マイナス面が多い「さとり世代」と「ゆとり世代」と共に円滑に仕事をするためには彼らの特徴を適切に押さえることが重要です。
今回はさとり世代とゆとり世代それぞれの年齢・特徴、仕事面での取り扱いのポイント、違いを紹介します。
目次
さとり世代とは?
「さとり世代」という言葉を一度は耳にしたことはあるでしょう。
しかし、「さとり世代って何?」と聞かれると、言葉に詰まるのではありませんか?
さとり世代とは、まさに「悟っている」若者たちのことを指しています。
バブル崩壊後の不況期を生きており、景気が良い時代から悪い時期への移り変わりを経験しているために、人生に関して悟ってしまっているのです。
収入が多ければ多いほど良いなどといった考え方ではなく、生活が安定すればそれで良い、という考え方をしています。
また、インターネットが普及したことによって、いろいろな情報が即座に手に入る時代に彼らは生きています。
そのため、自分の人生に関係のないことまでも悟ってしまっている人がたくさんいる世代が「さとり世代」なのです。
さとり世代の年齢とは?
さとり世代は今何歳なのでしょうか?
さとり世代と呼ばれている年代は、主に1990年代に生まれている若者のことを指しています。
そして、その世代が10代後半~20代後半になっている2013年に「さとり世代」という言葉が流行語大賞を取ったのです。
実際は経験していないことも、現実を悟ってしまっているかのような若者の性質を言葉にしたものです。
主に1990年代に生まれた人たちを指していますから、年齢にすると2019年現在で20歳~29歳までの人たちということになるでしょう。
さとり世代の特徴4つ
さとり世代の人たちはいろんな現実を悟っているかのような言動、行動をするようですが、どんな特徴があるのでしょうか?
主な特徴と言える4つの特徴を紹介しましょう。
①欲がない
まず、1つ目の特徴は「欲がない」ということです。
ブランド品など、高額の物を購入することに関して、さとり世代は「考えられない!」と感じるようです。
安くて品質の良い物を上手に購入するのが、さとり世代の良い特徴と言えるでしょう。
さとり世代はバブル時期に関する知識はあるものの、生まれた時はすでに不況だった、という人たちが多いようです。
そして周りの大人が消費を極力抑えている中、育ってきたため欲深くないのです。
②あまり外出しない
さとり世代は休日であっても遠出、外出することはあまりありません。
外出するのが嫌いな引きこもりである、というわけではありません。
用がないのに出かける、というのが理解できないようです。
さとり世代より前の世代は、食べ歩きをしたり、買う予定はないけれどもウィンドウショッピングをしたり、とにかく外に出てみる、という人たちが多かったようですね。
しかし、さとり世代は休日に家で楽しめる娯楽がたくさんありますから、わざわざ外出する必要はないのです。
③恋愛への関心が低い
さとり世代は恋愛への関心が低い世代でもあります。
特に男性に当てはまっている特徴と言えます。
恋人ができると、恋人のために時間や体力、資力を使わなければなりません。
自分のための時間が減ってしまい、出費もかさみます。
恋人とは言いつつも「他人なのに自分に関してあれこれ口を出してくる相手」として映り、さとり世代にとっては非常に厄介で面倒な存在になってしまっているのです。
できるだけ消費を抑えて、自分の好きに時間を有意義に使いたい、というさとり世代にとって恋愛は面倒なのです。
④挑戦しない
さとり世代は、挑戦するということを知りません。
これは仕事に関しては致命的な特徴かもしれません。
とにかく無駄なことはしたくない、という考えですから、できることだけをします。
挑戦して失敗したら無駄な努力だった、と考えてしまうのです。
また、挑戦すると同じように夢を追うという姿勢も見られません。
程々に頑張って生活が安定するほどの収入があればいいではないか、と考えているからです。
これがまさにさとり世代の「さとり」なのです。
ゆとり世代とは?
「ゆとり世代」はマイナスなイメージを持っている人も多いワードですが、実は彼らに関する正しい知識を持っている人は多くありません。
そこで、ゆとり世代とは一体どのような人を指しているのか考えてみましょう。
ゆとり世代は、学校の時間が短くなり、人間関係を広げるという目的で「ゆとり教育」がスタートした時代に学生だった年代ですね。
このゆとり教育方法は「打たれ弱く甘えた人間を作り上げた」と批評されています。
しかし、実際のゆとり教育とは、それ以前の過度に詰め込まれた教育法を見直した結果生まれたものです。
成績以外に褒められるべきところを見つけ、あまりにも競争心の高い子供達の育成を抑制するという効果もあったようです。
現代では、メディアでよく取り上げられる「ゆとり世代」という言葉は、学業や仕事に関する意識の低さを助長する結果になったことを強調しているようです。
ゆとり世代の年齢は?
