喫煙による害を正しく知ることで禁煙への第一歩が踏み出せる上、健康的な体が手に入る可能性があります。
今回は有害物質と病気の因果関係、喫煙者の病気のリスクや悪影響、喫煙のデメリットとメリット&効果、禁煙方法を紹介します。
目次
喫煙は百害あって一利なし 有害物質と体への影響&病気のリスク
タバコを吸ったらガンになる、という言葉よく聞かれることがあるでしょう。
実際、タバコは害だらけなものです。
タバコの煙に多くの有害物質が含まれています。
そのためタバコを吸う人だけでなくその人の周りにいる人たちも、タバコの煙の有害物質から害をうけるということを覚えておきましょう。
タバコに含まれる多くの物質の中でも、3つの有害物質はよく注目されています。
いったいどのような物質なのか、何が体に有害なのかについて詳しく調べていきましょう。
①ニコチン
まず1つ目に、ニコチンについて説明しましょう。
タバコに含まれる3大有害物質の1つです。
ニコチンは摂取してから数秒で全身を駆け巡ります。
ニコチンは身体的な依存が起きると言われています。
ニコチンによって心拍数が上昇し、血圧が上がり、動脈硬化など命の危険を脅かすあらゆる健康被害を生じさせます。
またニコチンは青酸に匹敵するほどの強い毒性を持っているということもわかっています。
昔はこのニコチンがコキブリを駆除するために使用されていたようです。
つまり非常に致死的な害を持つ成分なのです。
タバコを吸ってクラクラする人がいますが、これはニコチンの急性中毒症状ですのですぐにタバコ吸うのをやめましょう。
ニコチンは数秒で全身に行き渡ってしまいますが、体内からニコチンを排出するためには、腎臓が非常に大きな負担を抱えます。
そのため腎臓病の発症リスクが高まります。
ニコチンは多くの病気を発症させるほどの恐ろしい有害物質であり、危険薬物であるコカインやヘロインよりも強い依存性を持っています。
1度ニコチンの依存症になるとそこから抜け出す事は非常に困難です。
喫煙者にとってニコチン依存症は大きな害となるでしょう。
②タール
2番目のタバコの有害物質はタールです。
喫煙者の部屋の壁やカーテン、喫煙者の歯や服が黄ばんでいるのはタールの影響です。
タールは1つの物質ではなく、とても細かな粒子の集まりです。
このタールが含まれているタバコの煙には大量の発ガン性物質が含まれています。
タバコ1日1箱毎日吸う習慣のある人は、コップ1杯分のタールを1年間で飲み干していることと同じになります。
つまり大量の発ガン性物質を自ら飲んでいるのです。
想像しただけでも恐ろしさを感じるのてはないでしょうか。
③一酸化炭素
3つめの有害物質は一酸化炭素です。
ニコチンとタールと同様に一酸化炭素は商品に記載されています。
しかしあまり聞いたことがなく、どれほど害があるのかと言う点について知識を持っている人は多くありません。
一酸化炭素を摂取すると、ヘモグロビンとくっついてしまいます。
一酸化炭素とヘモグロビンが化合されると本来ヘモグロビンが持っている働きができなくなります。
つまり血液中の酸素を細胞内まで届けることができなくなります。
これは慢性的な酸欠状態を引き起こします。
一酸化炭素を摂取することによって、運動能力が低下し、動脈硬化など病気のリスクが高まります。
その他の有害物質
ニコチンやタール、一酸化炭素以外にも様々な有害物質が含まれています。
実に200種類以上の有害物質がタバコには含まれており、健康への害しかありません。
例えばアセトンと言う物質があります。
これはペンキの除去剤に含まれる非常に強力な成分です。
さらに車のバッテリーなどに使われている、カドミウムと言う成分も含まれています。
体に有害なものばかりです。
発ガン性物質だけでも50種類が含まれており、病気のリスクを非常に高くし、ガンになる可能性も高いのです。
喫煙者が抱える6つの病気のリスク
タバコには沢山の有害物質が含まれており、発ガン性物質も非常に多いことがわかりました。
では、具体的にどのような病気を発生させるのでしょうか。
タバコを吸うことが体に悪いと言う事は常識です。このことを知らない人はいません。
タバコが誘発する主な病気について知っていれば、タバコを吸いたいと言う気持ちを抑えることができるかもしれません。
①ガン
まず、タバコといえばこの病気と上げられるのは、ガンです。喫煙とガンの関係は非常に密接なものです。
タバコには少なくとも50種類以上の発ガン性物質が含まれています。
さらに、ガンを抑制しようとしてくれる遺伝子さえも破壊してしまう非常に恐ろしいものなのです。
