年収や手取りなど給料に関するお金のことは人には聞きづらいものですが自分の手取りは平均なのかそれ以上なのかは気になりますよね。
今回は年収と手取りの違い、手取りの計算方法、平均年収、手取りを増やす方法8つを紹介します。
目次
年収と手取りの違いとは
会社員として働くサラリーマンにとって、「年収」は注目ワードなのではないでしょうか。
場面によって、年収ではなく月収や手取り、総支給額や所得など、何を答えたらいいのかわからない言葉がたくさん出てくることもあります。
すべて、稼いで受け取っているお金なのだろうとアバウトに理解しているつもりだったとしても、はっきりは説明できないかもしれません。
ここでは、年収とはいったい何なのか、年収と手取りの違いについてご紹介したいと思います。
年収の定義と3つのQ&A
まず、年収とはいったい何でしょうか。
年収とは税金や保険料が差し引かれていない年間の給料を示しています。つまり、働いて得たお金すべて、雇用主が払ってくれる一年間当たりの総支給額を指しています。
年収ではなく「税込み年収」や「額面年収」と呼ばれることもあるので注意が必要です。
あなたがもし会社員であるなら、源泉徴収票をチェックしてみてください。きっと、支払金額のところに年収が記されているはずです。
そして、この年収を12か月に分割したものが、月収となります。
月収には基本給に加えて役職手当や地域手当なども含まれていますが、月によって変動する手当や経費は含まれていません。
また、年収と同じように税金や保険料も差し引かれていない状態での給料を表しています。
Q1. ボーナスは含まれる?
では、年収にボーナスは含まれているのでしょうか?
はい。その通りです。年収には先ほども述べた通り、会社から支払われる年間の総支給額を指しており、その中にボーナスや賞与も含まれています。
ただし、ボーナスを必ず会社側が払わなければいけない、という決まりはないので、ボーナスが払われない会社ではボーナスが含まれていない年収となります。
ボーナスが支給される会社であったとしても、その会社の制度や業務実績によって変動することが考えられます。
転職する際に、ボーナスも考慮に入れて年収をチェックするのであれば、思い込みで判断しないようにしましょう。会社によってボーナスの有無や基準は異なります。
面接の際に直接聞いたり、会社のホームページに問い合わせるという方法をとると正確な情報が手に入るでしょう。
Q2. 経費の払い戻しは含まれる?
年収に経費の払い戻しは含まれているのでしょうか?
はい、含まれています。年収には、立て替えておいた経費の払い戻し額も含まれることになります。
ただし、どのような名目で返ってくるかは、会社によって異なります。例えば、通勤費、通勤手当などという名前で支給される会社もあるからです。
しかし、この経費の払い戻しは実際には年収の増減に関係ありません。実際には自分が払ったお金が返ってきているだけであって、給料が増えた、と勘違いしないようにしましょう。
例えば、転職先が駐車場代や交際費などの立て替えが多い場合、一見転職に成功した、年収が上がっている!と喜びたくなるかもしれません。
しかし、実際のところ使えるお金が増えたわけではなく、自分が払ってきたお金が戻ってきただけ…というぬか喜びに後で気づくことになるでしょう。
Q3. 月給の12倍が年収なの?
給与表記は月給である場合、年収はそれを12倍したものでいいのでしょうか?
そうではありません。給与が月給表記になっている場合、残業代や報奨金、役職手当や地域手当やボーナスなどの給料以外の追加報酬がどうなっているのかはわかりません。
手当があるのか、支給基準を満たすにはどうすればいいのかは、会社の規定によって異なります。
今働いている職場と同じ月給基準の会社に転職したのに、転職先の月給に残業代や手当があらかじめ入っていた場合、月に変動するかもしれない手当も一定になってしまいます。
せっかく転職したのに年収が明らかに下がってしまう、ということも考えられます。
思い込みで「月収×12か月が年収だ!」と思わないようにしましょう。気になることは自分で考えるのではなく、求人情報やホームページで問い合わせた方がよいでしょう。
手取りの定義
では、手取りとはいったい何を表しているのでしょうか。
手取りとは、月給から各種税金や保険料を差し引いた状態で、実際に手元に残って自由に使うことができるお金のことを指しています。