新入社員、若手社員は「ゆとり世代」、と考えている人が多いようです。
しかし、若手社員の中にはゆとり世代以前の世代の人もいるかもしれません。
ゆとり世代のゆとり教育は、1987年4月2日生まれ~2004年4月1日生まれの人たちに施されているようです。
ということは、2019年現在で15歳~32歳までの年齢層の人たちがゆとり世代であると言えるでしょう。
しかし、この中でもどの程度ゆとり教育を受けていたのか、などによってゆとり世代の特徴を持っていない人もいますので、年齢だけでは判断しないようにしましょう。
ゆとり世代の仕事面での特徴4つ
ゆとり世代の特徴にはどんなものがあるのでしょうか。
ゆとり世代が仕事で使えない、と言われてしまう原因もこの特徴を知れば頷けるでしょう。
ここでは、主な特徴を4つ紹介しましょう。
①早い成果を求める
1つ目の特徴は、すぐに成果を上げたがる、というものです。
ゆとり世代の人たちは、インターネットなどいろいろなツールに恵まれた中で育っています。
ですから、すぐに結果を知ることができる、と思っているのです。
できるだけ時間を使わず、効率的に作業をしたいと思っています。
よく熟考して、チームで話し合いながら正解を求めていく、という方法は好みません。
気になったこと、問題はすぐにいろいろなツールを使って最短時間で結果を出そうとするのです。
②指示待ち
ゆとり世代を中心に若い人たちの多くは自主性がありません。
新入社員として入社したものの、まるでお客様のような態度を取ってしまうゆとり世代が多いようです。
自分が会社内で積極的に働く必要性を感じていないのです。
自分がするべき仕事があるのなら、上司や先輩が指示してくれるはずだ、と考えているのでしょう。
指示があるまで仕事ができないのです。
③プライベート優先
ゆとり世代はなによりも自分のプライベートを重視します。
会社の未来には期待していないゆとり世代は、自分のプライベートを充実させて、時間を有意義に使おうと考えています。
いつ倒産するか、いつリストラされるかわからない不況期の中育っていますから、会社よりも、無くならない家族や友人を非常に大切にします。
そのため、会社の飲み会や社員旅行などは平気で不参加です。
④叱られると萎縮する
ゆとり世代は核家族の中で育っています。
ですから、目上の人に対する態度をどのようにしたらいいかが分からない、という人たちが多いようです。
同世代の集団での行動が多かったため、企業に入ると、目上の上司や先輩への態度がおかしくなるのです。
明らかに萎縮してしまう人もいます。
もし、叱られたりすると「もう立ち直れない」、と思われるほどかなり落ち込み、最悪の場合、退社してしまうことも考えられます。
ですから、ゆとり世代は扱いづらいと言われるのもしょうがないでしょう。
さとり世代とゆとり世代の違いとは?
さとり世代とゆとり世代の年齢と特徴をみると、いくつか重なっているところがあります。
ということはさとり世代とゆとり世代は一緒なのでしょうか?
