最高学府である大学や大学院での「アカハラ」が最近問題でになっており被害者や加害者にならないために基準や事例や対策を知ることが大切です。
今回は大学や大学院でのアカハラの基準5つ、事例11、アカハラ対策3つを紹介します。
目次
アカハラとは?
「アカハラ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
アカハラはパワーハラスメントの一種です。
パワーハラスメントとは立場や人間関係を利用して適当な範囲を超えて苦痛を与える行為のことを指しています。
これのアカデミックバージョンがアカハラです。
つまり、大学や大学院などの学術施設で教員から学生にパワハラを行うことをアカハラというのです。
近年特に広まっている新しいスタイルのパワハラです。
大学において学生は非常に弱い立場にあるため、強い立場にいる教授たちの言うことには絶対服従という関係にあります。
また、まだ社会に出ておらず、何が正しく何が間違っているのかをはっきり理解していないからこそ、被害が深刻になりがちなのです。
大学&大学院でのアカハラの基準や定義5つ
大学や大学院で行われるアカハラの基準とは何でしょうか。
アカハラは主に教育現場で教員から学生へのパワハラを指していますが、どこからがアカハラといわれる要因なるのでしょうか。
教育現場では厳しい指導もありがちです。
教員がこれは正当な教育、指導である、と言い張れば、どんなに学生が精神的、身体的苦痛をこうむっていてもアカハラとして扱ってもらえないのではないでしょうか。
アカハラと判断されるには5つの基準があります。それは次の通りです。
①その言動は指導をするうえで不可欠なのか
②指導の範囲を超えた言動ではなかったか
③陰湿かつ高圧的な言動ではなかったか
④指導の場は適切か
⑤教育閑居への配慮が普段から見られていたか
こうした基準に当てはまる指導かどうかによって、客観的に判断できます。
もし不当なものであるという判断が下されれば、それは指導ではなく「アカハラ」になるのです。
大学&大学院でのアカハラ事例11
アカハラといわれる不当な教育、指導にはどのようなものがあるのでしょうか。
実際に大学や大学院で行われており、アカハラとして訴えられている11の事例をご紹介していきたいと思います。
あなた、またはあなたのお子さんが通っている大学は大丈夫でしょうか。
あなたがアカハラの加害者となっているということはあり得ないでしょうか。
ここで一度ゆっくり考えてみましょう。
①学習・研究活動への妨害
まず1つ目は、学生の学習や研究活動を妨害する行為です。
学習や研究に必要な文献や図書、機器類を故意に使わせないようにすることはアカハラです。
勝手にそうした機器や試薬を破棄したり、本当に必要なものでも購入させないことなども悪質な嫌がらせですね。
学習に必要な机を与えず、条件の悪い部屋を渡し、一定の生徒を隔離するような教育の仕方は間違っています。
研究室への出入りを禁じたり、研究費の申請を妨害したり、学会に参加させないことなども含まれます。
②卒業・進級妨害
2つ目は卒業や進級を妨害する行為です。
卒業研究を開始してすぐに留年を言い渡す、というのは間違っています。
理由もなく単位を与えなかったり、卒業に関する判定基準を故意に操作したりする人もいます。
実際はそうではないのに、不真面目である、就職活動はしてはいけないなどと述べて留年を言い渡す人もいるようです。
また、卒業研究は完了しているのにさらに研究課題を与えて、故意に卒業できなくさせるというケースもあります。
③就職・進学の妨害、望まない異動の強要
3つ目は就職の妨害や異動の強要などです。
指導教員を変更したいという生徒に退学するように勧めたり、留年させたりすることは明らかに指導範囲を踏み越えています。
本人の望まない研究テーマを押し付けることもあります。
就職活動を禁止したり、推薦書を書かなかったり、中には会社に圧力をかけて内定を取り消させることもあるようです。
