上司になると「部下が言うことを聞かない」問題に直面することも多く業務効率や業績に関わってくるため早急に対処が必要です。
今回は部下が言うことを聞かない原因、対策、指導のポイントや具体的な方法、上司の心得を紹介します。
目次
部下が言うことを聞かない原因2つ
上司として仕事を行っている方であれば誰もが悩む問題。
「なんで言った通りのことをしてくれないんだろう…」
「なぜ指示に従わないんだろう…」
言ったとおりに動いて、仕事を円滑に回していきたい上司にとって、部下が言うことを聞かないというのは大迷惑な話ですね。
腹が立ってしょうがない、という時ももちろんあるでしょう。
しかし、部下が上司の言うことを聞かないのには理由があります。
理由を知っているのといないのとでは、対処の仕方が変わってくるはずです。
①納得がいかないから
一つの理由は、納得がいかないから、というものです。
あなたにも部下として上司の指示に従っていた時代があると思います。
しかし、どんなに偉い立場の人に言われても「納得できない指示」というものがあったのではないでしょうか。
「そんなことしてなんになるの?」
「無駄な仕事だな」
「今やる必要なくない?」
このように不満を感じたことがあったはずです。
仕事に意欲的で、効率的で論理的な物の見方ができる人であればあるほど、上司の指示に納得がいかない場面がたくさん出てくることでしょう。
しかし、そう思っていることをストレートに上司に伝えることはできません。
しかし、その無駄に思える仕事をやる意欲が湧かないのは当然でしょう。
ですから、上司に指示されたときには「はい」と答えますが、結局従わず、上司からすると「いうことを聞かない部下」と思われるのです。
②何を望んでいるのかがわからないから
2つ目の原因は、何を望んでいるかがわからないから、というものです。
上司の中には具体的な指示を与えてくれない人もいますし、逆に具体的すぎる指示を与える人もいます。
しかし、どちらも部下にとっては、頭にクエスチョンマークがたくさん浮かんでしまう状態なのです。
抽象的な指示では、何を実際にしたらいいのかがわかりません。
また、具体的すぎるとその一つの動作だけではできても、全体像が把握できません。
そのため、その後の応用が利かなくなり、「言うことを聞かない部下」として理不尽な怒りをぶつけられてしまうことになります。
部下に何かを指示するときには、何を望んでいるのかをはっきり伝えるようにしましょう。
今何をしてほしいのか、どのような雰囲気を作ってほしいのか、といったことではなく、望んでいる仕事の内容や結果を伝えるのです。
言うことを聞かない部下の対策5つ
社会人として働くようになって、長い年月が経つとあなたが他の人を指導する立場になる時が来ます。
その立場に就いた時、言うことを聞かない部下の存在に悩まされるという人は多くいます。
自分が上司なのに、自分の言うことを聞いてくれず反抗的な態度を示されると腹が立ってしょうがない、と感じるでしょう。
また、腹を立てるのではなく落ち込み、精神的、身体的なストレスを抱えてしまう上司も多くいます。
では、言うことを聞かない部下にはどのように接すればいいのでしょうか?
①部下のタイプを見極める
まずは、部下のタイプを見極めるようにしましょう。
部下一人ひとりにも、上司一人ひとりにもその人の性格があります。
誰もが自分の意見を理解してもらいたいと思っています。
しかし、その人の本当の気持ちを理解せずに、反対だけしていては反発精神をあおることになります。
言うことを聞かない部下もワンパターンではありません。
人に指導されると落ち込むタイプの部下なのであれば、言うことを聞かないからと言って怒鳴りつけるのではなく、落ち着いた口調でしてほしい仕事を丁寧に説明する必要があります。
また、反発してくる部下には、考えはすでに理解しているし、働きを評価しているということを伝える必要があります。
そして、腰を低くして自分たちのために協力してほしいという態度をとる必要があります。
②主張の根拠を聞く
自己主張が強く、上司の言うことを聞かない部下にはどう対処すればいいのでしょうか?