税金では所得税と住民税が差し引かれます。そして健康保険や介護保険、厚生年金や雇用保険などの各種保険料も差し引かれることになります。
こうした手元に残るお金は、「手取り」のほかにも「可処分所得」と呼ばれています。つまり処分することが可能な所得、自分で自由自在に使えるお金、ということです。
ですから、年収と手取りは異なります。年収が高く見えても、結局は税金や保険料が差し引かれるため、手元に残ったお金は少なかったということは少なくありません。
年収から手取りを計算する方法
就職活動や転職活動の際に、餌として吊り下げられるのは月給や年収、つまり税金や保険料が差し引かれていない状態で得られる給料です。
しかし、実際に振り込まれ使えるお金はそれよりもずいぶん少ないことを知っておく必要があります。
では、自分がもらえる本当の手取り額を知る方法はないのでしょうか。
年収から手取り額を調べる方法はあります。確実にその金額が1円たがわずにもらえるか、と言いますとそうではありません。
しかし、手取りの目安にはなるので、気になる会社の年収を元にぜひ計算してみてください。
計算方法は以下の通りです。
手取り額=年収×0.8 (※一般的な年収の普通の会社員の場合)
扶養家族がおらず、独身生活の場合には、年収の約8割は手取りとして手元に残ることになります。しかし、年収が高ければ高いほど税金(所得税)は上がっていきますので、これに限りません。
700万円以上であれば7.5割、900万円になると7.4割、1000万になると7.3割になると考えておくといいでしょう。また年収5000万円以上の会社役員だと5-6割になることもあります。
年代別の平均年収&手取りを紹介 【20代~60代】
では、年代別に平均年収を調べていきましょう。
20代から60代までの平均年収とそれから割り出される平均手取り額を表にしています。
平均年収 | 平均手取り額 | |
20代男性 | 3,045,000 | 2,493,173 |
30代男性 | 4,180,000 | 3,365,100 |
40代男性 | 4,770,000 | 3,778,282 |
50代男性 | 4,990,000 | 3,945,899 |
60代男性 | 3,420,000 | 2,768,303 |
見ての通り、50代男性が最も年収が高くなっています。
働き始め、新社会人のころはそれほど年収は高くなく、それだけ取られる税金も少ないかもしれません。
しかし、年収が高くなれば高くなるほど税金で差し引かれる額が多くなり、手取りがそれほど変わらない、ということになる可能性も考えられます。
20代から50代までは年収が緩やかに上昇しています。長年その会社で働けば働くほど、働きが評価され、役職を与えられ、賞与が増えたり、手当が増えたりすることでしょう。
その後、60代からは緩やかに減少していき、年収は少なくなっていくと考えられます。
学歴別の年収平均を紹介 【高卒/高専・短大卒/大学卒】
続いて、学歴ごとの平均年収をご紹介したいと思います。
20代男性から60代男性まで、高卒・高専や短大卒・大学卒の年収をそれぞれ表にしています。
大学卒 | 高専・短大卒 | 高卒 | |
20代男性 | 2,724,000 | 2,450,400 | 2,412,000 |
30代男性 | 3,855,600 | 3,204,000 | 3,052,800 |
40代男性 | 5,120,400 | 3,928,000 | 3,746,400 |
50代男性 | 6,399,600 | 4,797,600 | 4,213,200 |
60代男性 | 4,482,000 | 3,436,800 | 3,039,600 |
この表を見ていただけるとわかる通り、学歴に関しては、年齢を重ねるごとにどんどんその年収の差が広がっていることがわかるのではないでしょうか。
まだ、働き初めのころは、それほどできることに差がなく、新社会人であればそれなりの年収をもらうことができます。
しかし、よく考えてみると高卒で働き始めておりすでに3年近く働き続けている男性と、大学卒で初めて働き始めた男性との年収の差を考えると、明らかな差があります。
そのキャリアの差は、年齢を重ねるごとに広がっていきます。
特に、役職についたり新しいプロジェクトを携わったりなど、多くの人が関わり責任が重くなる仕事を任されるには、学歴があるかないかによって厳しく評価されてしまうのが現実です。
手取りを増やす方法① 給料はそのままでできる方法8つ
給料の伸び悩みが気になるようになってきましたか?