結婚と学問の二者択一を迫る、などプライベートに深入りしすぎるということもあります。
④指導義務の放棄、指導上の差別
4つ目は指導義務の放棄です。
ゼミを開きもせず指導もアドバイスも一切しないというのは、ただの給料泥棒ですね。
成果が出ないときも何もせず、責任をすべて学生に押し付け、論文も一切添削しません。
測定の目的ややり方も教えられないということもあります。
また、それだけでなくある学生には指導を拒否したり侮辱したり、歴然とした差別を行うということもあり得るようです。
⑤不当な経済的負担の強制
5つ目は不当な経済的負担の強制です。
実験に失敗した時には費用を全額学生に負担させたり、余裕があるにも関わらず研究費を出さなかったり、卒業論文に必要な費用をすべて実費で出させるなどがこれにあたります。
故意に経済的な負担を増やして、卒業できないようにするというのもアカハラです。
⑥研究成果の収奪
6つ目は研究成果の収奪です。
少しだけ訂正されただけなのに指導教員の成果であると公表したり、研究に貢献した人を公開しないというアカハラもあります。
第一著者となるべき人に、そうならないことを強要したり、内容が似通った著書を教授が出す場合もあります。
中には、学生のアイデアを自分の研究テーマとして論文を書く教授もいるようです。
⑦暴言、過度の叱責
暴言によってアカハラを行う教員もいます。
「馬鹿だ」と言ってけなしたり、論文を馬鹿にしたり、「時間の無駄」と言うことも過度な叱責に当てはまります。
ゼミへの出席を禁止したり、「死んでしまえ」と言う教授さえいます。
持ってきた研究成果をゴミ箱に入れたり破り捨てるなど、聞きもせず、見もせず頭から否定することもあるようです。
⑧不適切な環境下での指導の強制
深夜の指導、ホテルに呼びつけること、他の研究室よりも異様に長い指導時間などがあたります。
このような不適切と客観的に思える環境下での指導の強制は、実際の指導の範囲を超えたものということができます。
⑨権力の濫用
不当な規則を強制させたり、不正行為を強制させたりする場合がこれにあたります。
また、プライベートの付き添いへの強制、必要な情報を隠すこと、徹夜での作業の強制などもアカハラとなります。
⑩プライバシーの侵害
家族関係や恋人の有無など、プライベートに関する踏み込んだ話題はするべきではありません。
また、プライベートに関する勝手なアドバイスもアカハラとみなされることがあります。
⑪排斥行為
他大学の学生や留学生、ゲストなどを「外部の人間」または「低レベルの人間」などと述べて差別的な待遇をしたり、排斥行為を行うことはしてはいけません。
大学&大学院でのアカハラ対策① 相談先は2種類
アカハラ被害にあったなら、一人で抱え込まないようにしましょう。
確かに教員というのは絶対的存在で、我慢しなければならない、耐えなければならない、と思ってしまうのももっともなことです。
しかし、教員だからといってアカハラはして良いということではありません。
教育や指導の範囲を超えた学生に苦痛を与える行為は、れっきとした「アカハラ」です。
そのようなときはすぐに相談するようにしましょう。
アカハラは社会的にも法律的にも認められていません。
①大学の相談センター
大学に設置されている相談センターは、まず最初にアカハラの被害を相談できる場であるといえるでしょう。
大学によってはカウンセリングセンターを併設しているところもあります。
どんな些細に思える被害でもまずは相談してみましょう。
しかし、中には大学の教員を守るためにうまく対処してくれないという場合もあります。
大学内の相談センターはアカハラに関しては何の助けにもなってくれない…というケースの場合は、次の相談先に向かいましょう。
②NPOや公共の相談機関
2つ目の相談先となる場所は、NPOや公共の相談機関です。
これはあまり主流の方法として勧められてはいませんが、アカデミックハラスメントに特化している機関が必ずあるはずです。
また、アカハラ以外の教育の場で行われている不正行為なども報告することができます。
