不登校の原因は様々ですが親が適切に対応することで不登校を克服できる可能性もあります。
今回は不登校の定義と8つの原因、子供が不登校になりがちな親の特徴9つ、親の対応3つ&心構え3つ、将来への悪影響3つを紹介します。
目次
不登校の定義
最近は子供が不登校になってしまって困っている、という親は急増しています。
不登校とは具体的に何を指しているのでしょうか。
単に何度も学校を休むという状態を指しているわけではありません。
正しい知識を持つために不登校の定義を調べてみましょう。
文部科学省によると、不登校の児童生徒とは
「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもの」
と定義しています。
不登校はただ学校に行きたくない学生が、学校に通学しない状態、と考えられていますが、病気や家族の経済的理由ゆえに登校できない場合は「不登校」とは呼びません。
不登校と引きこもりの違いとは?
不登校という言葉に関連して用いられるのが「引きこもり」です。
同じような意味であると勘違いしている人がいますが、実際は違います。
先ほど述べた不登校の定義と引きこもりの定義は違うからです。
引きこもりは次の5つの条件を満たすものです。
①自宅を中心に生活する
②就学・就労していない
③以上の状態が半年以上続く
④精神病、知的障害を持つものは除く
⑤家族以外の親密な人間関係が維持されているものを除く
ですから、不登校=引きこもりと言うことはできません。
不登校になる8つの原因
小学生から高校生に至るまで、学校に行きたがらない子供を持つ親は少なくありません。
不登校者は近年増加し続けています。
では、なぜ不登校になってしまうのでしょうか。
あらかじめ不登校になりうる原因について知っておけば、対処できるのではないでしょうか。
不登校になる主な理由となるものを8つご紹介したいと思います。
これらは文部科学省の統計データや不登校の体験談をもとに出しているものです。
①学校生活によるトラブル
まず1つ目の原因は、学校生活におけるトラブルです。
いじめがほとんどの原因となっていますが、子供自身が集団生活を苦手としていたり、教師と合わないという状況にもトラブルが生じます。
実際にいじめが原因で不登校になっている児童は0.5~2パーセントといわれています。
学校側がいじめと認めないためにこのような小さい数字になっていますが、実際はもっと多いのではないかと考えられています。
②無気力
2つ目の原因は、無気力です。
不登校になる学生のうち最も多いのがこの無気力によるものです。
特に高校生など、ある程度知識が身についている子供たちがこの状態に陥り、不登校になります。
受験で燃え尽きを感じたり、学校生活でやっていけなくなったり、親や周りの期待に応えることを頑張り過ぎてしまった結果、無気力になってしまうことがあります。
無気力になっている子供に「学校に行きなさい!」「勉強しなさい!」と頭ごなしにしかりつけても、不登校から回復するということはありません。
無気力になってしまった理由を考えて、少し休ませてあげた方が復学の見通しがつくことでしょう。
③非行や遊び
3つ目の原因は非行や遊びです。
不登校の原因のうち10パーセントほどを占めているものです。
これは家庭環境が原因となっており、悪い友達と活動することよって起こるものです。
・家庭内での居場所がない
・成果しか認められない
・親の干渉が激しい
・親が無関心すぎる
こうした家庭環境や親の特徴が子供を非行へと導いてしまうことがあるようです。
理想の子供であろうと頑張りすぎてしまった結果、そのことへの反発精神が生まれ、非行や遊びに走り不登校になってしまうのです。
④学業不振
4つ目の原因は学業不振です。
思ったように成績が伸びなかったり、勉強が難しくてついていけない、と感じるとその問題から逃げ出すために学校に行かなくなります。
授業や試験を受けずに済むからです。
この場合はできるだけ、学力を上げるために親が協力してあげる必要があります。
すべてを教師に任せるのではなく、家庭内で親が勉強を見てあげることはいつの時代にも欠かせないことです。
また、子供の勉強嫌いや劣等感を助長しないように注意しましょう。
⑤精神未熟
5番目の原因は精神未熟です。
これは小学生など児童の不登校の原因として多く取り上げられているものです。
親と離れたくない、という甘えや精神の未熟さが原因となっています。
自分にとって苦手なこと、嫌なことがある日は学校を休もうとするかもしれません。
ずっと落ち込んでいるのか、といえばそういうわけでもなく、楽しそうに学校に行く日もあれば、学校に行くことを異常に嫌がる日もあるでしょう。
親にとっては何が何だかわからず困ってしまうかもしれません。
こうした場合は、子供の内面が年齢相応に成長するように周りの手を借りなければならないでしょう。
⑥家庭環境
家庭環境が問題となって不登校になってしまうこともあります。
例えば経済的な問題や、親の介護問題、家庭内の不和などが原因となりえます。
家庭内の変化についていけないという問題もありますが、それだけでなく親が金銭的に余裕がなくなってしまい、子供と接する時間が減ってしまうことが原因となっています。