特に咽頭ガンはタバコと密接な関係があります。
喫煙を行っていない人の30倍も咽頭ガンを発症するリスクが高まるのです。
ほかにも、肺、口腔、食道、胃などのガンを発症させるリスクも高まります。
婦人系のガンとも結びついています。
実際吸っているのは男性であっても、一緒に住んでいる家族が煙を吸い込んでガンになる可能性もありますので非常に恐ろしい影響です。
②心筋梗塞
心筋梗塞とは、血管が詰まることによって心臓がうまく動かなくなる病気です。
最悪の場合心臓の動きが完全に止まることになります。
つまり死の危険があるのです。
タバコに含まれている有害物質の働きの一つに、血管を収縮させる、というものがあります。
血管が細くなることによって、血液がうまく流れなくなり血管内に血が滞り、心臓の動きが鈍くなっていくのです。
喫煙を行っていない人の3倍も心筋梗塞を発症するリスクが高まるそうです。
心筋梗塞になると、命の危険がある、と述べましたが、幸い死ななくても血液が止まっていた状態でいた間に損傷するものがあります。
障害が残ってしまうかもしれません。
その後の生活に大きな影響を与えることでしょう。
③気管支喘息
喫煙は気管支喘息を引き起こします。
タバコを吸うことによって気道が強く刺激されるため、炎症が起こります。
これによって気管支喘息が誘発されます。
喘息は最悪の場合、死亡する可能性もあります。
また一度なってしまうと生涯ずっと気管支喘息に悩まされるかもしれません。
喘息で死亡した喫煙者は、非喫煙者の二倍に当たるというデータがあります。
また、喫煙者本人だけではなく、親の吸っているタバコが子供に影響与え、喘息になってしまうケースもあります。
ベランダで吸っていても空気清浄機をつけていても、煙は関係ありません。
もちろん既に喘息持ちの方がタバコを吸う事は厳禁です。
喘息を悪化させてしまうことになり、さらに気管支が敏感になるでしょう。
④糖尿病
タバコは糖尿病のリスクも高めます。
糖尿病は血流が悪くなる病気です。
血液中に糖分が多くなり、ドロドロし、血液の流れが悪くなります。
すでに血液の状態が悪いのに、血管を収縮させる成分の入った喫煙が加わると、血流の悪さに拍車がかかってしまいます。
タバコの中にある一酸化炭素は不完全燃焼によって生じる気体です。
血液中にあるヘモグロビンと結合すると血液の中の酸素が少なくなり、細胞まで運ぶことができなくなります。
さらにニコチンも血液の状態を悪くします。
血小板の粘着力が増し加わり、結合し続けていくことによって、大きな血栓となり血流が妨げられます。
このようにタバコの成分は血液の状態を悪くし糖尿病のリスクを高めるのです。
⑤肺疾患
タバコと非常に大きな関係のある慢性閉鎖性肺疾患(COPD)をご存知ですか?
この病気は以前、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていました。
この肺気腫になると、ちょっとした運動で息切れがしたり、咳や痰が続きます。
重症化すると酸素吸入が必須となり、呼吸不全になります。
死の危険のある病気のため非常に危険です。
この病気になる原因の90パーセントはタバコの煙です。
タバコの中の有害物質を長期間に渡って肺に取り込むため、炎症を起こしてしまいます。
喫煙はCOPDを引き起こし、その死亡リスクは段々と高まっています。
一日の喫煙本数が多くなれば、多くなるほど、COPDによる死亡リスクも高まります。
⑥歯周病
喫煙は歯周病との関係もあります。
タバコを吸っていると歯周病にかかる危険はどんどん上昇していきます。
またその症状も重症化しやすくなります。
喫煙者は歯肉の腫れや出血が抑えられてしまうため、歯周病であることに気づかないということがよくあります。
治療を始めても治りが悪く、効果が現れないというケースがよく見られるようです。
タバコのヤ二は歯の表明に残り、ばい菌がつきやすくなります。
口の中はいつも病気のリスクにさらされていることになります。
さらに酸化炭素やニコチンと言った毒によって、血管が縮こまり、体が栄養不足の状態になるため治療を行っても治りにくくなるのです。
喫煙によるデメリット4つ 周囲にも与える悪影響を紹介
タバコに含まれている有害物質は、健康を損ないます。
最悪の場合、死の危険を伴います。
喫煙の主な害と言えるものを4つ挙げてみましょう。
喫煙をすることによってどのような健康被害が生じるのでしょうか。
①スモーカーズフェイス
まず一つ目の喫煙の害はスモーカーフェイスです。
タバコを吸うと老け顔になる、という話を聞かれたことがあるでしょうか?
