就職活動中の学生にとって内定をちらつかせた「オワハラ」で後悔しないために事前に事例や対策、内定辞退のやり方を知っておくことが大切です。
今回はオワハラの意味、企業からのオワハラ事例と対策、内定辞退のやり方を紹介します。
オワハラとは?
就職活動を行う学生にとっての目標は、当然「内定を得ること」ですよね。
この目標さえ達成できれば、気を楽にして残りの学生生活を送ることができます。
ただし、なかなか内定を得られないようだと、精神的な焦りばかりが先行してしまい、とても辛い日々を過ごすことになるでしょう。
内定が得られないまま卒業となれば、空白の期間ができてしまうことになりますので、焦るのは当然ですね。
「頑張れば内定なんて簡単に得られるでしょ?」と思う人もいるかもしれませんが、そうとも限りません。
2008年のリーマンショック以降、新就職氷河期という厳しい時代が続いていましたので、その間に就職活動をした学生は苦しい思いをしたことでしょう。
ただ、最近は景気がいいですし、企業の内部留保が増え、有効求人倍率の数値が上昇していることもあり、比較的内定を取りやすい時代と言えます。
したがって、大学4年生の前期の段階で内定を得る人も多いでしょう。
また、学生によっては内定を得ても就職活動を継続しますよね。
より希望する企業の選考がもう少し後にある場合は、当然と言えます。
さて、ここから今回のメインテーマに入ります。
就職活動中の学生に対し、企業が「オワハラ」をしてくるケースがあるのです。
この章では、オワハラの意味と、企業がそれをしてくる理由についてご説明しましょう。
ずばり!オワレハラスメント
オワハラとは、「オワレハラスメント」の略です。
つまり、就活を終了せよ!という企業からの圧力ですね。
学生からすると、すでにたくさんの内定があり、オワハラ企業の内定が重要でなければ、大したことはありません。
ただ、そのようなケースばかりではありませんね。
まだ一つしか内定がない状況の中で、その内定先からオワハラをされれば、精神的に苦しい状況に追い込まれてしまいます。
最近はオワハラをする企業も多いですので、そのような圧力にどう対応していくかが課題になりますね。
いい人材を確実に確保したいという思惑がある?
内定を出す企業からすると、ある程度の人数が内定辞退をしてくる可能性は当然考慮します。
ただ、優秀な人材が内定辞退をしてくることは会社にとってマイナスになりますので、それを防ごうとする企業もあるのです。
いい人材を確実に入社させることを目的として、オワハラという行為をしてくるわけですね。
ただ、基本的に内定を辞退するというのは認められた権利ですので、オワハラをしてくる企業側に問題があるということになります。
企業によるオワハラ事例5つ!
これから就活を始めるという学生からすると、オワハラと聞いてもいまいちピンと来ないと思います。
そこで、パターンごとに事例をご紹介しましょう。
面接の段階でオワハラ
面接は選考試験のメインとも言えますので、学生側は必死に頑張ります。
その面接の場でオワハラをされれば、当然戸惑いますよね。
それをわかっているからか、このタイミングでオワハラを仕掛ける企業も多いのです。
そこで、いくつか事例をご紹介しましょう。
①他の企業の選考を断るよう口頭で迫る
面接選考において、他の企業の選考を受けているなら断るよう打診してくる、というパターンですね。
本来であればそのような提案は受け入れられませんが、「他の選考を辞退するなら内定を出すよ」という感じで言われると、「うっ、どうしよう」と思ってしまいますよね。
②重要な書類へのサインを書かせようとする
これは、面接選考において「実質入社を確約する」というような書類にサインさせようとするパターンですね。
サインをしてしまうと、「他の企業の選考を絶対に辞退しないとヤバい」という焦りが沸き起こってきますので、そのまま就活終了という流れになるケースが多いでしょう。
本来であればそのような書類へのサインは断るべきです。
しかし、「これにサインしてくれれば内定をあげるよ」というように言われてしまうと、内定欲しさからどう対応すべきか迷ってしまうというのが現実的な心理ですよね。
内定後のスケジュール縛り系オワハラ