明確な違いはあるのでしょうか。
一言で言えば、ゆとり世代とさとり世代はほぼ同じです。
この世代はほぼ同じ期間に存在しています。
実はゆとり世代の中にもいくつか世代があり、ゆとり教育の影響を強く受けている世代と、それほど受けていない世代があります、
そのため、ゆとり世代はマイナス面ばかりの世代ではない、ということをアピールするために「さとり世代」という言葉が出てきた、と言えるでしょう。
ゆとり世代と言われる期間は、1ヶ月や1年といった短期間ではなく、10年以上の期間ですから、同じ年代でも違いが生まれるのは当たり前でしょう。
ゆとり世代の仕事面での取り扱い方のポイント4つ
ゆとり世代の特徴について考えてきました。
ここだけ見ると、全然使えない、と思えてしまうかも知れません。
しかし、ゆとり世代ならではの特徴を認めて、それに合わせた指導方法を取れば、会社の中で良い関係を形成することができます。
①目線を合わせて接する
まずは、新入社員でも若くても目線を合わせて接するようにしましょう。
上司として、先輩としてのプライドは少し脇に置いておきましょう。
人間なら誰もが自分の考えを聞いて欲しいと思っており、ゆとり世代もそうです。
ゆとり世代は使えない、と一括で切り離してしまうのではなく、ゆとり世代の目線に合わせて歩み寄る必要があります。
そうすることで反発心を起こさせることなく、企業に貢献してくれる社員育成につながるでしょう。
理解できないような社員の行動にも、必ず理由があるはずです。
諦めたり、いきなり叱るのではなく、話を聞いてみるなど理解するように努めると良いでしょう。
②貢献欲求を持たせる
ゆとり世代には貢献欲求を持たせることで、仕事のモチベーションを持たせることもできます。
ゆとり世代が受けてきたゆとり教育は、個性を尊重し、「どんな子も落ちこぼれではない」という考え方でした。
しかし、入社した途端、同僚と競争させられたり、一番になるようにという圧力を受けると、仕事へのやる気がどんどん下がっていってしまいます。
他の人より上に立つことより、貢献して感謝されることがゆとり世代モチベーションを上げるポイントです。
自分が企業に必要とされている、と感じられるようにする必要があるのです。
そのため、企業に貢献できていることがわかったり、貢献したい!という欲求を刺激する仕掛けをすると良いでしょう。
③褒める
ゆとり世代は褒めて伸びる世代です。
ダメなところばかり目につくかもしれませんが、悪いところばかり指摘していると、打たれ弱い彼らはやる気を失ってしまいます。
「今度は叱られないように、見返してやる!」とは間違ってもなりません。
どんなに小さなことでも褒めるようにしましょう。
そして、ゆとり世代の社員自身が得意な業務や強みを自ら意識できるよう助けましょう。
④意思を理解してあげる
ゆとり世代のやりたいことを知ってあげましょう。
自分の意思が認められると、原動力へとつながります。
あまり関心のない業務でも、自分の意思とのつながりが見えれば、取り組み方も変わってくるはずです。
さとり世代の仕事面での取り扱い方のポイント5つ
さとり世代はゆとり世代よりは仕事で使える、と思われていますが、実質同じようなものです。
では、どのように接していけばいいのでしょうか。
さとり世代の取り扱い方を5つご紹介します。
①押し付けはNG
さとり世代には、自分の考えを押し付けないようにしましょう。
「自分の時はこうだったよ!だからこうするべきだ!」といった教え方はNGです。
さとり世代はマイペースです。
そして自分のペースを乱されると不機嫌になります。
ですから、押し付けると教育は失敗してしまいます。
自分の考えを理解して欲しい時は、感情的になるのではなく、どれだけ効率が良い方法なのかを論理的に話しましょう。
②質問しやすい環境作り
さとり世代は自分の方から働きかけることが苦手です。
ですから、質問したいことがあってもなかなか聞くことができません。
もしかしたら怒られるかも、と考えて不安になるのです。
ですから、質問された時に怒るのは絶対にやめましょう。
また、こちらから「質問はない?」と問いかけて見るといいかも知れません。
質問することは悪いことではない、という雰囲気、環境を作りましょう。
③仕事は一通り教えておく
さとり世代は効率を重視しますし、質問するのは苦手です。
ですから、仕事は一通り一気に教えた方が良いでしょう。
そしてその過程により、どんな結果になるのかも伝えておきましょう。
手っ取り早く結果を知りたがる、さとり世代のやる気をアップさせるためのポイントです。
④マニュアル作成
「言われたことはやりました」スタイルのさとり世代に、企業に貢献してもらうためにはあらかじめマニュアルを用意しておくと良いでしょう。
逐一仕事を伝えるのは大変かも知れません。
また、さとり世代からしたら、言われていない仕事をして怒られるよりは何もしない方がいい、と考えています。
ですから、やり遂げて欲しい仕事の内容を書面にしておくと良いでしょう。
⑤プライベートを理解
さとり世代はプライベートを非常に重視しています。
サービス残業は嫌いますし、上司との飲み会も仕事に含まれるため嫌います。
就業時間後のプライベートのは仕事関係のものを何1つ持ち込まないようにしたい、と思っています。
プライベートと仕事を切り離している考え方を理解してあげる必要があるでしょう。
まとめ
・ゆとり世代とは学校の時間が短くなり、人間関係を広げるという目的で「ゆとり教育」がスタートした時代に学生だった世代のこと。
・悟り世代とゆとり世代はかぶっているのでほぼ同じ世代のことを指すが、ニュアンスが異なる。
マイペースなゆとり世代と、現実的なさとり世代の特徴を見てきました。
仕事で使えない、と言われてしまいがちな世代ですが、特徴を理解して、正しく扱えば良い関係が保てるはずです。
ぜひ各世代のポイントを押さえて、良い仕事のパートナーとして教育しましょう!