喫煙者は非喫煙者よりも老化が早いと言われています。
タバコを吸うことによって、実際の年齢よりも年を取っているように見えるのです。
これがスモーカーズフェイスです。
一度老けてしまった顔は元には戻りません。
特に女性は喫煙を後悔するきっかけとなると言われています。
しかし、性別に関わらず年齢よりも早く老化を感じることは避けたいことでしょう。
タバコを吸うと、ニコチンやタールなどの有害物質によって、ホルモンの働きが阻害されてしまいます。
また美容を保つ為には、ビタミンがどうしても必要です。
普通に生活していても不足しがちのビタミンですが、タバコを吸うことによってビタミンがさらに破壊されてしまいます。
美を意識する方にとって、タバコは非常に大きな敵ということができるでしょう。
②医療費が高い
二つ目の害は、医療費が高くなることです。
喫煙者は非喫煙者よりも病気のリスクが何倍も高くなることが分かっています。
つまり病気を発症しやすいということです。
ですから、当然治療費が喫煙者のほうが高いのです。
2002年のデータによると、喫煙者の医療費は1兆2900億円となっています。
医療費に関わらず、早死することによって経済的損失など多くの要素を含めると、喫煙者により7兆32406円もの損失を受けていると述べられていました。
喫煙によって健康的な被害だけではなく、経済的な被害も被るということを考えると長い目で見て喫煙にメリットなどないと言えるでしょう。
また、医療費の問題は喫煙者本人だけではなく、社会全体に重くのしかかる問題になっています。
③メタボ
喫煙者はメタボになりやすいという害もあります。
今ではメタボリックシンドロームはそれほど珍しい病気ではなくなっています。
しかし非喫煙者に比べて、喫煙者はメタボリックシンドロームの発症率が三倍になると言われています。
なぜでしょうか?
喫煙によって内臓脂肪が増える原因となるコルチゾールを多く分泌させてしまうからです。
更にホルモンの働きを抑制させてしまうため、内臓脂肪がたまりやすい体内環境を整えてしまうという側面も忘れてはなりません。
タバコを吸うことによって、老け顔になり、メタボ体型になりやすいという害を考えると、今すぐにでも禁煙したいという気持ちになるのではないでしょうか。
④精子へのダメージ
タバコを吸うことは妊娠や出産に関して大きな悪影響を与えるということは誰もが知っています。
しかし、女性だけの問題ではありません。
実は男性の精子にも喫煙は害を与えるのです。
タバコを吸うことによって、ニコチンやタール、一酸化炭素の影響で血液の状態が悪化していきます。
血液中の酸素不足が生じます。
酸欠状態になると体のあらゆる部分の働きが鈍くなってしまいます。
当然、精巣もその影響をうけます。
酸欠状態で作られた精子は運動能力が低く受精率が下がります。
さら欠陥を抱えた精子となってしまうため、胎児の発達に悪影響を及ぼすこともわかっています。
将来の自分の子供のことも考えて、できるだけ早いうから禁煙を始めませんか?
喫煙の数少ないメリット&効果
タバコは病気のリスクを高め、害となることばかりであるということが分かりました。
吸っている時は気づかないかもしれませんが、周りの人にも大きな悪影響を与えていることは事実です。
また、将来的に自分の子供への影響もあることを覚えておきましょう。
しかし、タバコには害ばかりではありません。
実はメリットが2つほどあります。
数えきれないほどのデメリットと比べると、とても少ないものですが、紹介しておきたいと思います。
①ストレスの軽減
一つ目のメリットは、ストレスが軽減されることです。
ストレス大国と言われている日本において、自殺者は年々増加していっています。
ストレスによる自殺を研究対象として、喫煙との関係の調査があります。
日本免疫学会会長の調査によると、自殺者3万4千人の中から2千人がランダムに選ばれ、調査した結果、全ての自殺者は非喫煙者であったとなっています。
確かに、喫煙者にとってタバコを吸うことはストレスを軽減することの一つの方法かもしれません。
しかし、実際は体に多大な害を与えているということも覚えておきましょう。
喫煙において、一時のストレス軽減法と長期的な健康被害は隣り合わせなのです。
②ボケ防止
二つ目のメリットはボケが防止されることです。
タバコに含まれているニコチンという有害物質は、脳の細胞の働きを促進させるものです。
その結果喫煙によって思考が向上し、ボケが防止される効果があると言われています。
このメリットは、オランダの研究グループが1991年に発表しました。
タバコを吸うことによって、アルツハイマー病にかかるリスクを軽減できたということです。
研究結果によると、喫煙者は非喫煙者に比べて65パーセントもアルツハイマー病患者が少なかったとなっています。
確かにニコチンは脳の働きを促進させるということが認識されていますが、過剰にホルモンを分泌させたり、正常な働きが出来なくなるということも覚えておきましょう。
受動喫煙のリスク
受動喫煙という言葉を聞かれたことがおありでしょうか?
