浮気や不倫が原因で離婚に至る夫婦は多いですが、子供がいる場合は親権問題は避けては通れず、親権を獲得する方法や基準を知っておくことが大切です。
今回は浮気や不倫の親権への影響、親権獲得の判断基準や流れをまとめてみました。
目次
そもそも親権とは
離婚すると親権を争うことになる…というのはよく聞く話ですが、そもそも親権とは何でしょうか?何となく使っている人もいるのではないでしょうか?
親権とは、現在いる子供と一緒に暮らして、育て、財産の管理などをする権利のことです。
要するに、親として生きていく権利、子育てをする権利、子供と一緒にいる権利などと言えばいいでしょうか。
離婚後も子供と一緒に暮らしたければ、この親権を獲得する必要があります。
子供が複数人いれば別々に親権を取ることも可能ですが、通常は兄弟が別々に暮らすのは可哀そうなので、どちらか一方が親権を取ることが多いです。
この親権がなくても子供と会うことはできますが、決められた日に決められた時間しか会うことが許されないので、「月に数回」など会うのはかなり制限されます。
子供のことがかわいくて仕方がない場合は、やはりこの数回だけでは不満でしょうから、納得いかない場合は裁判で争うことになるのです。
浮気や不倫をした場合の子供の親権獲得への影響とは
もし、相手の浮気や不倫で離婚することになった場合、あなたは恐らく親権は当然自分のものになると思ってはいないでしょうか。
実は、浮気や不倫をしても親権とはまったく関係ないのです。理不尽な話ですが、不倫してもイコール子供をきちんと育てられない、とはみなされないのです。
子供が幼い場合には、例え妻の方が不倫して離婚に至ったとしても、親権は妻の方が取ることが多いのです。
ただ、妻の不倫が原因で離婚する場合、親権まで妻が取るのに納得できない男性が多いです。
夫からすれば、自分を裏切った上にかわいい我が子まで奪っていくわけですから、まったく受け入れがたい話なわけです。
しかし、ここでは冷静になりましょう。どんなに興奮したところで裁判になれば、不倫したかどうかは考慮されません。
もし、この記事を読んでいる方が男性なら怒りを覚えるかもしれませんが、感情的になっても親権は取れませんので、事実は事実として覚えておきましょう。
子供の親権獲得の判断基準とは
では、親権はどのような基準で決まるのでしょうか?
それは離婚前の子供との関係と育児に対しての姿勢、一緒に過ごしてきた時間の長さ、親の健康状態、教育への熱意、子供への愛情などを総合的に判断されて決定します。
もちろん経済状態も加味されますが、「これからきちんと正社員として働く」など、働く意欲があれば、プラス材料になります。
そもそも、夫の方が圧倒的に稼ぎが良ければ、養育費という形で経済的には援助ができるので、経済的な側面だけで決まることはまずありません。
また、子供がかなり大きい場合(15歳以上)は、子供の意思が最優先です。
子供が大きい場合は、子供と仲良くしておけば他の部分でかなり負けていたとしても、親権を取れる可能性は十分あるということです。
母親が子供の親権獲得に有利な理由とは
ちなみに先に少し説明しましたが、子供が幼い場合は、母親の方が圧倒的に有利です。
例え、母親の浮気や不倫で離婚することになっても揺るぎません。なぜなら、先に挙げた親権を決定するポイントにおいて、ほとんどの家庭では母親の方が圧勝だからです。
大抵の家庭では母親が育児に対しての参加率は高いですし、一緒に過ごしてきた時間も長いので、子供も母親になついている場合が多いです。
父親側からすれば、「俺が一生懸命働いていたのは子供のためなんだよ!」と言いたいでしょうが、非常に残念ながらそれを証明する手立てがありません。
実際に子供は一緒にいた母親の方になついてしまいますので、裁判ではほとんど親権の決定の際には考慮されないのです。
父親が子供の親権を獲得する方法とは
しかし、父親側が親権を獲得する可能性はゼロではありません。統計だと1割程度は父親が親権を獲得しています。
もし、離婚を考えていなかったとしても、覚えておくと万が一の時に役に立つかもしれませんので、頭の片隅にでも置いておいてください。