まずは部下の主張の根拠を聞くようにしましょう。
自分の指導に対して反論された時、ついすぐにカッとなってしまうかもしれませんが、あなたがいつも完璧な発言をできているとは限りません。
部下の意見を一度すべて聞いてみましょう。
なぜそのような主張をしているのかその根拠も説明してもらいましょう。
もしかすると部下自身が間違いに気づくかもしれませんし、上司であるあなたが部下の言っていることの正当さに気づく結果になるかもしれません。
③指導する根拠を論理的に説明する
「部下だから上司の言うことは絶対」という時代はもうずいぶん前にすたれています。
「上司だから」という理由で全面的に信頼してくれることは少なくなりました。
よっぽどの信頼関係ができていないかぎり、部下が言うことを聞かないという状況はしょうがないでしょう。
そのような時、まずは自分が部下に対して指導している理由を論理的に説明しましょう。
何かを指示したり指導するときには、なぜそうするべきなのかを部下が理解できるようにするのです。
また、そうすることで得られる効果や結果についても説明するようにしましょう。
④指導後はフォローする
部下に指導した後はフォローすることで、部下と上司との関係を良好なものにすることができます。
人間は誰でも、誰かから批判や反対意見を言われると落ち込んだりショックを受けたりするものです。
言われた意見が正しくても、そのような反応になるのは当然のことです。
しかし、そうなっているときに上司から
「言い過ぎてごめんな」
「頼りにしているよ」
「期待しているよ」
「いつも頑張ってるよな」
などといったフォローの言葉をかけてもらえれば、救われた、という気持ちになり、次の仕事への意欲が不思議と湧いてくるものです。
部下が上司の言うことを聞かない背景には、そのようなフォローが行われていない可能性があります。
「どうせ今度も怒られて終わりだ」などと、消極的な思いでモチベーションが下がってしまうのです。
「あんな人の指示は聞けない」と思わせないような対処の仕方が必要です。
⑤部下を頼りにする
部下を頼りにして、上司自身が仕事を楽しむことで、部下が上司の言うことを聞きやすい環境を作ることができます。
確かに、上司という立場は責任だけでなく業務量が増えるので、心身ともに疲れ果てていることでしょう。
しかし、そのような時こそ部下への接し方に注意しましょう。
部下の力を積極的に借りて、部下に仕事を割り当てましょう。
部下に仕事を任せることで、部下と上司の間の信頼関係を築くことができるでしょう。
上司がたくさんの仕事を独りで抱えてイライラすることもなくなりますし、部下も何も任されない、信頼されていないという悶々とした感情から解き放たれます。
職場全体の雰囲気が良くなり、上司の言うことを聞きやすくなるでしょう。
言うことを聞かない部下への指導のポイント3つ
上司の指導の仕方次第で、部下は変わることがあります。
部下が上司の言うことを聞かないのは、上司の指導方法に原因があることがほとんどだからです。
ここでは指導する際に考慮するべき3つのポイントをご紹介したいと思います。
①感謝する
まずは、感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
「部下だから言った仕事をやって当たり前」といった、この考え方が部下と上司の関係を悪化させます。
やって当たり前という態度をとらないようにしましょう。
いくら部下でも一人の人間です。
仕事への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
上司一人では仕事を行うことはできません。
的確な指示を出す上司はもちろん必要ですが、仕事の細かい部分を分担してこなしてくれる部下たちの存在は重要です。
へりくだって部下の顔色をうかがうように、と言っているわけではありません。
上司だからという偉そうな態度をとるのではなく、コミュニケーションをしっかりとって、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
②話をよく聞く
話を聞くことは大切なポイントです。
上司と部下という関係だけではなく、一般的なあらゆる人間関係において当てはまることです。
部下が上司の言うことを聞かない理由も、話を聞けばはっきりわかるかもしれません。
何が問題となっているのかがわかれば、仕事のやり方が改善されたり、部下と上司の双方が気持ちよく仕事を行えるようになるでしょう。
③人格否定をしない
言うことを聞かないからと言って、部下の人格否定をしてはなりません。
言うことを聞かないという部分だけを見てはなりません。
人格否定をしてしまうと人によっては腹を立てて、勢いで仕事を辞めてしまうかもしれません。
または、上司からのパワハラを受けたと訴え出す可能性もあります。
大事になるケースは少なくても、人格否定をされた人は必ず傷つき、その後の仕事の効率を下げてしまいます。
その人の人格ではなく、言うことを聞かない点だけを指導するようにしましょう。
言うことを聞かない部下への具体的な指導法3つ
いうことを聞かない部下を、言うことを聞く部下に変えるためにはどうすればいいのでしょうか?