子供自身も親の余裕のなさを感じ取り、ストレスを感じるようになります。
そのため家族や学校と関わることを嫌がるようになります。
非行に走ったり、自室に閉じこもって出なくなってしまうなど、見せる反応は様々です。
⑦発達障害
6つ目の原因は発達障害です。
学習の遅れが見られたり、同じ年齢の子供たちと遊べない、文章を理解するのに普通以上に時間がかかるなどから、学校に行くのを嫌がるようになります。
知的能力には問題がなくても、注意欠陥多動症を起こしている子供もいます。
子供の状態にいつも敏感であるようにし、もし発達障害の兆候が見られるのであれば専門的な知識を持っている人に相談するようにしましょう。
個別の指導が必要になるかもしれませんから、そのような場合は学校側と協力する必要があります。
⑧神経症
8つ目の原因は神経症です。
強いこだわりや不安、落ち込みや対人恐怖症が起きているかもしれません。
過度なストレスを抱えることによって精神的な負担がおこり、行動できなくなります。
このような症状を見せる子供は、不登校者の20パーセントを占めているといわれています。
この神経症の症状が精神疾患の兆候となることもあります。
早めに親が気付いて適切な治療に当たらせる必要があります。
大人になってからでは、医療機関に行くことを嫌がるようになるかもしれません。
子供が不登校になりがちな親の特徴9つ
不登校の子供は家庭環境や親の影響から精神的ストレスを強く受けていることがあります。
子供が不登校になりやすい傾向にある親の特徴をいくつかとりあげてみたいとおもいます。
①論理的かつ批判的
まず、なんでも論理的に話し、批判的です。
「これはこういう理由があるからダメ」
「これはこうしなければいけない」
「なんでこんなこともできないの」
「これはこうすべきだ、と逸見っているじゃない!」
こうした頭ごなしに批判的な発言をする親の子供は、なにも親に話せなくなり、不登校になっても状況は悪化するばかりでしょう。
②せっかち
せっかちな親や、効率性を異常に子供に求める親もいます。
「私せっかちなの」
「子供は何で効率が悪いことしかしないの?」
「もっと早くしてよ」
こうした言葉を発する親を見たことはないでしょうか。
確かに効率性を求めるのは良いことです。
しかし、求めすぎ、特に子供にそうしたことを求めると、子供は自分の行動が否定されていることを辛く感じ、不登校になってしまうのです。
③短気
短気で、いつも些細なことにイラついている親もいます。
「あの人が○○と言っていた、信じられない」
「あの人の話し方がなんか気に食わない」
「妻に言われた一言に腹が立った」
このように周囲から見ればどうしてそんなにイライラしているの?と思われるような些細なことで終始腹を立てている親です。
この場合、子供が本音を打ち明けたり悩みを相談できない存在になってしまい、不登校が長引きます。
④人生への不安が大きい
「この先どうしよう」
「あなたが頑張ってくれないと」
と子供によく言っている親は、子供の不登校を長引かせます。
自分の人生への不安を子供に押し付けなけていることになり、子供にとってはいい迷惑です。
かなりの精神的負担となり、どこにも逃げ場が見いだせず部屋に閉じこもるか、非行に走るかするかもしれません。
⑤学歴の劣等感
親の学歴の劣等感を子供に押し付ける親もいます。
親の劣等感の克服をなぜ子供に強制する必要などあるでしょうか。
自分以上に優秀な人生を送ってほしい、と無意識のうちに子供に話していませんか。
そんな中で子供が不登校になってしまうと、焦りを感じ、子供に話を聞かずただただ登校するよう強制してしまうことでしょう。
⑥過度なポジティブ
ポジティブすぎる親もNGです。
子供が不登校でもそれを重大なこととして受け入れず、子供に「無関心なのでは?」と感じさせる親です。
「子供は絶対また学校に行きますから!」
「不登校でも大丈夫!いろんな生き方があります!」
「子供のことを見守ります、信じているので!」
といったことを言う、ポジティブすぎる親たちです。
当然不登校は何もしなければ改善しないでしょう。
⑦過度なネガティブ
逆に過度にネガティブな親の子供も不登校になりやすいと言えるでしょう。
子供についても自分に関しても悲観的で批判的、そして否定的なのです。
子供のやる気や好奇心を奪ってしまうのです。
⑧夫婦間の溝
夫婦間の溝は子供に大きな影響を与えます。
この溝の大きさは本人には気づきにくいものであるため、特に深刻な問題を引き起こします。
親の状態を観察している子供は家庭への絶望感、将来への絶望感を抱き、不登校になってしまうのです。
⑨親の職業が教師
なんと親が教師の子供は不登校になりやすいかもしれません。
「教師の子供が不登校なんて恥ずかしい」
こうした考えを持っている親の子供はなかなか回復しません。
教師は「こうあるべき」との思考が固まりすぎていて、自分の子供に対して柔軟な考え方ができないということがあります。
子供が不登校になった場合の親の対応3つ
子供が不登校になったときはどのように対応すればいいのでしょうか?