こんなに働いているのに、長年ずっとこの会社で働いているのにこの給料って…と不満が募るかもしれません。
増やしていきたいものの、なかなか増えてくれないのが給料というものです。
では、もう一度自分の年収や手取りから分かることをチェックしてみましょう。そして、給料を増やさなくても手取りを増やす方法を考えましょう。
4つの踏むべきステップをご紹介します。
①給料明細をチェック
まず1つ目にすることは給料明細のチェックです。
自分がもらっている給料明細の見方がわからない、という方は意外と少なくありません。収入が少ない…と落ち込んでしまう前に、まずは自分の給料の仕組みをチェックしてみましょう。
収入には勤怠欄・支給欄・控除欄があります。
出勤日数や有休日数、残業時間などをチェックすることができます。ほとんどの場合ごまかされてはいませんが、念のためチェックしておきましょう。
支給欄には、会社から支払われるお金について記入されているはずです。基本給ともに手当の金額も含まれています。また、交通費や残業代などが記入されていることでしょう。
そして、最後の控除欄には、税金や保険料など差し引かれた金額が記されています。支給額から控除額が差し引かれてあなたの手元に戻ってきています。
できれば、控除額を減らして手取りを少しでも増やしたいはずです。
②税金を減らす
次に税金を減らすためにできることを考えましょう。
社会保険料や税金は収入に応じて決まっています。そのため、残業を少なめにする時期を考慮すると、社会保険料をかなり少なくすることができるかもしれません。
ほとんどの場合、社会保険料は4、5、6月の給料を平均して計算されているようです。
ですから、その時期にあまり収入を増やさないようにすれば、1年間の保険料を減らすことができるということです。賢くなって、手取りを増やしましょう。
③所得控除をチェック
そして、所得控除をチェックしましょう。
所得税は1年間に得た所得に課税されています。基礎控除のほかに配偶者控除や扶養控除などが存在します。扶養扱いになるパートナーや子供がいればこの控除を受けることができます。
独身の場合は、生命保険料控除を利用することによって、一定額を控除することができます。
一般の生命保険料に加え、介護医療保険料、個人年金保険料というものがあります。3つの控除枠をフルに使うことによって、およそ12万円の控除額を期待できるはずです。
このように節税対策のために保険に加入しておけば、手取り額が増えるだけではなくて、自分が病気になったときや、何かがあった時のために備えることもできます。
年末調整の時に保険額控除を申し込みましょう。
④確定申告
4つ目のステップとして確定申告です。
1年間に医療のために払ったお金が10万円以上になっている場合、医療費控除の対象となります。自分だけではなく、家族や配偶者の医療費もしっかり残しておくようにしましょう。
その他にも住宅借入金特別控除などもあります。
自分が使える控除をみつけて確定申告すれば、年末調整の時に払いすぎていた保険料や税金が払い戻しされることになります。
給料が増えても手取りは増えないことも?!
先ほどは給料を増やさずに手取りを増やす方法をご紹介しました。
では、給料を増やすことはできないのでしょうか?確かに、昇進したり役職を得ることによって給料は増えます。残業をすればそれだけ給料はもらえます。
確かに給料を上げることは努力次第でできるかもしれません。しかし、本当に欲しいのは給料ではなく手取りのはずです。
いくら給料を上げても、税金や保険料が上げた分だけ引かれていけば何の意味もありません。
給料を上げたからと言って、手取りを増やすことができるとは限らないことを覚えておいてください。
手取りを増やす方法⓶ 給料アップさせる方法4つ
給料が増えても手取りが増えない場合もある、と前述しましたが、やはり給料全体が大幅にアップすれば、前より多く税金等が引かれたとしても残る手取りは増えていきます。
では、給料をアップして手取りの金額を増やす、手っ取り早い方法を4つご紹介しましょう。
①昇進・昇給
1つは昇進や昇給を目指すことです。
昇進すれば役職手当がもらえたり、基本給が上がる可能性が考えられます。総支給額が上がれば、引かれる税金や保険料も増えますが、それに応じた手取り額も少し増えるはずです。
②共働き
夫婦で共働きをすることによっても手取りを増やすことができます。
収入が上がれば税金が上がる制度になっているため、一人がたくさん働くとそれだけたくさんの税金がかかることになってしまいます。
もし配偶者が働けるのであれば、各自で分担して収入を得る方が、家庭内のお財布に入るお金が増えることになります。
また、配偶者や子供が扶養内に収まっていれば、控除を受けることもできるでしょう。
③副業
3つめは副業をする、というものです。
会社員でもWEBライターやサイト作成、アフィリエイターなど副業で稼いでる人は少なくありません。クラウドソーシングを利用すれば、会社以外で手取りを増やすことができます。
しかし、その副業の際で、睡眠時間が削られたり、本業への集中力がなくなってしまうなどのリスクは避けるようにしましょう。
また、副業による所得金額は額によって確定申告が必要ですので注意しましょう。
④転職
4番目の方法は転職です。
収入面に不満が募っているのであれば転職した方がよいでしょう。
また、明らかに今の会社がブラック企業である場合、昇進や昇給にはある程度時間がかかってしまいます。さらに、どんなに頑張っても給料が上がらないことも考えられます。
それならもっと収入の良い会社に入った方がよいかもしれません。そうすれば比較的短期間で手取り額を増やせるでしょう。
まとめ
・手取りとは月給から各種税金や保険料を差し引いて手元に残るお金のこと。
・年収が一番高いのは50代男性。
・給料はそのままでも手取りを増やす方法がある。
年収と手取りは別物です。その違いを理解していれば、年収や月給の多さに影響されて簡単に仕事を決めてしまうことはないでしょう。
年齢や学歴によっても平均年収は異なりますが、自分の努力次第で手取りを増やすことはできるのです。
できることから始めてみましょう。