内定をもらった後に、「あ、オワハラされなかった!よかった!!」と思う学生もいるかもしれませんが、まだオワハラをされる余地はあります。
例えば、内定後にスケジュールをどんどん詰め込もうとしてくるタイプのオワハラです。
基本的に、内定を得たのであれば、その企業の内定組説明会や簡単な研修への参加を要請されるケースはあります。
それ自体は特段不思議なことではありませんが、頻度が多すぎる場合は問題ありと言えます。
尋常ではないくらい研修が行われるとなると、まだ就職活動を継続している学生にとっては大きな負担になりますので、オワハラ企業としてはそれが狙いということですね。
下手に研修を欠席すれば内定取り消しの可能性もありますので、学生としては難しい対応が迫られるというわけです。
内定後の情に訴える系オワハラ
内定を得た後については、その企業主催の食事会に招かれるケースがあります。
タダ飯ですので、喜んで行く学生も多いでしょう。
ただ、あまり豪華な食事をご馳走になると、学生としては継続的な就職活動がやりづらくなるはずです。
「こんなによくしてもらったのに内定を辞退するのはちょっとなぁ」という心情になってしまうということですね。
また、食事の際に、「うちに決めてくれるよね?」ということを言われるケースもあります。
今まさに食事をご馳走になっている時にそれを言われてしまうと、学生としては戸惑ってしまいますね。
内定辞退時の圧迫系オワハラ
複数の内定を得ても、全部とるということはできませんので、1社に絞らなくてはなりません。
そのため、入社を希望する1社を選び、残りは辞退することになります。
ここで問題になるのが、内定辞退を伝えた時の企業側の態度ですね。
「辞退なんて許されないよ」
「辞退したら君の大学の学生から内定は出さない」
というように、脅迫とも受け取れるような言葉を浴びせられるケースがあるのです。
ある意味最悪な形のオワハラかもしれませんね。
企業からのオワハラ対策4つ!
オワハラは厄介ですが、対策法はあります。
ただ、ここでご紹介する対策は、「どんな手段を使ってでも内定が欲しい!」という人向けではありません。
「人として正しい判断をしたい」という人向けですので、その点を踏まえてご覧ください。
面接時にオワハラを仕掛けらた場合の対策
面接の際に、「内定あげるから就活は終わりにしてほしい。これにサインして」というような類のオワハラを仕掛けられた場合、きっぱり断りましょう。
そもそも、面接時に内定受諾のサインを書かせるというのは不可解極まりないです。
そのため、就職活動をそのまま続けるつもりであれば、「就活はまだ続ける予定ですので、サインについてはお断りします」という旨を伝えましょう。
内定後にスケジュールを詰めてきた場合の対策
内定後に、説明会や研修をスケジュールに組み込ませるような類のオワハラを仕掛けられた場合、まだまだ就活を続けたいのなら、理由をつけて「欠席」しましょう。
「欠席」が認められない場合、その企業の内定を辞退することをおすすめします。
そもそも、まだ内定者が大学を卒業していないのにもかかわらず、やたらめったら研修を入れること自体おかしいのです。
したがって、「内定後とは言えこんなに企業に呼ばれるなんて…」という明らかな違和感を感じたのであれば、「欠席」「内定辞退」と言った選択を考慮した方がいいでしょう。
内定後に情に訴えてきた場合の対策
内定後の食事会については、珍しいことではありません。
むしろ、ホワイトな企業とも考えられます。
ただ、食事会に行くのであれば、前もって情に訴えられる可能性も考えておく必要があります。
対策としては、食事会を欠席するか、出席したとしても割り勘にすることです。
割り勘であれば、借りをつくったことにはなりませんので、特に後ろめたさを感じずに就職活動を続けられるということですね。
内定辞退時に脅迫されてきた場合の対策
企業側に内定辞退を伝えた時に、半ば脅迫のような形のオワハラを仕掛けられた場合、それに挫けることなくはっきり自分の意思を伝えるようにしましょう。
内定辞退については何ら違法ではありませんし、無理やり内定を受諾させるような権利は企業側にはありません。
そのため、オワハラをされたからと言って意見を変えるのではなく、はっきり内定辞退の旨を伝えましょう。
正しい内定辞退のポイント4つ!
