブラック企業ではないかどうかを確認するのもよいでしょう。
厚生労働省が、ブラック企業の労働実態を調査してくれています。
その結果に基づいて、ブラック企業リスト一覧を作成したり、ブラック企業大賞が発表されています。
こうした情報を良くチェックして、自分が入社しようとしている、または転職しようとしている企業が、ブラック企業認定されていないかどうかを確認しておきましょう。
④企業理念
企業理念も注目するべき一つのポイントです。
ブラック企業にははっきりとした企業理念がない場合が多く、あったとしても意味が理解できないものである可能性が高いといえます。
ホワイト企業の場合は組織の在り方を示す企業理念と、コンプライアンスがはっきりしているはずです。
しかし、ブラック業者の場合は精神論に訴えるものばかりで、企業理念として成り立っていないものが掲げられていることでしょう。
また、無駄に横文字ばかり使って理解しにくい情報を上げているものも要注意です。
⑤求人の時期
求人情報を出している時期もチェックしましょう。
ブラック企業の場合、離職率が高く、人の入れ替わりが多いため、求人情報が年中出ています。
常に人手不足に悩まされており、どんな人材でもいいから、とにかく使ってやろう、という考えです。
しかし、通常のホワイト企業なら新卒をターゲットにしたりするため、求人数が増える時期は決まっています。
怪しいと思った企業はどの時期に求人を出しているかをチェックしましょう。
ホワイト企業は辞める人が少ないため、求人情報が少ないかもしれません。
採用基準がしっかりしていて、中途採用があまり行われていないような企業を選ぶようにしましょう。
「ブラック企業リスト一覧」をチェックしよう!
最近では、ブラック企業を公表する、という新たな流れが生み出されています。
ブラック企業がいつまでも野放しにされているわけではありません。
ネットを中心として、ブラック企業は叩かれ、存続の危機となっています。
ブラック企業は自殺者や、精神病患者を増加させている一つの原因ですから、会社の体質を改めていく必要が大きいといえるでしょう。
厚生労働省も「過重労働撲滅特別対策班」というものを設立し、長時間労働を行わせている企業を撲滅する運動を行っています。
改善されない場合は書類送検などして、徹底した厳しい対応を行っているため、徐々にブラック企業が減っていくのではないか、という期待の声が高まっています。
しかし、就職する前、転職前には自分の目や耳を使ってブラック企業ではないかどうかをしっかり見極めることが必要です。
自分を守るためにも企業選びは非常に重要なのです。
例えば、厚生労働省が公開している、「ブラック企業リスト一覧」をチェックすると良いかもしれません。
北海道から順に日本全国のブラック企業がリストアップされており、毎年更新されています。
どんな法律に違反しているのか、どのような対策がなされてるのかといった情報も合わせてみることが出来ます。
「ブラック企業大賞」ランキングTOP5!
ブラック企業リスト一覧のほかに「ブラック企業大賞」というものが存在しています。
こちらは毎年、法律違反の企業が多数あることを社会に伝え、誰もが安心して働ける環境を作るために行われています。
2017年度のノミネート企業も昨年末に発表されています。
NHKやヤマト運輸、パナソニックなど大きくて有名な会社も上がっています。
また、はっきりとしたブラック企業ではなくても、労働法に抵触していたり、違反しそうなグレーゾーンで労働を共用している企業もノミネート企業として発表しているようです。
ここでは上位5位のブラック企業を紹介したいと思います。
ちなみに、すでに裁判や行政処分などで問題がある、と明らかになっている企業が発表されています。
①ゼリア新薬工業株式会社
まず第一位は、ゼリア新薬工業株式会社でした。
この会社は医療用医薬品や一般医薬品などを扱っている大手製薬会社です。
「ヘパリーゼ」という商品名を聞いたことのある方もおられるのではないでしょうか。
有名な健康食品をいくつも製造販売しています。
このゼリア新薬工業株式会社は2013年に入社した男性社員が、新人研修中に自殺したといわれている企業です。
これは労災として2015年に扱われています。
入社してからたった1ヵ月で自殺するほど、悪質なイジメがあったと見られています。
この男性は吃音だったことや、いぜんイジメられていたことを大勢の前で話すことを強要されていたことが分かっています。
強い心理的負荷が一気にかかったため、重度の精神疾患を発症する結果となりました。
こうしていわゆるパワハラ、モラハラといったハラスメントが問題視され、ブラック企業として大賞になっています。
②株式会社いなげや
第2位は株式会社いなげやです。
株式会社いなげやは、スーパーマーケットチェーン店で、関東地方を中心として137店舗を出店している非常に大きな企業です。