3つの方法をご紹介いたします。
①家庭環境の見直し・話を聞く
まずは、家庭環境を見直しましょう。
家庭環境の急激な変化や悪化が不登校の原因となっているかもしれません。
特に中高生は反抗期に入っており、親との関係がうまくいかないがゆえに不登校になるということがあります。
そうした時は不登校について深く追求しないようにしましょう。
学校で嫌なことがあるのか、学校に行かない理由があるのか、根掘り葉掘り聞いてはなりません。
まずは話を聞ける体制を作っておきましょう。
無理して学校に行かせる必要もありません。
親に子供が心を開けるようにしましょう。
②学校や民間の外部機関に相談する
2つ目の対応は外部に相談する、というものです。
学校との電話や家庭訪問には積極的に協力して、子供がまた復学できるように助けましょう。
カウンセラーなど外部の機関と協力して情報を共用することで、子供の本当の姿を知ることができるかもしれません。
③学習面は個別指導塾やフリースクールを視野に入れる
学校を休んでいる間、学習面で遅れてしまうということに焦りを感じて、子供に登校するよう強く勧めてしまう親もいます。
しかし、そうしたからといってまた子供が回復できるわけではありません。
フリースクールや個別指導塾などを視野に入れて、不登校でも学習面は取り戻していけるよう態勢を整えましょう。
不登校でも、難関大学に合格できるように助けてくれる個別指導塾も最近ではたくさんあります。
慎重に親が判断するようにしましょう。
不登校の子供に対応するときの親の心構え3つ
不登校の子供を持っている親が絶対に忘れてはいけないことがあります。
それは子供の行動に一喜一憂しないということです。
それを特に子供に見せてはなりません。
子供の行動で親の感情が不安定になっていることが子供に伝わると、悪影響を及ぼします。
親が疲れるとよい対応ができない
不登校の子供が学校に行った日は子供を異常に褒め、次の日に学校を休むと落ち込んでしまう。
こんなことを繰り返していると精神的に親が疲れてしまうのではないでしょうか。
子供のことで一喜一憂していると自分がだめになります。
プレッシャーになる行動はしない
学校に行けば褒めてもらえるが、休めば親が落ち込む…というのを目の当たりにすると、子供はプレッシャーに感じてしまいます。
親のために学校に行かなければ、と思ってしまうのです。
そうなると、子供は精神的なストレスを強く感じてしまい、結局また不登校に戻ってしまうでしょう。
存在そのものへの価値を表す
他者と比較したり、その子の価値を作り上げたりしないようにしましょう。
その子の存在そのものに価値があることを伝えましょう。
何をしなくても生きているだけで愛され、喜ばれる、そんな存在であるということを子供に意識的に伝えるようにしましょう。
不登校が長引いた場合の将来への悪影響3つ
もし、不登校が長引いてしまうと将来にどんな影響が起きるのでしょうか。
以下の3つの悪影響が考えられます。
①働き口がなくなる
途中で復学できれば話は別ですが、学歴がないまま成人を迎えてしまうと、どんな仕事でも採用されなくなってしまいます。
普段から外部との接触を断ち気味であれば、雇ってもらったとしてもすぐに辞めてしまうでしょう。
②社会性が身につかない
それまで学生生活で培えたであろうコミュニケーション能力が著しく乏しいため、社会性が身につかず、他の人とうまくやっていけない可能性も高いです。
③モテない
加えて異性から蔑まれることもあります。
同世代の流行りや好みなどを知ることができず、異性との関係もうまくいかないことでしょう。
親からしたらそれはどうでもいいと思うかもしれませんが、本人にとっては傷つく最も大きな問題です。
まとめ
・引きこもりは不登校とは異なり、就学も就労もしていない状態を指す。
・子供が不登校になってしまった場合は、親は子供の行動に一喜一憂しないようにする。
不登校になる原因には様々なものがあります。
しかし、いかなる場合でも親がしっかり対応してあげることで、子供は安心して学校に登校できるようになるでしょう。
将来に悪い影響が及ばないうちに立て直せるよう、親と子供と学校で協力し合うことが大切です。