裁判所が親権を決定する際に先に挙げた条件以外に考慮することとして、「今までの生活がそのまま送ることができること」というのが挙げられます。
例えば、学校から帰ってきたら母親が家にいるとか、ご飯は一緒に食べることができるなどです。
父親は仕事で帰りが遅くなることも多く、子供が帰ってきた時に家にいることは大抵の場合無理でしょうし、一緒にご飯を食べることも母親に比べれば少ないでしょう。
また、食事も手料理ではなく、買ってきたものも多くなってしまうはずです。
子供にとって生活環境が激変するのは非常にストレスになります。それを考慮して母親に親権が与えられることが多いのです。
そう考えると自分の今の生活を見直すことから始めないといけません。しかも長期的にです。「子供は嫁に任せて仕事を頑張ろう」では親権は取れないということです。
と言っても、離婚するかもしれないと思って、離婚の気配がまったくないのに生活を改めるのは現実的ではありません。
ただ、15歳以上になれば子供の意思が最優先になるので、子供とのコミュニケーションを取って、仲良くしておくのは非常に重要です。父親といる方が楽しいと思わせれば勝ちなのです。
また、母親が子育てを放棄している場合は、父親が親権を取ることになります。
もし、妻が子育てを放棄したような行動を取った場合は、証拠を取っておくことをおすすめします。
肉親に「うちの嫁が子育てに全然協力的ではない」など、常に話しておくのも良いでしょう。
さらに、妻が離婚する時に不倫を継続していて、家出後に不倫相手の家に転がり込む予定だったりすると妻の方がかなり不利になります。
とにかく、基本的には妻の方が圧倒的に有利なので、逆転する方法としては妻によほどの落ち度がある場合(子育て放棄、不倫相手と暮らしている、または暮らす予定など)です。
または、15歳以上の子供が自分のことを選んでくれた場合に限る、と思っておいた方が良いでしょう。
離婚での子供の親権決定の流れ① まずは2人で話し合い
離婚の際に親権が決定する流れを説明しましょう。
いきなり裁判にはなりません。離婚は基本的には本人たちの自由意思ですから、お互いが納得すれば、離婚届を出すだけで離婚は成立し、親権も2人で穏便に決まれば一番良いです。
お互いが納得するまで話し合い、納得ができたならここで終了です。離婚届を書き、その時にどちらが親権者かを書いて提出し、どちらかが家から出ていくことになります。
そして、親権を取った方に子供はついていくことになります。
ちなみに2人で話し合って、お互いに納得した離婚のことを「協議離婚」と言います。日本の場合、基本的にこの協議離婚がほとんどです。できればここで終わりたいものです。
離婚での子供の親権決定の流れ② お互いが納得しなければ調停へ
2人での話し合いがつかなければ、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。
家庭裁判所に行くので裁判と思っている人がいるかもしれませんが、調停はまだ裁判ではありません。
調停委員が夫婦の主張を聞きながら、客観的な意見を発言してくれます。要するに、2人での話し合いから、第三者を入れた話し合いになったということです。
また、調査官が家庭に出向いて家庭環境や子育て状況などを確認するので、この時にきちんとアピールできると調停委員が自分の味方になってくれ、親権獲得に大きく前進するはずです。
調停委員を味方にすると、相手は孤立して、説得される可能性が高いです。
調停委員も人間ですので、時には情に訴えるのも有効です。いかに子供のことを思って自分が生活しているか、今後も子供を大事にするアピールをして、調停委員を味方につけましょう。
相手の揚げ足取りをしていても仕方がありません。
確かに、相手に決定的な悪いところがあれば、相手への印象が悪くなるので有利ですが、あくまでも調停委員が見ているのは、あなたの子供への愛情なのです。
この人が親だったら、きっと子供は良い子に育つし、幸せな人生を送れるに違いないと思わせるように自分の親としての能力をアピールしましょう。