この企業では、2014年にチーフとして働いていた男性社員が、急に意識を失い、脳血栓になりなくなりました。
その2年後に労災が認定しています。
この男性は、時間外労働時間が4か月間平均76時間ほどでした。
80時間超の時間外労働は過労死を引き起こす、となっており、この時間外労働時間は明らかに違法でした。
その他にも、ある従業員が過労自殺しており、労災認定されています。
時間外労働時間の多さゆえに、ブラック企業として多くの批評を買っています。
③パナソニック株式会社
パナソニック株式会社は誰もが知っている大企業ですね。
この会社では2016年6月に富山工場で勤務していた男性が自殺しました。
この自殺は過労自殺として扱われました。
なんと、自殺1ヵ月前に100時間以上の残業を行っていたようです。
その後、1ヵ月当たり97時間~138時間の違法な時間外労働を強いられていたことが明らかになりました。
過労死すると言われる時間外労働時間をはるかに超える長時間労働です。
④新潟市民病院
新潟市民病院は1973年に設立された総合病院です。
そこで勤務していた研修医が2016年に過労自殺を行い、時間外労働時間が異常であったことが明らかになりました。
この女性の月平均残業時間は187時間、最も長い時は251時間でした。
この長時間の労働により過労自殺したとされています。
その後労災認定もおりています。
人の命を救うところで、人の命を軽く扱う企業状態が明らかになり、非常に悲しい現実ですね。
⑤日本放送協会(NHK)
日本放送協会と呼ばれるNHKも日本では有名な企業ですね。
こちらでも、女性記者がうっ血性心不全で2013年に死亡しています。
この女性は亡くなる1カ月前の時間外労働時間が159時間以上でした。
その結果、違法行為とみなして、労災が決定しました。
担当していたものが政治の取材であったため、深夜に及ぶ業務を強いられていました。
休日も確保されず、体が疲れ果てて限界を超えていたと考えられます。
自分の会社がブラック企業の場合の対処法4つ!
ブラック企業は私たちのすぐ近くにあり、いつ自分のみにその火の粉が降りかかるかわかりません。
これまで、ブラック企業に就職・転職しないために見分ける方法や特徴を紹介してきました。
しかし、すでにブラック企業に勤めている場合はどうしたらいいのでしょうか。
どうしたらこの状況から逃げ出せるのでしょうか。
4つの方法を紹介いたします。
①転職活動
まず、1つ目の方法は転職活動を始めましょう。
もしかすると「この会社でやっていけないのに、どこの会社に行っても同じだよ」と言われたことがあるかもしれません。
確かに一理あると思える言葉ですが、実際のところ日本には何百万という企業があるのです。
もちろんホワイト企業もたくさんあります。
自分の能力を最大限発揮しながら、プライベートも充実できる、労働法にしっかり沿った企業も存在しているのです!
一つの会社でダメだったからと言って、他のすべての企業でやっていけない、と決まったわけではありません。
身も心も使い果たして再起できなくなる前にきっぱり辞める決断をして、転職活動を行いましょう。
②残業時間や診断書などの証拠集め
職場環境が悪すぎて、過労死もしくは精神病を患ってもおかしくないという状況であるなら、証拠を残しておけば後に有利になります。
残業代を取り戻すことが出来ますし、法律が絡む争いになったときも有利に働きます。
例えば、雇用契約書、労働時間のメモ、ハラスメントを受けた時の内容や日付を記した日記や録音物、診断書などをとっておけばよいでしょう。
③専門家に相談
自分だけではなかなか辞められそうにない時には、専門家に相談しましょう。
自分一人ではできないことも、専門知識でサポートしてくれるはずです。
また、ブラック企業かどうか判断できない微妙な状況だったり、不安な時にも専門家の手を借りると、解決の光が見えてくることでしょう。
④弁護士
法律やお金が絡む場合は弁護士が必要です。
費用がそれなりに掛かりますが、相談だけなら無料の事務所もあります。
損害賠償を求める権利があるかどうかをも確認されますので、先ほど紹介した、証拠などを持っておくことは重要ですよ。
まとめ
・ブラック企業に入らないために入社前の入念なリサーチが重要。
・厚生労働省がホームページに「ブラック企業リスト一覧」を公開している。
ブラック企業がありとあらゆる手を使って、人手不足を埋めようとしてきます。
そのいわゆる魅力的な手にはまらないように気を付けましょう。
ブラック企業の特徴を見極め、いち早く離れましょう。
もし、今の職場がブラック企業であると感じているのなら、誰かに相談しましょう。
体や心が侵されてしまう前に、自分を取り戻すために、「辞める勇気」も必要かもしれません。
新しい仕事を選ぶ際、仕事を辞めるとき際は、しっかり考えてより良い決定をしてくださいね!