3つの特別な方法をご紹介いたします。
①わかりやすく具体的な指示
まず、第一に指示はわかりやすく具体的に行いましょう。
マニュアルをポンと渡す、さわりのみを教えて後を任せる、という方法では「言うことを聞かない部下」がいるとは言えません。
あなたがはっきりと指示していないからできなくて当たり前です。
やらなければいけないこと、今やってほしい仕事を1から10までしっかりと説明しましょう。
理解力にいくらか欠けた所のある部下がいるなら、わかりやすく簡潔明快な説明を心がけましょう。
②するべき理由を説明
2番目のポイントは、そう指示する理由を説明することです。
例えば、いつもの業務の仕方が少し変更になったとします。
その変更になった部分のみを伝えることでももちろんいいのですが、なぜ変更になったのか、その理由を説明してあげることで、仕事へのモチベーションを高めることができます。
特に、以前の業務に誇りを持っていた部下ならなおさら説明が必要です。
説明不足だと、なぜ前のやり方がダメなのか、今回の変更は意味がないように感じる、といったネガティブな意見が勝ってしまい、言うことを聞けなくなってしまうのです。
ですから、今そうするべき理由をはっきり説明しましょう。
③「部下」ではなく「一人の人間」として接する
「部下」ではなく「一人の人間」として尊重してあげることもポイントの一つです。
これまで、ビジネスや人間関係に関するあらゆる書籍が出版されており、答えを探し出そうと躍起になっています。
しかし、人間を完全に説明できる人は一人もいません。
一人の部下とどう接するのか、という点だけでも無限に悩めることでしょう。
答えはないからです。
ですから、相手を「部下」とひとくくりにして接するのではなく、一人の人間としてその人独自の世界観や考え方を考慮に入れた接し方をするよう心がけましょう。
言うことを聞かない部下がいる上司の心得5つ
部下を指導しても全く変わらない、いつまでたっても部下が言うことを聞かない…とお悩みでしょうか。
実はそれは、上司が部下を追い詰めてしまっているが故の結果なのではないでしょうか。
働きやすい環境を作り、もっと効果的な指導を与えるために上司として大切な5つのポイントをご紹介します。
①改善方法を具体的に指導
まず、一つ目に部下が失敗した時に「今度はうまくやれよ」と言ってはいませんか?
それではどのように改善すればいいのかがさっぱりわかりません。
これで次も失敗したら、言うことを聞かない部下だ、と決めつけてしまうのでしょうか。
具体性が一切無い指示は聞きようがありません。
何をどのように改めればいいのか、どんな仕事を行えばいいのかを具体的に指導し、気づかせてあげる必要があるのです。
②質問の仕方を巧みに
2番目に質問を巧みに用いて指導していきましょう。
できていないことを延々と述べて部下のモチベーションを根こそぎ取ってしまっていないでしょうか。
「なぜ契約が取れなかったの?」
「なぜ今回のプレゼンあんなに悪かったの?」
漠然としていて、答えようがない質問では次の仕事への意欲が失われてしまいます。
そして、言い訳ばかりして言うことを聞かない部下となってしまうことでしょう。
「どうしたら契約が取れたと思う?」
「どうしたら今回のプレゼン企画通ったかな?」
このような未来に視点を据えた質問をすることで、次にどのように改善していったらいいかを部下に気づかせることができるでしょう。
③価値観をそろえる
人間一人一人が持つ価値観はそれぞれです。
ですからその価値観を合わせた状態で指導をしないと、理解できずに不満だけが残てしまいます。
何を重要視するべきなのかという点を揃えて、価値観で同じスタートに立たせた上で、新しく指導していくようにしましょう。
④理解度を確認する
指導、指示をした後は理解しているかどうかを確認しましょう。
本当に理解しているかどうかで仕事の効率性が変わってきます。
また言うことを聞けるか聞けないかにも関わってきます。
部下に何が分かったか、何が分からなかったのかを自由に言わせてあげましょう。
「はい」と返事したからと言って、すべてを理解した、と考えるのは間違いです。
とりあえず「はい」という人たちが増えてきています。
本当の理解度はあえて確認しなければわからないものです。
⑤手本を示す
上司自身が仕事への姿勢を手本によって示しましょう。
指示されたこと、指導されたことを上司が行っていなければ、どうして部下がやる気になるでしょうか。
口だけの指導や指示では部下はついてきません。
まとめ
・言うことを聞かない部下の対策は部下のタイプを見極めてきちんと納得いく説明をする必要がある。
・部下が上司の言うことを聞かないのは、上司の指導方法に原因があることがほとんどで、上司が変われば部下は変わる。
行くことを聞かない部下に手を焼いている真っ最中かもしれません。しかし、そんな部下も上司次第で変わることができます。部下一人一人のタイプを見極めて、よい関係を築いていきましょう。