こうした公共の相談機関は、秘密を守ってくれますし、中立の立場で物事を客観視してくれるので、非常に良い方法であるといえます。
文部科学省の公益通報窓口への通報も可能です。
大学&大学院でのアカハラ対策⓶ 自分でできる対策3つ
相談しても結局何もいい結果にならない、ということもあるでしょう。
学生は弱い立場にいるため、好き勝手する教員たちを誰も止められない、というケースは少なくありません。
そんなアカハラをこれからも耐えていかなければならないのでしょうか。
アカハラの対策方法は3パターンしかありません。
それは、①戦う、②逃げる、③受け入れる、です。
戦ってもダメ、逃げてもダメな場合は、もう受け入れるしかないかもしれません。
学校生活と向き合い、卒業するためにできることを一つずつ考えていきましょう。
①法的手段で戦う
一つ目の方法は「戦う」です。
アカハラが悪質なもので、卒業が脅かされていたり、精神的身体的な苦痛が大きいものである場合、弁護士に相談することをお勧めします。
そうすれば法的手段によって戦うことができます。
■損害賠償の請求
■教員の退職
■研究停止の要求
■刑事責任の追及
こうしたことを求めることができます。
実例としてアカハラを受けていた学生が弁護士の力を借りて訴訟を起こし、加害者が慰謝料の支払を命じられたというものがあります。
しかし、アカハラの法的手段による解決は100パーセント成功するとは言えないので、冷静な判断が求められるでしょう。
②退学・休学・転学などによって逃げる
2つ目の方法は「逃げる」というものです。
■退学
■休学
■転学
■研究室の移動
これらが逃げる方法です。
相談しても解決されない場合、手っ取り早くストレスから解放される方法は逃げることです。
無理にそこに居座り続ける必要はありません。
逃げることも一つの対処法なのです。
しかし、逃げたからと言って状況が良くなることは少ないといえます。
アカハラを行っていた教員により悪い評判を流されたり、就職先への推薦状を書いてもらえなかったりすることがあります。
ですから、アカハラの証拠を持って、逃げる理由を明確にする必要があるでしょう。
③教員を受け入れる
3つ目の方法は「受け入れる」です。
ほとんどの場合学生はこの方法を選択します。
法的手段をとればお金と時間がたくさん奪われます。
退学や転学もそれまでのたくさんの努力が失われてしまうことになります。
大人の転職よりもハードルが高いといえるでしょう。
どうせ数年我慢すれば解放されると考えて、教員のアカハラを受け入れている人たちは少なくありません。
どうしても我慢できない、それでも辞めるわけにはいかない、というときには他の学生や教員と協力したり、リフレッシュの時間を多くとって、抜け道を作るようにしましょう。
大学&大学院でのアカハラ被害対策③ NGな対策法
アカハラを受けているからと言って、その教授を誹謗中傷をして良い理由とはなりません。
教授の名前を特定できるような仕方で悪口を言ったり、安易にSNSで中傷するという方法をとるのはやめましょう。
そうすると、それまではあなたがアカハラの被害者だったかもしれませんが、そこからはあなたが教授の名誉棄損の加害者となってしまいます。
ですから中傷するのではなく、主張をするようにしましょう。
正しいと思える告発でも、あなたの顔に泥を塗る結果になりかねませんので行動を起こすときは冷静にことを進めましょう。
まとめ
・アカハラの相談先は「大学の相談センター」「NPOや公共の相談機関」の2つ。
・自分でできるアカハラ対策は①戦う、②逃げる、③受け入れる。
・アカハラをされたからと言って、悪口を言ったり、安易にSNSで中傷するのはNG。
アカハラは現在学生たちの間で最も深刻化している問題です。
立場の差を利用して、本当は手本、模範となるべき人たちによるイジメが行われています。
そのようなアカハラに負けない心を作りましょう。
そして自分の味方になってくれる存在をつくりましょう。
その場にいないときには思いっきりリフレッシュして、忘れるようにしましょう。