離婚での子供の親権決定の流れ③ 最後の最後は裁判へ
調停で調停委員がいくら言っても、聞く耳を持たない場合もあります。そこで裁判になります。
調停委員はあくまでもアドバイスをして、お互いが歩み寄る手伝いをする立場です。なので、勝手に調停委員が「親権はこちら」と決めることはできません。
しかし、裁判になると裁判官が決めてしまいます。片方に圧倒的に不服があっても関係ありません。裁判官が調査官が集めた資料を参考に客観的に決めてしまうのです。
裁判で決まったことは強制力があります。裁判で決まったことにいくら文句を言ってもどうしようもないのです。
裁判を行うことは精神的に非常に疲れるので、よほどの意思がないと起こさない方が良いでしょう。
そもそも裁判になる前の調停で、裁判になったらどちらが親権を取ることになるだろうという意見は言ってくれるはずです。そして、その意見はほぼ的中します。
調停委員も素人ではないですし、今まで仕事で色々なパターンの夫婦を見てきているので、ほぼ間違いはありません。
なので、基本的には調停で終わらせるの方が良いでしょう。
納得がどうしてもいかなければ、自分を納得させるために裁判までいくのはありですが、結果は調停委員が言った結果と変わることはまずありません。
離婚裁判での弁護士の必要性とは 【浮気・不倫・親権に精通している弁護士】
もし、裁判にまでなったら、弁護士に依頼する必要はあるのでしょうか?
答えは「絶対に依頼しないといけないことはないが、依頼した方が圧倒的に楽」です。
ちなみに統計によると、離婚裁判になった人の98%は弁護士に依頼をしています。
世の中のほとんどの人は、裁判なんて縁がなく生きています。恐らく、これが生まれて初めての裁判という人も多いでしょう。
裁判には色々な手続きが必要なので、その手続きを代わりにやってくれるのは非常に楽です。
仕事を持っていたら、仕事をやりながら裁判の手続きを調べて、書いて、裁判に出廷するなんてことをしていると時間がいくらあっても足りません。
確かに、弁護士に依頼するとお金はかかります。弁護士にもよりますが、最低ラインで50万円程度はかかるでしょう。
色々決めることが多い場合(親権もそうですが、財産分与、慰謝料、養育費などでも揉めていた場合)は、100万円を大きく超えることもザラにあります。
しかし、それでも弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士が仕事をやってくれた方がスムーズに話が進みますし、その間に自分は他のこと(仕事など)に集中ができるので、ストレスも少ないからです。
自分で動くとどうしても無駄が多いですし、当事者なので思い出すたびにストレスを抱えることになります。
また、弁護士なら「負けそうだけど、今なら和解できる」など最善策に導くことも可能です。これは弁護士の腕もありますが、味方ではありつつ第三者なので冷静に判断を下せるのです。
裁判中にも都度アドバイスも的確にもらえますので、不安がないのも嬉しいところです。
お金を惜しんで依頼しないと逆に損することにもなりかねません。ですので、裁判になってしまったら弁護士に依頼することをおすすめします。
良心的な弁護士なら、話を聞いた時点で「裁判では絶対に勝てないから止めた方が良い」とすすめてくれるかもしれません。そうすれば余分なお金も払わずに済みます。
まとめ
今回は親権について説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
・浮気や不倫をしたことと親権の獲得は関係がない。
・親権の獲得は母親が有利だが、父親が獲得できることもある。
親権獲得には、不倫や浮気は関係ないことがわかっていただけたと思います。
基本的には母親側が有利ですが、父親側も最初からあきらめる必要はありません。子供との関係が良好なら親権を取れる可能性はゼロではありません。
納得いかないのであれば、裁判まで行くのもありですが、もし裁判まで行った場合は弁護士に依頼することをおすすめします。