喫煙は、たばこを吸う、喫煙者本人だけではなく、周囲の人の健康も害します。
家族や友人、職場の同僚、大切な人達の健康を奪うものであることを覚えておきましょう。
タバコの煙には喫煙者が吸い込んでいる「主流煙」と、タバコの先から立ち上っている「副流煙」があります。
副流煙は主流煙よりも、ニコチンやタール、一酸化炭素と言った有害物質や発がん性物質が二倍以上含まれています。
喫煙者の近くにいると、自分の意思とは関係なくこれらの有害物質を吸い込んでしまいます。
このことを受動喫煙と言います。
喫煙者だけではなく、受動喫煙をしてしまった人も、がんや脳卒中、呼吸器疾患、心筋梗塞などの様々な病気を発症させるリスクが高まります。
ですから、喫煙する人はタバコの害や影響が自分だけのものではない、ということを覚えておきましょう。
周りの人達に、最悪な場合、死に追いやる危険もあるということを意識しておくべきです。
喫煙が肝臓に与える悪影響
あまり意識されていない喫煙の影響の一つに、肝臓への影響があります。
ガンセンターによると肝臓ガン場合、ガンの死亡リスクは非喫煙者に比べて、喫煙者が1.5倍に上ると発表しています。
また肝臓ガンの原因のうち、28パーセントは喫煙であるとも推定されています。
呼吸器系からは離れていますが、肝臓のような臓器でもタバコの影響を受けてガンが発生するということです。
肝臓は有害物質を代謝するという重要な働きをしています。
タバコの煙に含まれている有害物質は肺に取り込まれますが、その後、血液中に溶け込み体中を巡ります。
その際肝臓を通過し排出されるのです。
特にタバコに含まれている、シアン化水素という最も毒性の高い成分は肝臓で主にで代謝されています。
喫煙によって余計な有害物質を代謝しなければならないということは、臓器を必要以上に働かせ、本来の肝臓の働きを弱めてしまうことになります。
そのため慢性的なストレスとダメージを受け続け、肝臓の障害を引き起こします。
更にニコチンにより、血流が悪化することや血液中の酸素が減少して酸欠を起こします。
肝臓だけでなく、あらゆる臓器の機能が低下して行きます。
喫煙者がタバコを止める方法 4段階に分けて取り組もう
①決意する
まずは、禁煙する気があるのかを考えましょう。
喫煙することによって体内に取り組む有害物質について考えましょう。
喫煙がどれほど広範囲に渡って人生に影響を及ぼすのかを考えます。
良い影響があるのかどうかも考えましょう。
そして禁煙を決意します。
②理由を考える
さらに禁煙したい理由を明確にしてリストにしましょう。
喫煙の誘惑に駆られた時、このリストを見直すことで負けずに済むでしょう。
③離脱症状を覚悟する
三つ目に離脱症状を覚悟します。
喫煙中に体内に取り込んだ、有害物質すべてを体から排出するために、頭痛や体重増加、緊張感、集中力の低下など、さまざまな症状が起こります。
ここで挫折してしまわないように、あらかじめ覚悟しておくことが必要です。
心の準備があれば、動揺も少なく、さらに離脱症状対策もあらかじめ立てておくこともできます。
④計画を立てる
さらに、計画を立てましょう。
開始日を決めてそれを守ることが必要です。
心の準備をしたなら出来るだけ早く始めましょう。
そしてストレスがあまりない、精神的に疲れていない時期に計画しましょう。
どのようにタバコを減らしていくのか、決めておきましょう。
少しずつ減らしていくのか、きっぱりとやめるのかは個人の自由です。
さらに無性に吸いたくなった時の備えをしておくことも必要です。
運動したりガムを噛んだりエクササイズを行うことがおすすめです。
まとめ
・タバコには少なくとも50種類以上の発ガン性物質が含まれている。
・タバコの数少ないメリットは「ストレス解消」「ボケ防止」の2つ。
喫煙にもメリットはありましたが、実際にデメリットや害を知っていかがですか?
今受けている影響やこれからさらに病気のリスクが高まり、将来の子供にまで影響を与える、ということを考えると、喫煙を続ける理由などないのではないでしょうか?
出来るだけ早い時期に禁煙を始めましょう。
自分自身のためにもそうですが、家族など大事な人の健康を守るために行動するのです。