内定を複数得ても、入社する企業は一つです。
そのため、残りの内定は辞退することになります。
また、執拗なオワハラを受けたことで不信感を感じ、内定を辞退するケースもあるでしょう。
そこで気になるのが、「内定辞退の正しいやり方」ですよね。
この章では、ポイントについて具体的にご説明しましょう。
ポイント①連絡はなるべく早めに!
内定辞退は、内定者に認められた権利ですが、入社ギリギリに辞退の連絡を入れるというのはマナー的にNGです。
内定者が仕事をする上で必要になるものを、企業側が少し早めに準備するという可能性も考えられます。
したがって、企業からすると、ギリギリに内定辞退されるのはとても迷惑なわけですね。
そのため、内定辞退の意思が固まったのであれば、なるべく早く辞退の連絡を入れることが大事です。
ポイント②内定辞退は電話で!
内定辞退のやり方として、メールを選びたくなる人は多いでしょう。
電話はしづらいですよね。
ただ、内定辞退ということであれば、電話連絡が基本となります。
メールだと担当者が確認するまで時間がかかるかもしれませんし、マナーとしては適切とは言えません。
きつい口調で叱責をされる可能性もあるかもしれませんが、内定辞退の旨は電話で伝えた方がいいです。
例え怒られるようなことがあっても、きちんと謝罪すればわかってもらえるケースが多いですよ。
ただ、メールだと内定辞退にならないということではありませんので、「電話は絶対に無理!」ということであれば、適切な文章を踏まえた上で内定辞退のメールを送りましょう。
ポイント③企業の名誉を傷つけない「辞退理由」を述べよう
内定辞退の旨を伝えた時に、あわせて辞退理由まで言う必要はありません。
ただ、企業が辞退理由を聞いてきた場合は、はっきり言うことをおすすめします。
また、その際に重要なことは、「企業の名誉を傷つけない」ということです。
「貴社の社風に疑問を感じたから」
「貴社の福利厚生に問題があると感じたから」
上記のような理由を電話で伝えるのは、企業に対して失礼です。
そのため、「内定後に改めて自分の適性を考慮した結果、□□業界の方が適していると感じたため、大変申し訳ありませんが辞退させていただきます。」といった言い方がおすすめです。
ポイント④より丁寧さを意識するなら手紙を送るのもアリ!
基本的に、電話で内定辞退の旨を伝えればOKです。
ただ、より丁寧に謝罪の気持ちを伝えたいということであれば、プラスで手紙を送るのもアリです。
内定辞退の旨を記載した手紙を企業の採用担当向けに送っておけば、気持ちもスッキリするのではないでしょうか。
また、手紙がしっかりと相手側に届いたことを確認したいのであれば、「簡易書留」で送ることをおすすめします。
プラスで数百円ほど払えば簡易書留で郵送できますので、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
・企業からのオワハラ対策は自分の意思をきっぱりと伝えること。
・正しい内定辞退のポイントは「なるべく早く」「電話が基本」「丁寧さを意識するなら手紙もあり」。
今回は、オワハラの意味や事例、対策などについて具体的にご説明してきました。
希望する企業に絞り込んで選考を受ける学生からすると、内定を得る前後でオワハラをされるというのはショックだと思います。
「素晴らしい企業だと思ったのに、どうして…」という感じですよね。
実際に、オワハラによってそのまま就活を終了してしまった学生も多いと思います。
ただ、オワハラで強い圧力をかけてくる企業というのは、果たしていい企業と言えるでしょうか。
少なくとも、人事部に関しては問題ありと言えるでしょう。
基本的に、「強烈なオワハラをかけてくるような企業の内定こそ辞退すべき」という考え方が賢明ではないでしょうか。